“SNS、お貸しいたします”ハイブランドSNSの基盤となるか「Backplane」
“SNS、お貸しいたします”ハイブランドSNSの基盤となるか「Backplane」
ポストFacebook―新興SNS達の挑戦（後編）2013年05月13日
TEXT：小川 浩（シリアルアントレプレナー）
Backplaneとは、英語で“回路基板を相互に接続するための、バスに連絡したコネクタ群からなる部分”のことだ。PCなどに使われるマザーボードとは違ってCPUやメモリをはめ込むソケットはないが、略して電子回路基板の一種であるといってもよいと思う。
今回紹介するのは、このBackplaneという、いかにも裏方ですよ、あなたのサービスや機能を支えますよという社名をもつスタートアップだ。Backplaneは、これまでも何度か紹介しているレディー・ガガのパーソナルSNS、LittleMonsters.comの開発・運営会社である。つまりBackplaneは、セレブ向けSNSの基盤をつくっている会社なのだ。
FacebookやGoogle+、TwitterのなどのメガSNSは、情報の拡散にはすぐれているが、いかんせんビジネスを行なう段階になると企業には非常に不自由な制約が多い。したがって、どうしてもオウンドメディアへの引き込みを考えていかなければならない。
同時に、メガSNSからトラフィックを引き込むことができたとしても、オウンドメディアが昔ながらのカタログサイトであったり、SNS内でユーザーの関心を勝ち得た当該コンテンツにたどり着くのが困難な、LPO対策が施されていないWebサイトであった場合、そのユーザーからの再訪はないだろう。
そこで、オウンドメディアこそソーシャル化されなければならない、という結論が生まれる。Backplaneは、自社サイトをソーシャル化というよりソーシャルメディアそのものにすることで、外部のメガSNSからの訪問者をより温かくもてなし、再訪を促すためのソリューションなのだ。
TEXT：小川 浩（シリアルアントレプレナー）
Backplaneとは、英語で“回路基板を相互に接続するための、バスに連絡したコネクタ群からなる部分”のことだ。PCなどに使われるマザーボードとは違ってCPUやメモリをはめ込むソケットはないが、略して電子回路基板の一種であるといってもよいと思う。
今回紹介するのは、このBackplaneという、いかにも裏方ですよ、あなたのサービスや機能を支えますよという社名をもつスタートアップだ。Backplaneは、これまでも何度か紹介しているレディー・ガガのパーソナルSNS、LittleMonsters.comの開発・運営会社である。つまりBackplaneは、セレブ向けSNSの基盤をつくっている会社なのだ。
FacebookやGoogle+、TwitterのなどのメガSNSは、情報の拡散にはすぐれているが、いかんせんビジネスを行なう段階になると企業には非常に不自由な制約が多い。したがって、どうしてもオウンドメディアへの引き込みを考えていかなければならない。
同時に、メガSNSからトラフィックを引き込むことができたとしても、オウンドメディアが昔ながらのカタログサイトであったり、SNS内でユーザーの関心を勝ち得た当該コンテンツにたどり着くのが困難な、LPO対策が施されていないWebサイトであった場合、そのユーザーからの再訪はないだろう。
そこで、オウンドメディアこそソーシャル化されなければならない、という結論が生まれる。Backplaneは、自社サイトをソーシャル化というよりソーシャルメディアそのものにすることで、外部のメガSNSからの訪問者をより温かくもてなし、再訪を促すためのソリューションなのだ。
Backplaneは、もともとレディー・ガガのメディアプロモーションを担当するジェネラルマネージャー、トロイ・カーターと、レディー・ガガ自身の発案でつくられた会社だ。レディー・ガガのLittleMonsters.comをつくり、運営するために発足した企業といってよい。設立当初はLittleMonsters.comの開発にだけ従事しており、さらにいうと“アーティストが自身のファンを集約して音楽やライブなどを直接販売していくためのツール＝音楽にフォーカスしたSNS”である印象が強かった。事実、レディー・ガガの次はガンズ＆ローゼスやK-POPのプロモーション用サイトなどをローンチしたし、現在カニエ・ウェストを軸としたコミュニティの準備もしている。
