Pokémon GOはコピー可能なアイデア!二匹目のドジョウを狙うのは誰か

Pokémon GOはコピー可能なアイデア!二匹目のドジョウを狙うのは誰か

2016年7月25日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

世界各地で大ブレイクを果たし、TwitterのDAU(デイリーアクティブユーザー)数を超えたとされる「Pokémon GO」。2016年7月22日、ついに日本にも上陸したが、早速ダウンロードして楽しんでいる人も多いことだと思う(もちろん僕もダウンロードした)。

実際、この三日間で目撃した”歩きスマホ”の9割(母数はざっくり30人くらい)は、Pokémon GO(以下:ポケモンGO)をプレイ中だった。すれ違うたびにさっと振り返ってスマホの画面を確認したから間違いない(笑)。

ポケモンGOは、7月6日から米国、オーストラリアなどでサービスを開始し、徐々に配信地域を拡大してきた。いまでは30カ国以上でプレイされている。ここで、ポケモンに馴染みの薄い読者に対して簡単な説明を加えておくが、ポケモンGOは、拡張現実(AR)を扱うナイアンティックが開発した位置情報ゲームだ。

ゲームそのものは昔ながらのポケモンゲーム同様でポケモンを捕獲し、そのポケモンを使って他のプレイヤーと戦ったりすることが可能で、プレイヤー自身のことは、ポケモントレーナーと呼ぶ。

そして、ポケモンGOはARを利用することで、実際に街中を歩きながら、さまざまな場所に潜むポケモン(ポケットモンスター)を捕獲し、育成し、交換し、バトルを楽しむことができる、という仕組みだ。

だからプレイヤーは、ポケモンを探しながら外を歩き回る、ということになる。逆に言うと家の中でじっとしているとプレイできない。ポケモンが自分の近くにいるとスマホが振動してそれを感知できるのと、町中のところどころにさまざまなアイテムをゲットできるスポット(ポケストップ)がある。結果的に外に出るから、ひきこもり解消に一役かう、という声も出ているそうだ。

ただ、歩きながらプレイすることになるので、歩きスマホを助長したり、前方不注意で進入禁止の場所や危険なエリアに踏み込んでしまう(車道にうっかりでてしまったり)リスクがあるのも確かで、プレイヤーには注意が促されている。

このポケモンGOは、いわゆるO2O(オンライン・トゥー・オフライン。つまりネットサービスによって実際の店舗などにユーザーを誘致すること)の強力なフックになることが期待されている。

プレイヤーたちはポケモンを探して歩き回るわけだから、「ここにレアなポケモンがいますよ」「いろいろなアイテムをゲットできますよ」と告知できれば、集客につながるわけだ。もしくは店舗で商品を買うことで、ポイント(ポケコイン)を得ることができるという告知もできる。実際、いち早くポケモンGOとの連携を発表した日本マクドナルドのニュースは、ご存知の方も多いだろう。

ARを利用したゲームといえば最近ではIngressがあるが、僕としてはセカイカメラを思い出す。セカイカメラが今ひとつはやらなかった理由は、やり続けるモチベーションをユーザーに与えることができなかったからだ。ポケモンGOはポケモンというIP(知的財産)をうまく紐付けることで、ユーザーに常にアプリをオンにするモチベーションと理由を与えることができた。


Ingress

こうなると、今後同じようなAR×IPをベースとしたコピーキャット的な位置ゲーは多く登場するかもしれない。例えば、ディズニーランドやユニバーサルスタジオのようなテーマパーク内限定の位置ゲー(USJの中に入ったら自分がポッターになって、ヴォルデモート卿と戦ったり賢者の石を探したり)が配布されるかもしれない。もちろん、自社開発などせずにポケモンGOとのコラボというのもあるだろう。

今回のようにAR×IPのような二つの要素の組み合わせ、そしてそれを使うための理由付けに成功すれば世界的な流行をいとも簡単に生み出せる、そういうことをポケモンGOは証明した。二匹目のドジョウを見つけるのは誰か。注目したい。

「Pokémon GO」
 URL:http://www.pokemongo.jp/

GooglePlayからダウンロード


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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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