GROUPONに見るソーシャルメディアの収益性(前編)

GROUPONに見るソーシャルメディアの収益性(前編)

2010年5月17日

TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

現在、ソーシャルメディアはインターネット業界および広告業界ではもっともホットなトピックになってはいるが、その実収益という面でみると、まだまだ社会に対して大きな貢献を果たしているとはいえない。

筆者はソーシャルメディアはEコマースとの組み合わせがもっとも収益につながると確信している。それはなぜかというと、

FacebookTwitterなどのオープン性の高いソーシャルメディアのコンテンツに含まれる短縮URLから発生するトラフィックは、GoogleやYahoo!などの検索エンジン経由のそれより大きなものになっている

・そもそも消費者は専門家の評価より友人の推奨を信用する傾向がはっきりしている

という理由からだ。

ソーシャルメディアは、Webと現実の境目を限りなく薄くし、タイムラグをなくした。要するにWebのリアルタイム化を促進したことにより、「いま、何が起きているか」をWebで知ることがだれにとっても簡単になった。今後は位置情報のオンライン化により、「いま、どこで、何かが起きているか」が普遍的にWeb上で共有されることになる。

今回紹介する「Groupon」(http://www.groupon.com/)は、「いま、どこで、何を買えるか」という情報を共有化するサービスだ。


「Groupon」(http://www.groupon.com/


具体的には、自分が関係している地域・都市において、ある一定の人数が集まると商品を安く購入できるクーポンをもらえる、というものだ。日本のネットプライスのギャザリングと呼ばれる共同購入サービスに酷似しているが、Grouponは10年前に設立されたネットプライスと異なり、Twitter以降のリアルタイム性の高いソーシャルメディアの特性をうまく取り入れていることで、わずか設立2年で3億ドル以上の売上を上げるところまで成長している。

(次回に続く)


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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。

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