オウンドメディアのルネサンスは起きるのか?(前編)

オウンドメディアのルネサンスは起きるのか?(前編)

2014年04月07日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

後編はこちら>オウンドメディアのルネサンスは起きるのか?(後編)

Facebookが、企業向けアカウントページとなるFacebookページへのトラフィックを絞り、広告による集客をしない限りは従来の10%程度へと激減させることを発表した。

Facebookは2010年にFacebookページの仕様を大きく変更し、Webサイトの代用としてのページ型UIから一般ユーザーと同様のタイムライン型UIへと変えた。そのため、いわゆるFacebookマーケティングを行っていたBuddyMediaやWildFireなどのソーシャルメディアマーケティング企業群は、続々と身売りもしくは廃業して消え去った。日本国内ではモニプラを擁するアライドアーキテクツがIPOに成功したが、世界的に見ると非常に希有な例だといえる。

もはやFacebookページを利用した商売が許されるのは、Facebook広告を販売する代理店だけとなった。こうなると、Facebookアプリを開発したり、集客ツールを使ってFacebookページのいいね!数を稼ぎ、消費者とのエンゲージメント向上や販促活用を考えてきた企業にとって、Facebookページをオウンドメディア代わりに使うという選択肢はほぼなくなってきたといえる。やはりオウンドメディア、その名のとおり自身のWebサイトやECサイトなどを充実させることが必要というわけだ。


ところが、2014年の日本国内における企業のWebサイト保有率は40%以下にとどまったままだという。この平均値は米国でも同程度らしい。日本国内の事業者数は300万社ほどだが、その99.7%は従業員数100人以下の中小企業によって占められている。つまり、中小企業のうち約180万社は自前のWebサイトを持っていないわけだ。

仮にWebサイトをもっていたとしても、スマートフォン対応サイトまではほとんど有していない状態だと想定できる。さらにいえば、ソーシャルメディア対応をしているWebサイトになると大企業であってもかなり少なく、全体で見れば皆無に近いのが現状だ。そのうえモバイルアプリ対応ともなると、限りなくゼロに近いだろう。

O2O(オンラインからオフラインへと消費者を送客すること)やオムニチャネル(リアル店舗、ECなど、さまざまな販売チャネルを適宜最適化して販売促進すること)は大きな市場になっているが、それも大企業だけの話であり、日本国内でいえば99.7%の企業は置いてけぼりとなったままだ。彼らはO2OやSEOどころではなく、Webサイトさえもっていないのだから。

(後編に続く ※4月14日公開予定)


Facebook




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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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