「mixiプラットフォーム」
「mixiプラットフォーム」
2009年8月31日
TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)
クローズドなSNSという印象が強いmixiだが、2008年から「mixiプラットフォーム」の構想を発表し、徐々にオープン化への道を歩み始めている。このmixiプラットフォームには、3つのフォーメーションがある。
「mixiプラットフォーム」について説明するmixiのページ
http://developer.mixi.co.jp/
「mixi OpenID」
まず異なる複数のソーシャルメディアへのログインを可能とする共通IDフォーマット「OpenID」のmixi版「mixi OpenID」を発表し、mixiのIDで他のOpenIDサポート済みのサービスへのログインを可能とした。
ただし他社のOpenIDではmixiにログインすることはできないので、一方通行的ではある。
OpenSocial対応の「mixiアプリ」
「OpenSocial」とは、Google主導で標準化が進んでいる、複数のWebサイト間で使用可能なソーシャルアプリケーションの共通API定義のことだ。
標準のJavaScriptとHTMLを使用して、サードパーティがmixi上のさまざまな情報を利用したアプリケーションを制作可能とするために、mixiはこのOpenSocialプラットフォームに対応しており、多くのベンチャーや個人開発者がmixi用のアプリを開発し始めている。2009年8月の時点で、毎日15、6個のアプリが承認され、mixi内で利用できるようになっているという。
「mixi Connect」
3つめが「mixi Connect」だ。これは、mixi以外のサービスにおいてmixiのデータを利用して付加サービスを提供するための仕組みで、mixi外部のアプリケーションなどからアクセスできるAPIが用意されることになる。これによってmixiとの連動性が増すので、既存のmixiユーザーにとっては使い勝手が増える。
以上のように、3つのアプローチでオープン化を急ぐmixiであるが、サービスそのものはクローズドな環境のまま、たとえばmixi内の日記を非mixiユーザーにも見せられるような仕組みを提供する予定は現在のところはないらしい。
クローズドなサービスとオープンなデータ公開という一見矛盾する取り組みの中で、mixiが2008年3月期に目標としてあげた3000万ユーザーにどれだけ近づき、これまでの日記とマイミクというユーザー体験以上の新たな使い道を提案できるのか。注目されるところだ。
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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。