しかし、いまではノーベル平和賞受賞者である南アフリカのネルソン・マンデラの支持者を集めるWebサイトや、コカ・コーラ、ヴォーグなどで知られるメディア企業 コンデナストグループ、レッドブルやシルク・ド・ソレイユなどのコミュニティへと対象を広げている。彼らのサービスの特徴は、
・ハイブランドや著名人にSNSエンジン「Backplane」を提供
・サービスの利用申込はクローズであり、誰でもBackplaneを使えるわけではない
・クライアントの独自URLで提供
・PinterestやTumblrに似た画像中心のコミュニティ
というものだ。余談だが、これらの特徴は僕が運営しているRevolverと非常によく似ている。RevolverはBackplaneにヒントを得て生まれたサービスだが、当初音楽にフォーカスするBackplaneとは違って、最初からさまざまなブランドへの展開を前提にしていた。ところが最近ではBackplaneの方針が変わり、事業戦略上の差異は縮まりつつある。
今回、僕はFacebookに挑戦する新興のSNS達を取り上げているが、どれもまだ日本ではなぜかあまり話題になっていない。しかし、PheedにしてもSnapchatにしても、Facebook離れが囁かれている若者からの支持を急速に集めはじめている。また、本稿のBackplaneも、米国のソーシャルメディア業界では非常に注目を集めるベンチャーだ。
ただ、Backplaneに関しては、やはりはじめはファウンダーのひとりであり音楽業界の大物であるトロイ・カーターに話題が集まり、ソーシャルサービスというよりはエンターテイメント業界における新しい取り組みという見方で話題が先行していたように思う。
それを変えたのは、CEOのマット・ミケルセンらしい。セレブ特化では市場が狭いよ、ということかもしれない。いまやBackplaneは、世界中のブランドのファンが直接的な交流を行なうための、魅力的なサロンを提供する企業へと進化しはじめている。
しかし、いまではノーベル平和賞受賞者である南アフリカのネルソン・マンデラの支持者を集めるWebサイトや、コカ・コーラ、ヴォーグなどで知られるメディア企業 コンデナストグループ、レッドブルやシルク・ド・ソレイユなどのコミュニティへと対象を広げている。彼らのサービスの特徴は、
・ハイブランドや著名人にSNSエンジン「Backplane」を提供
・サービスの利用申込はクローズであり、誰でもBackplaneを使えるわけではない
・クライアントの独自URLで提供
・PinterestやTumblrに似た画像中心のコミュニティ
というものだ。余談だが、これらの特徴は僕が運営しているRevolverと非常によく似ている。RevolverはBackplaneにヒントを得て生まれたサービスだが、当初音楽にフォーカスするBackplaneとは違って、最初からさまざまなブランドへの展開を前提にしていた。ところが最近ではBackplaneの方針が変わり、事業戦略上の差異は縮まりつつある。
今回、僕はFacebookに挑戦する新興のSNS達を取り上げているが、どれもまだ日本ではなぜかあまり話題になっていない。しかし、PheedにしてもSnapchatにしても、Facebook離れが囁かれている若者からの支持を急速に集めはじめている。また、本稿のBackplaneも、米国のソーシャルメディア業界では非常に注目を集めるベンチャーだ。
ただ、Backplaneに関しては、やはりはじめはファウンダーのひとりであり音楽業界の大物であるトロイ・カーターに話題が集まり、ソーシャルサービスというよりはエンターテイメント業界における新しい取り組みという見方で話題が先行していたように思う。
それを変えたのは、CEOのマット・ミケルセンらしい。セレブ特化では市場が狭いよ、ということかもしれない。いまやBackplaneは、世界中のブランドのファンが直接的な交流を行なうための、魅力的なサロンを提供する企業へと進化しはじめている。
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［筆者プロフィール］
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ（毎日コミュニケーションズ）、『Web2.0BOOK』（インプレス）、『仕事で使える!「Twitter」超入門』（青春出版社）、『ソーシャルメディアマーケティング』（ソフトバンククリエイティブ／共著）などがある。
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