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「BEAMSを知らないZ世代」へ向けた新レーベルが誕生。新たな顧客獲得への挑戦と、変わらない“人の魅力”

2024.4.26 FRI

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[Metro Ad Creative Award 2020]協賛企業に聞く!
「BEAMSを知らないZ世代」へ向けた新レーベルが誕生。新たな顧客獲得への挑戦と、変わらない“人の魅力”
日本を代表するセレクトショップ・BEAMSにおけるマーケティングの強みは、知識豊富でBEAMS愛に溢れた店舗スタッフらのリアルな“人の魅力”と、業界に先駆けたデジタル化の推進である。しかし、若年層獲得という新たなテーマを前に、顧客へのアプローチにも変化が訪れているという。今回、公募型広告賞「Metro Ad Creative Award 2020」の協賛企業として参加しているBEAMSに、Z世代に向けた新しいマーケティングの取り組みと、本アワードへの期待や想いについて聞いた。

取材撮影:編集部、聞き手・文:阿部愛美 【PR】

〈 取材にお答えいただいたおふたり 〉

稲垣文彦(いながき・ふみひこ)さん/株式会社ビームスクリエイティブ ブランドマーケティング本部 宣伝販促部 宣伝課。会社やブランド価値を上げるための宣伝活動などを行っている。

米山友里恵(よねやま・ゆりえ)さん/株式会社ビームス 第3事業本部 アウトレット部。BeAMS DOTのeコマースをご担当。商品をサイトに販売するまでの準備や、サイトに販売されてからの運用全般を担っている。
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コロナ渦でのEC戦略見直しに確かな手ごたえ。
新たな販路で顧客へアプローチ

―― この2020年は、社会全体が激動に揺れた一年となりました。緊急事態宣言が出された4月以降、BEAMSの店舗も休業を余儀なくされたと思いますが、今日にかけてどのような動きがありましたか。

稲垣 : 4〜5月にかけて、国内約160店舗のほとんどが休業せざるを得ない状況となりました。休業期間中はリアル店舗での販売ができない一方で、自社ECサイトやECモールでの売り上げは増加しました。ECサイト経由の販売急増に対応するために自社物流拠点のキャパシティ強化をすぐ着手したことで、結果的にEC戦略全体を見直すことができたことは、コロナウイルス感染拡大の影響で暗中模索するなかでも手応えを感じた部分です。また、これまで店舗限定だった商材をオンラインでも販売したり、Instagramを経由してECサイトで購入できる導線を作ったりと、販路を工夫した日々となりました。
今回、インタビューに答えてくれた米山さん(写真左)と稲垣さん(写真右)

今回、インタビューに答えてくれた米山さん(写真左)と稲垣さん(写真右)

―― EC事業の一つとして、今年の3月にはBEAMS初のライブコマース(ライブショッピング)(※)も実施されました。評判はいかがでしたか。

稲垣 : 日本でもコロナウイルスの爆発的感染拡大が懸念されていた時期でしたが、ライブコマースでは約6000人の方に視聴していただいて、1時間で約100万円の売り上げにつながったことは嬉しい結果でした。配信では、商品情報を一方的に説明するのではなく、視聴者のみなさまのご質問と対話することを心がけました。私たちはこれまでも、店舗スタッフたちが独自のスタイリングを自発的に投稿できるシステムを構築するなど“人の魅力”を積極的に発信してきましたが、ライブコマースにおいてもこうした我々の強みをお伝えできたよい機会になったと思っています。
※BEAMS初のライブコマース……スーツやシャツ、ネクタイを中心とした紳士服をライブ配信で販売。リアルタイムで寄せられる視聴者からの質問やコメントに答えながら、生地感やスタイリングなども紹介した。ECサイトと連結させることで、視聴しながら購入できる試みとなった。
2020年3月27日に行われたライブコマースの様子

2020年3月27日に行われたライブコマースの様子

“作ったものを買ってもらう”から、“欲しいものを作る”へ。
Z世代に向けた新レーベル「BeAMS DOT」
―― 3月には、新レーベル「BeAMS DOT(ビームスドット)」がローンチされました。どんなレーベルなのか教えていただけますか。

米山 : BeAMS DOTにはリアル店舗がなく、ECサイトのみの販売というところに大きな特徴があります。「等身大」と「リアリティ」をキーワードに、10代後半〜20代をターゲットとしたレーベルです。
2020年3月17日に誕生した「BeAMS DOT」

2020年3月17日に誕生した「BeAMS DOT」

―― 「Ray BEAMS(レイビームス)」や「BEAMS PLUS(ビームス プラス)」など30を超えるレーベルを抱えていますが、そうしたレーベルと比べて、BeAMS DOTにはどんな特徴がありますか?

