共感を呼ぶ、大人のグラフィック・ノヴェル「キリング・アンド・ダイング」

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共感を呼ぶ、大人のグラフィック・ノヴェル「キリング・アンド・ダイング」


株式会社国書刊行会は、アメリカのグラフィック・ノベリスト、エイドリアン・トミネ氏が描いた6つの人生の物語を収録した「キリング・アンド・ダイング」を5月24日に発売した。A5変形判/125P/3,400円(税抜)。
同氏は、コミック作家として短編漫画シリーズ「オプティック・ナーヴ」を定期的に発行するかたわら、イラストレーターとしても活躍。「ニューヨーカー」「エスクァイア」「ローリング・ストーン」といった雑誌に度々イラストを寄稿しており、特にニューヨーカー誌の表紙イラストを繰り返し手掛けることで知られるアーティストである。

本書表題作の「キリング・アンド・ダイング」は、コメディアンを目指す口下手で吃音の少女と、それを見守る両親の感情を描いた作品だ。語り口はどこか客観的で淡泊にも感じられるのだが、登場人物の表情や、巧妙なセリフ回しから、感情がダイレクトに伝わってきて読者に強烈な共感を呼び起こす。程よく省略されたキャラクター画と、背景や色使いといったコミックとしての構成要素が、無駄なくシンプルにまとめられており、読んでいても心地よい。

また、収録されている6つの物語は、どれも微妙な感情を描いた複雑な作品ばかりである。突如アートに目覚める植木職人の理想と現実を描いた『「ホーティスカルプチャー」として知られるアートの短い歴史』、ポルノ女優そっくりの顔で悩む娘の数年間を描いた『アンバー・スウィート』、麻薬の売人でアルコール依存症の男が恋人と肩を寄せ合う『それゆけアウルズ』など、繊細に描かれた6つの物語は、どれも静かに胸に突き刺さる。

表現手法も6編それぞれに異なっており、4コマ漫画、セリフやト書き、欄外ナレーションなどを効果的に使い、作品ごとに異なった演出を試みている。人種差別、虐待、麻薬やアルコール依存といった社会的な問題にも鋭く、かつ軽快に切り込んでおり、日本のコミックとも、アメコミやバンド・デシネとも違った、独特な世界観をもつアート作品となっている。
出版社:株式会社国書刊行会
価格:3,400円(税抜)
エイドリアン・トミネ 著 長澤あかね 訳
URL:http://www.kokusho.co.jp/
Amazon:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/433606167X/mdndi-22/
2017/05/31

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