フルモデルチェンジした新しいiPad Proで知っておきたい7つのポイント
TEXT:山口真弘(ITライター)
Appleから新しいiPad Proが登場しました。Face IDの採用に伴うホームボタンの廃止や、Lightningに代わるUSB-Cの搭載など、これまでのiPadのモデルチェンジの中でもかなり大規模なリニューアルが図られたモデルです。
ラインナップは12.9インチと11インチの2機種で、12.9インチモデルは画面サイズそのままに狭額縁化によってボディがコンパクトになったほか、11インチモデルは従来の10.5インチモデルのボディサイズを維持しつつ画面を拡大するなど、それぞれ違ったアプローチでボディの小型化・大画面化が図られています。
お値段さえ気にならなければ、買い替える価値は間違いなくある“名機”ですが、その一方、製品をしばらく実際に使ってみると、あまり既存のレビューでは大きく取り上げられていないものの、購入前に知っておいたほうがよい点がいくつかあることに気付かされます。今回はそんなポイントを7つ、まとめてご紹介します。
左が12.9インチ、右が11インチ。これまでのホームボタンは姿を消しています
12.9インチの画面はB5に近いサイズで、雑誌の見開き表示などでも実用的に使えます
というのも、新しいiPad Proは、ベゼル幅は上下左右とも実測9mmほどあるからです。iPhone XやXsなどであれば、側面の厚みを含めてもベゼル幅は4mm程度なので、ベゼルレスという表現もまあアリかなと感じますが、9mmもの幅となると、従来の10.5インチ iPad Proの左右ベゼル(約6mm)よりも太いほどで、ベゼルレスにはあてはまらない印象です。
ちなみにこの9mmという幅は、一般にノッチと呼ばれる、iPhone XやXsなどでフロントカメラが収められている上部の出っ張りの高さとほぼ同等です。それもそのはず、新しいiPad Proはフロントカメラをベゼル内に格納しており、それによってスッキリした見た目を実現させていますが、その代償として上下左右のベゼルは、少なからず幅があるデザインになっているというわけです。
つまり今回の新しいiPad Proのデザインは「上部にノッチはあるが他の三方をベゼルレスにする」か、「ノッチをなくして見た目をスッキリさせる代わりに上下左右のベゼル幅に一定の太さを持たせる」かの二者択一で、後者を採用した結果だと言えます。なので表現として微妙な「ベゼルレス」を強調するより、上下左右のベゼル幅が共通であるデザインの美しさがより強調されてしかるべきかなと、個人的に思います。
新しいiPad Proのベゼルは上下左右ともに約9mmあり、ベゼルレスと呼ぶには太めです
iPhone Xs Maxの場合、ベゼル幅は側面の厚みを入れても約4mmと、本製品の半分以下です
これは、ベゼル内にフロントカメラを埋め込んだことが理由だと考えられます。フロントカメラを構成しているTrueDepthカメラシステムの外観は黒であるため、それを埋め込むベゼルは黒以外の色を使うわけにいかず、結果的に白のベゼルは姿を消すに至った、というわけです(筆者の推測です)。今後何らかのパラダイムシフトがない限り、ベゼルが白のiPad Proは将来にわたって登場しない可能性は高そうです。
白は清潔感があるのはもちろんのこと、指紋が目立ちにくいという利点もあります。ネットなどでまれに、白は汚れが目立つなどと頓珍漢なことを書いている人がいますが、ことiPadのベゼルについては黒のほうが手の脂は目立ちやすいので、そうした意味では少々残念です。どうしても白のベゼルがいいという人は、今回の新しいiPad Proをあきらめ、従来のモデルを使い続けたほうがいいかもしれません。

Appleのホームページより。同じ「シルバー」を選んでも、新しい12.9インチおよび11インチはベゼルは黒、従来の10.5インチでは白と、異なっていることが分かります
これは、10.5インチモデルを11インチモデルに改める際、ボディサイズを変えないことにこだわったため、ホームボタンがあったエリアにまで画面を広げ、結果として画面が横長になってしまったものと見られます。そのため、アプリやコンテンツによっては、横長になった部分が黒く塗りつぶされ、ベゼルの幅が増したように見えたり、あるいは電子書籍を表示した時に、コンテンツの上下に空白ができるケースが多発しています。
これらはアプリやコンテンツ側の修正を必要とするため、時間が経てば直っていくものと見られますが、アプリやコンテンツを開発する側にとっては、頭が痛い問題に違いありません。またこれらが将来的に修正されても、写真のようにあらかじめ縦横の比率が決まっているコンテンツでは、この問題が残ることになりそうです。