米山 : BeAMS DOTと既存のレーベルとの違いは大きく3つあります。

一つ目は、Z世代をターゲットとしていること。BEAMS公式オンラインショップにおける購買者層は30代後半〜40代の方々が中心で、10〜20代は少ないのが現状です。ローンチ前にZ世代の大学生らを当社オフィスに迎えて市場調査を行ったところ、「BEAMSは高くて買えない」とか、「大人っぽくて近寄りがたい」というイメージを抱いていたり、「そもそもBEAMSを知らない」という方々も多くいました。そうした方々に私たちの服を気軽に手に取ってもらえるように、既存のレーベルよりも価格帯を下げたり、ジェンダーレスなサイズ展開のアイテムを揃えました。
二つ目の違いとして、既存のレーベルの多くは、“作り手がいいと思うものを作る”という「プロダクトアウト」の考え方が中心ですが、BeAMS DOTに関しては“みなさまが必要としているものを作る”という「マーケットイン」の考え方の下に誕生しました。ですから、綿密な市場調査をした上で販売戦略を立てることに重きを置いているのです。

三つ目は、ターゲットであるZ世代の利用頻度が高いSNSを通した販促に力を入れている点です。

―― 公式Instagramに投稿される写真は、商品だけを撮影したいわゆる“ブツ撮り”ではなく、人々の日常を切り取ったような自然体の写真が印象的ですね。
人物写真が印象的な「BeAMS DOT」の公式Instagram
米山 : BeAMS DOTの広告塔には、女優やファッションモデルではなく、Z世代にとって身近な存在であるインフルエンサーを起用しています。EC専用レーベルは店舗での試着ができないというデメリットがあるなか、ターゲット層の平均身長や標準体型に近い方々を起用することで、お客さまにとって自身が着ている姿を想像しやすくなると考えています。すなわち、インフルエンサーの着用写真を見ることでお客さまが試着を疑似体験できる最終形を目指しています。
広告賞「Metro Ad Creative Award 2020」に初参加。
Z世代に想いを届けるのは、“好き”が連鎖する広告?
―― そのBeAMS DOTの広告を考えるという課題で、今回、東京メトロの媒体を活かした「デザイン」や「プランニング」を募集する公募型の広告コンテスト「Metro Ad Creative Award」の協賛企業として参加されていますが、参加の背景について教えてください。

稲垣 : 参加する一番の決め手となったのは、本アワード応募者の9割が、学生や20代〜30代前半の若いクリエイターだということです。これからの未来を担うクリエイターの方々がBEAMSをどう見ているのかについてとても興味がありました。というのも、私たちはBEAMSのことがすごく好きで働いているわけですが、その分固定観念にとらわれてしまうことがあるからです。
―― クリエイターへの課題は「BeAMS DOTのInstagram公式アカウントをフォローしたくなる広告」という、取り組みがいのある難しい内容です。BeAMS DOTのターゲットであるZ世代に想いを届けるために、応募作品に対してどのようなアプローチを期待しますか。

稲垣 : 今回出題した課題は、BeAMS DOTの“服が売れる広告”ではなく、“ファンになってもらうための広告”と考えています。そのためには、お客さま目線のアイディアが必要だと思います。Z世代の方々は、インフルエンサーが洋服を着用している写真を見て「私も似合うかなぁ」と思ったり、「インスタライブ」のコメントをラリーすることによってみんなで場を共有したりする。そうした「共感」によってコミュニケーションをかたちづくる特性があるので、広告を見た時に、それがひとごとではなく“自分ごと”だと受け取ってもらうことや、“一緒に参加している”と感じてもらうことが、私たちの想いを受け止めていただく足がかりになると考えています。

米山 : ですから、まずは応募者の方にBeAMS DOTを好きになってほしい、というのが私の気持ちです。ファンの想いが広告を介して共感を育み、それが連鎖していくと思っています。
「私たちが考え付かないようなアイディアを期待していますし、応募作品をとても楽しみにしています」とおふたり

「私たちが考え付かないようなアイディアを期待していますし、応募作品をとても楽しみにしています」とおふたり

〈 インタビューを終えて/withコロナ時代の電車広告のあり方に注目 〉

今年で4回目の開催となった「Metro Ad Creative Award 2020」。本アワードには2部門あり、今回BEAMSは「デザイン部門」で参加。そのため、東京メトロの「中づり広告」あるいは「表参道ADウォール」で展開されることを想定して、応募者は制作に取り組むことになる。

2020年の社会の現状を踏まえて交通広告のあり方には変化が起きつつある。そうした意味では、今年の「Metro Ad Creative Award 2020」は従来の交通広告の枠に収まらない作品が多く出揃うかもしれない。気鋭のクリエイターたちが広告とどう向き合って行くのか、注目している。(編集部)

▶︎本アワードのドキュメンタリームービー


▶︎応募詳細はこちら
「Metro Ad Creative Award 2020」開催・応募概要

【作品募集締切】 2021年1⽉15⽇(金)
【募集作品】東京メトロ媒体を活用した各企業の特別課題に応えるアイデア
【応募⽅法】下記の特設サイトより応募ください
      「第4回 Metro Ad Creative Award 2020
【応募資格】 年齢・性別・国籍不問/社会⼈、学⽣不問/グループ可
【部門】
〈デザイン部門〉
・活用メディア:中づりポスター/表参道ADウォール
・フォーマット:
【中づり】ポスターデザインを提出。天地364mm×左右1,030mm/ PDF形式
【表参道ADウォール ※B1を想定】ポスターデザインを提出。高さ1,800mm×幅21,500mm(※等倍縮小)/ PDF形式
〈プランニング部門〉
・活用メディア:MCV(駅サイネージ)
・フォーマット:動画/静止画もしくは企画書(A4ヨコ10枚以内/PDF)
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