Webデザイン プロフェッショナルワークフロー・バイブルほか3冊

周りを驚かせるようなカッコいいアイデアやデザインは、一朝一夕で生まれるものではありません。情報や技術を取り入れつつ、日々感性を磨きながら、実践(現場)で鍛えていく。インプットとアウトプットのサイクルが大切。多忙なデザイナーのインプットを助けるべく、MdN Interactive編集部がオススメ本を紹介していくコーナーです。
XHTML+CSSデザイン、新たな「スタンダード」を学ぶ
『Webデザイン プロフェッショナルワークフロー・バイブル』
Andy Clarke/毎日コミュニケーションズ3,200円+税
著者のアンディ・クラークはイギリスを拠点に活動するWebデザイナー。業界歴およそ10年、1998年にデザインコンサルティング会社「Stuff and Nonsense」を設立した人物である。「XHTML+CSSデザインの新しいワークフロー」を提示する本書、構成が「Discovery 発見」「Process プロセス」「Inspiration インスピレーション」「Transcendence 卓越」の4部に分かれているところが絶妙。教条的に「何か」を叩き込むわけはなく、逆に「何か」を引き出させようとする作りに魅力がある。読者のワークフローにおける改善点を探ったり、これまでのワイヤーフレーム手法による問題点を導きながら、考案の仕方を作例に基づいて解説。特に「Inspiration」の項では、基礎デザイン(グリッド/カラム)を説く後に、細やかな生活の中にインスピレーションの素が存在することを熱弁する。温故知新な創造性へのアティティードも、音楽好きでモッズ・スタイルをキメている著者近影を見るに明らかだ。最後の項「Transcendence」では、本書で解説したワークフローによる実践テクニックを披露。CSS3などにおける新しい技術も取り入れることで、スキルアップとクォリティアップの両面を習得できるだろう。解説書にありがちな無個性さはなく、むしろヴィジュアル書を眺めるように。自然とアナタのデザインを更新してくれる、ありがたい一冊だ。
デザイン事典、DTP教本、アイデア集を一冊に
『Design and Applications』
Far,inc.+SOUVENIR DESIGN/ビー・エヌ・エヌ新社2,800円+税
ド直球な書名と共に「デザイン理論とIllustrator・Photoshop・InDesignの実習」なる副題の本書。美しく効果的なデザインを生み出すために、複数のアプリケーションを使用した実習、そしてプロフェッショナルな現場で必須の印刷知識をまとめた、これまたありがたい新刊だ。タイプセッティング、タイプフェイス、コンポジションなどDTPの基礎中の基礎を名刺、ロゴマーク、ポスター、インビテーションカードなどの実例を挙げながら解説。その、あまりの的確さにグウの音も出ない。また、写真のトリミングや切り抜き、組み方など、イメージに向かい合うアイデア術も豊富。様々に横断するアプリの特性を活かしながら、いかに「視線を誘導」し、いかに「連なりを演出」するか、その醍醐味をシンプルかつスマートに教えてくれるだろう。商業デザインの現場に身を置いている人にとっては「当たり前のこと」とタカをくくるセオリーも多いが、改めて確認したい&するべきTIPSにあふれていよう。恥を隠しながら「あれ? これってどうするんだっけ?」と、隣のデスクに座る同僚に尋ねなくてもよしの一冊。アナタの「デザイン力」をジワジワ高める処方箋
『アイデアプラステン 2』
DTPWORLD編集部/ワークスコーポレーション2,300円+税
『DTPWORLD』誌に連載「idea+10」の書籍シリーズ第二弾。紙媒体のデザインにおいて、ひとつのテーマ(使用素材)×複数のデザイナーによる10の実例により「アナタのアイデアを磨く」という仕組みになっている。そこから導かれたポイントを各々4つずつ解説することで「デザイン力」をジワジワ高めようとする一冊。レイアウト手法から文字組み、写真加工、パーツ作成、素材の活かし方など、多様なケースに対応すべくアイデアが「処方薬」のごとく豊富に詰まっていよう。それぞれのテーマも「季節感を演出した旅行のチラシ」「冷たさ・爽快さを表現した飲料ラベル」「文字組みだけで構成する文芸雑誌の目次」「高級感のある洋菓子店の案内チラシ」など具体性があるのがミソ。特に「注意をひく危険物取り扱いシール」や「手に取りにくい便秘薬のパッケージ」といった項は、実践例として特殊ながら身になる記事である。また後半の「色」にまつわるアイデア集も秀逸。1〜4色+特色を切り口に、様々な媒体に応じたデザインヒントを説いている。初心者から中級者を意識した、優しくまろやかな構成もツボ。巻末では、それまで紹介したデザインアイデアを具体的なものにすべく、PhotoshopやIllustratorの操作方法をまとめている。
出版界で異彩を放つ「バイク=生き方」シリーズ
『東本昌平 RIDE 22』
モーターマガジン社714円+税
モーターバイクに特化した漫画家・東本昌平の名を冠に掲げた、ニュータイプなバイク雑誌の最新刊。四輪、二輪、自転車……いわゆる「ワッパもの」には数々の雑誌が存在するが、そのなかでも特に異彩を放つシリーズだろう。新車情報もパーツカタログもない。バイクに乗ることを至上命題とした、特殊な雑誌とも言えよう。デザイン的には「なんでもあり」。グラフィックの世界で具体的なヒントを与えるものではないが、バイク・ライディングにおける「五感」を愚直に誌面へ落とし込む。東本によるオールカラー描き下ろし漫画、片岡義男の短編小説のほか、以前「デザイナーへの道」に登場した素樹文生氏の書き下ろし新作(なんと『旅々オートバイ』アメリカ編!)も読める。表紙のキャッチフレーズ「やりたいことを、やればいい」という言葉は、読者であるバイク乗りに向けた言葉でありながら、彼らコントリビューターの創作姿勢(いわんや生き方)をあらわす一節でもあろう。デザインの世界で、そんな言葉を吐き出す雑誌や書籍はない。もしアナタが壁にぶち当たっていたら、スキルアップを離れて「意識」を向上させてみないか? ひょっとしたら勇気をもらえる一冊かもしれない。不況の波が出版界を襲う現在、これほど「自由」にやれている雑誌も珍しい。
(文・増渕俊之)
(文・増渕俊之)
(更新日:2009年3月18日)



