いかにして話題を喚起させるかがキーに | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

映画『ハプニング』mixiログイン画面ジャック バズを最大化するインターネットクリエイティブ


いかにして話題を喚起させるかがキーに


――mixi「ログイン画面ジャック」の背景となるプロモーション戦略の全体構想についてお聞かせください。
古川●mixiだけではなく、さまざまな媒体共通で「3つの兆候」を前面に出しました。作品で一番伝えたいことを、いろいろな媒体で方法を変えてアプローチしました。

――プロモーション全体で難しかった点は?
古川●今回のケースでは、公開前に露出する情報をかなり制限していました。シャマラン監督の作品には大どんでん返しを期待している方がたくさんいらっしゃいますし、監督自身の希望で出さない、見せない方針をとったのです。情報を流さないことで、メディアに露出する機会が減るリスクがあります。そうした部分でのジレンマはありましたが、それを上回るプロモーションやアドを考えようではないかと。

――プロモーション全体を総括して、どんな手ごたえを感じましたか?
古川●今回は試写会を一度しか行わなかったこともあり、一般の方たちのリアクションについてはかなり手探りでした。そこをカバーしたのはmixiのログイン画面ジャックだったのではないかと。スクリーニングされていない意見を得ることができ、結果として試写を補う形で、作品やプロモーションの成否を検証するよい機会になりました。mixi以外では、Yahoo!トップページのブランドパネルに動画を表示しました。その際、作品自体はPG-12(※1)指定ですが、 「観ると危険な映画」とアピールするために 、「レッドバンド」と呼ばれるホラー的要素を強調した特別予告編を活用し、 18歳未満閲覧禁止と錯覚させる演出をしたところ、アクセス数が一気に増えたのです。インタラクティブ媒体の効果の大きさを感じました。

――インターネットを含めたクロスメディア的なプロモーションは、これからどうなっていくと思われますか?
古川●そうしたプロモーションはますます増えていますし、単にインターネットにアドやバナーを出すだけではなく、次のステージに移っています。いかにしてユーザーに訴えるか、アドのなかでどれだけ作品の本質を端的に伝えられるかがポイントになっていくのではないでしょうか。

長竹●映画のプロモーションに限ったことではありませんが、昨今はいかに話題を喚起し、最大化できる仕掛けを作り出すかが求められています。PR、コンタクトポイントマネジメントやメディアクリエイティブなどの知見も踏まえて、ホリスティックにコミュニケーションを設計していくことがますます重要になっていくと思います。



――これから手掛けてみたいプロモーション手法を聞かせてください。
古川●弊社の会社精神に「Never been done before――今まで誰もやったことのないことをやる」があります。誰もやったことがないことを探していく。そして、ただの自己満足に終わらず、今回の mixiのケースのように効果がともなうことを目指していきたいです。例えば、Yahoo!のトップページをジャックインとか(笑)。それは現状では難しいですが、もしできることになったら、フォックスが最初にやりたいと思っています。

長竹●今回のプロモーションのように、インタラクティブの特性を活かしたり、メディアの創造的活用といった視点を踏まえてプランニングしていきたいです。また、今後、一部の広告はメディアアートとの境界がなくなっていくと思いますので、この概念を採り入れたプロモーションにも関心を持っています。今は布石として、この分野における大学院研究室とのネットワーク作りを少しずつ始めているところです。


(取材・文:熊谷千春/MdN Interactive 写真:谷本 夏)


『ハプニング』mixiログイン画面ジャック 制作スタッフ
作品担当:古川理佐子(20世紀フォックス映画)
Web担当:斉藤淳一(デジタル・プラス) 、日野彗(ジグノシステムジャパン)
AE:金子武司、仲野祐介(電通)
CD:長竹直哉(電通テック)
LP:笠倉久美子、斉藤文久(電通テック)
AD:伊藤正博、鎌田克也
De:広瀬有希
Pr:山本哲司、功刀卓
Ph:山田敏之



※1:映倫(映画倫理管理委員会)が定める、映画鑑賞の際にその映画を見ることができる年齢制限の規定のひとつ。PGとはParental Guidanceの略で、12歳未満(小学生以下)の観賞には不適切な表現が含まれるため、成人保護者の同伴が適当とする指定。
twitter facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

この連載のすべての記事

アクセスランキング

8.30-9.5

MdN BOOKS|デザインの本

Pick upコンテンツ

現在