「新たなインターネット広告手法の是非を問う─3」 by. 小川 浩
「新たなインターネット広告手法の是非を問う─3」
2009年12月1日
TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)
Twittterが課金を開始?
2009年11月25日、「Twitterが日本国内で有料サービスを開始する」というニュースがIT系のニュースサイトに流れ、ちょっとした騒ぎになった。
発端は、日本側でTwitterサービスの事業化を目指すデジタルガレージの子会社「DGモバイル」の取締役COOの杉 建一氏の、イベント「mobidec2009」での講演内容によるものだ。ユーザーが既存のアカウントを月額課金方式にできるようにする「有料つぶやきサービス」とTwitterを通じて情報やコンテンツを販売するための仕組みを提供する「コンテンツ課金」の二つの有料課金プラットフォームを「2010年1月から提供する」と発表したことである。
DGモバイルの勇み足?
要は、つぶやきに含まれるURLをクリックすると課金サイトにジャンプさせるという仕組みなのだが、この話の顛末は実はそんな事実はなく、DGモバイルが勇み足で、そうしたサードパーティとして課金モデルを検討していることを誤解を受けやすい言い方で発表してしまった、というものだ。
しかし、プレゼンテーションの内容を見る限り、これは完全に確信犯であり、DGモバイルの親会社であるデジタルガレージ側も課金サービスを導入する意思を明確に持っていたことは間違いがないと思われる。
デジタルガレージ取締役・伊藤穣一氏による本件の否定コメントページ
http://joi.ito.com/jp/archives/2009/11/28/005435.html
今後はTwitter本社との歩調を合わせるべき
ある意味とんだチョンボ、なわけだが、筆者はこの課金プラットフォームの取り組み自体は悪いアイデアではなかった、と考えている。
有望なビジネスモデルになるかどうかは別として、Twitterからどうやって収益化をはかるかは、本来はユーザーにとっても重要だからだ。いつまでも売上無しではいつ誰にTwitterが買収されてしまい、サービス提供者の志やサービスの方向性が変わってしまうかわからないからだ。
いずれにしても、Techcrunchにも揶揄されているように、日本版のTwitterにはある意味ガラパゴス的な動き(バナーやビデオアップロードサービスの運営など)が見られる。それ自体は悪いことではないが、Twitter本体の目論みや思想に反しないことと、よりいっそう密にコミュニケーションをとっていただくことをユーザーとして期待したいところだ。
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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。