11インチモデル(左)と従来の10.5インチモデル(右)。画面の高さがわずかに異なります
新しい11インチモデル(左)は余白部分が目立ちます。こうした例は多く存在します
ただし気をつけなくてはいけないのは、iPad Proと別のデバイスをつないだ場合、充電側と給電側、どちらの役割になるかは、やってみなければわからない場合が多いことです。
例えば今回、筆者手持ちのAndroidスマホを接続した時はiPad→Androidスマホの向きに充電されたのに対し、Androidタブレットを接続した時は逆にAndroidタブレットからiPadへと充電が行われ、少なかったAndroidタブレットのバッテリーがさらに少なくなってしまいました。充電していたつもりが逆に減っていた! とならないよう、実際に使う時は気をつけたほうがよさそうです。
USB-C経由でほかのデバイスを充電できます。これはAndroidタブレットと接続した様子
よく見ると、充電していたはずなのに、逆に給電する側に回っていることも?
もっとも、使えそうで使えない外部デバイスもあります。その代表例がハードディスクで、差し込むと認識はするものの、エラーメッセージが出て読み書きをすることはできません(後述するAppleのページでは「写真やビデオの読み込み」は可能とされています)。またUSBメモリも、認識はするものの、写真やビデオ以外のファイルを取り込むことはできません。実際に試してみた限り、USBメモリも認識できるものとできないものがあったりと、製品によって反応が異なります。
マウスのように、OS側でサポートしていない機器は致し方ないとしても、ストレージはいかにも使えそうですし、デジカメを接続してのデータ転送が用途の一つとして大きくアピールされているだけに、少々意外に思えてしまいます。現段階では、たとえ物理的に接続が行えたとしても、うまく動作しない場合があることは、知っておいたほうがよさそうです。ちなみにこの制限については、Appleのホームページでも詳しく紹介されていますので、興味のある方は一読をおすすめします。
以前紹介した「REALFORCE R2」も変換アダプタ経由で文字入力に使用できます
このUSBメモリは「Cannot read the connected storage media.」という表示が出て認識不可
もっともこのApple Pencil、従来モデルとの互換性はありません。つまり、従来のiPad Proで、今回の新しいApple Pencilを使えないのはもちろん、初代のApple Pencilを、今回の新しいiPad Proで使うこともできません。
どちらもBluetoothということで、認識させられれば何とかなりそうに思えますが、そもそも手動でペアリングモードにする方法がありませんので、どうしようもありません。試しに変換アダプタを経由し、従来のApple Pencilを新しいiPad Proに物理的に接続してみましたが、まったくの無反応でした。
新しいApple Pencilはダブルタップでツールを切り替えられるなど、使い勝手は良好なだけに、新しいiPadに興味はなくとも、Apple Pencilを快適に使うためにiPad Proともども買い替えを余儀なくされるケースは、少なからずありそうです。
Apple Pencil。上が初代、下が今回発売された第2世代。若干短くなっています
新しいiPad Proの上部に磁力で吸着させると自動的に認識され、充電も行えます
ところが実はこの容量違いの4つのモデルのうち、1TBモデルだけがメモリ6GBと、他のモデル(4GB)の1.5倍であることがこれまでに判明しています。これで1TBモデルだけが突出して高価であればまだ分かるのですが、前述のように1GBあたり単価を見ただけでは、ハードウェアに違いがあることは感じられないので、これを知らずに1TBモデルと比較検討した結果ひとつ下の512GBモデルを買ってしまったユーザからすると、複雑な気分になることは必至です。
AppleはこれまでもiPadシリーズについてはメモリ容量を公表しておらず、今回の件も発売直前になってベンチマークサイトに投稿されたデータをきっかけに判明し、第三者による検証を経て公になった経緯がありますが、どの容量を買うかという選定に大きな影響を与えるだけに、事前に教えておいてほしかった……というケースは少なからずありそうです。

山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn



