アップルへの苦言、伏兵的ライバルはアマゾンとソニー

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日本ではもう少し話題が欲しいところか!?

アップルへの苦言、伏兵的ライバルはアマゾンとソニー


2017年4月17日
TEXT:大谷和利(テクノロジーライター、AssistOnアドバイザー)

恒例であるアップルの春の実質的な新ハードウェア製品発表は、iPhone 7/7sのREDバージョンの追加と9.7インチの新型iPad(第5世代)に留まっている(2017年4月17日現在)。しかも、発表に伴うスペシャルイベントが開かれず、その意味でもいささか拍子抜けした印象だ。そうこうしている間に、ライバルたちはそれぞれの得意分野において間合いを詰めてきた。特にAI(人工知能)とUI(ユーザーインターフェース)分野における伏兵的存在が、アマゾンとソニーだ。そこで今回は、アップルの伏兵的ライバルとなり得るアマゾンとソニーを考察したい。


▷AlexaはSiriよりも強し?

 アマゾンのAIアシスタントシステムAlexaは、現時点では対応言語が英語のみであるため、日本市場での存在感や認知度がゼロに近い。しかし、アメリカでは、これに対応する純正音声応答デバイスのAmazon EchoやEcho Dot、Amazon Tapが飛ぶように売れ、Alexaをサポートしたサードパーティ製品もすでに多数がリストされている。

日本円換算で約2万円のAmazon Echoが売れる理由としては、iOSとAndroidの双方に対応(セットアップなどに利用)していることや、円筒形の小型スピーカースタイルによって生活の中に溶け込みやすいことが挙げられる。というよりも、ワイヤレススピーカーとして導入できるという切り口を見つけたことが、成功の鍵だったと言っても過言ではない。

加えて、内蔵スピーカー機能を省いて既存のオーディオシステムにつなげるEcho Dotならば約5000円で買えることや、バッテリー駆動可能なAmazon Tapが約1万3000円で販売されるなど、選択の幅があることも普及の後押しとなったと考えられる。

コンシューマー市場においては、絶対的な機能の高さよりも利用者とのコンタクトポイントの相対的な多さがサービスの浸透に大きく影響する。その意味で、アップルやグーグルにとっては、たとえSiriやGoogle AssistantがAI応答システムとしてAlexaよりも機能面で優秀だったとしても、消費者に対するアピール度や親近感の点でAlexaは予想以上の脅威となっているのだ。


▷Apple TVの拡張を急ぐべし

多言語対応に関して、Alexaは表面的には遅れをとっているものの、当然ながらその準備は着々と進められているはずだ。ただ、米国内でも品薄気味なAmazon Echo自体の生産能力との兼ね合いで、一気に世界展開を図ってもタマ不足となる可能性があり、まずその需要を満たしてから攻勢をかける計画と思われる。

グーグルも米国内ではAmazon Echo対抗でスピーカー型のGoogle Homeを約1万3000円で販売開始し、HA(ホームオートメーション)のハブとしてアピールしているが、アップルは今のところ、これらと直接張り合える製品を持っていない。最も近いのはApple TVだが、スピーカーを内蔵してテレビがオフでも単体で(Siriリモートなしでも)利用できる仕様にしない限り、やはり異なるカテゴリーの製品となってしまうのである。

アップルも手をこまねいて見ているわけではないと思うが、遅くとも6月のWWDC 2017のときには、そのような拡張版のApple TV、もしくはスピーカーと常時動作型のSiriが機能するコンパニオンデバイスのような製品を用意できなければ、HomeKitによるHA戦略の今後にも支障が出てくるのではと感じている。


▷Any Surfaceが目指す「どこでもインターフェース」

一方で、アップルといえば優れたユーザーインターフェースで知られてきたが、ソニーが今年のSXSW 2017でワールドプレミアを行なったAny Surfaceという新UIからは、もしそれがソニーの全製品に横断的に用いられるならば、アップルのそれを凌駕する可能性を感じた。

Any Surfaceのコンセプトについては、こちらのWebサイトに詳しく紹介されているので見ていただくとして、究極的には、ソニーの持つディスプレイ技術やプロジェクター技術を駆使することによって、あらゆる物体の表面がインフォメーションを取得したり作業を行うためのインターフェースとして使えるようになるというものだ。しかも、表示されるUIグラフィックスは、根源的な点・線、面から構成されるミニマルなもので、それ自体が主張しすぎることがない。

SXSWではポータブル・レーザープロジェクターのXperia Touchのデモアプリとして動いていたが、将来的にはユーザーがアプリを意識したり選択することなく、知りたい情報ややりたいことを、いつでも、どこでも呼び出したり行ったりできる、タスクドリブンの環境を構築していけるポテンシャルを秘めている。

アップルも、今後のAR方面での製品開発においては、新たなUI/UXの構築が求められてくると考えられるが、その際にAny Surfaceは、1つのベンチマークとなるだろう。 

Any Surfaceのデザインコンセプト

[筆者プロフィール]
大谷 和利(おおたに かずとし) ●テクノロジーライター、AssistOnアドバイザー
アップル製品を中心とするデジタル製品、デザイン、自転車などの分野で執筆活動を続ける。近著に『iPodをつくった男 スティーブ・ ジョブズの現場介入型ビジネス』『iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化』(以上、アスキー新書)、 『Macintosh名機図鑑』(エイ出版社)、『成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか』(講談社現代ビジネス刊)。

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