foursquareが真剣に考える3つの選択肢

foursquareが真剣に考える3つの選択肢

2010年4月26日

TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

起業する際には、簡単に言うと大きく3つの目標をもつ場合が多い。最上なのは言うまでもないが「IPO」(新規株式上場)だ。それが適わない場合は、「M&A」、すなわちほかの有力企業に会社自体を売るという手がある。そして、どちらかを目指す過程か、どちらも選択できないときの結果として、キャッシュフローを黒字にして永続的に経営を続ける、という道がある。つまり、中小企業として生きていくということだ。

逆に言えば、これ以外の道はすなわち倒産、ということになる。

現在、TwitterやUstreamに次ぐ注目ベンチャーとして成長著しい企業が「foursquare」だ。この位置情報を軸としたソーシャルゲーム企業については3月16日に当コラム「『位置情報サービス』は今年の目玉になるか?」というタイトルで詳しく書いているので、そちらを参考にしてほしい。



「foursquare」 http://foursquare.com/


今回触れるのは、このfoursquareは、現在上述の3つの選択肢をあらためて真剣に考慮している状態ということだ。

現在、foursquareには、Yahoo!とFacebookおよびMicrosoftが食指を伸ばしているらしい。Yahoo!が本気らしいことは事実らしいが、ほかの2社についてはいまだうわさにすぎないが。しかし、foursquareは創業間もないのに、すでに数千万ドルの企業価値があるとされており、いますぐに買収に応じても、創業者や経営陣は相当のボーナスを得ることができる。

しかも、位置情報サービス自体はTwitterもすでに自分自身で参入をすることを決めているように、今回買収に応じなければ、その他の有力なソーシャルWebサービス企業との全面対決は避けられず、勝てるかどうかわからない、つまりオールオアナッシングのリスクを背負うことになる。経営者にとって、企業における3つの選択肢はつねに頭から離れない。3つめの中小企業への道はIPOとM&Aを諦めた場合の消極的な道程にすぎない。IPOかM&Aか、売り時を失って衰退するか。

foursquare経営陣は、しばらくは不安と期待に揺れつつ、苦悩の時間を過ごすことになるだろう。

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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。

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