「“動画サービス業界のTwitter”─『Ustream』」
「“動画サービス業界のTwitter”─『Ustream』」
2010年2月1日
TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)
Twitter以前と以後によって様変わりした勢力図
筆者は最近、ソーシャルメディアマーケティングに関する書籍をリリースした。書名はずばり、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ刊)。臆面もないと思われるかもしれないが(笑)ネーミングは重要だ。
「Twitter」の普及以前と以後では、ソーシャルメディアはその構造も性格も役目もまるで違う。ここで何度も繰り返しているように、2006年のソーシャルメディアが“静的な湖畔”であるとすれば、2010年のソーシャルメディアは激しく海流が巡っている“動的な大海”だ。
Twitter以外のソーシャルメディアにもこの兆候が現れている。動画を共有するサービスとしては「YouTube」が有名だが、日本ではアップされた動画にリアルタイム的にコメントを投げ込むことができる「ニコニコ動画」が台頭し、人気を博した。
UstreamはiPhoneによって台頭した
そして、世界では2007年3月に設立された「Ustream」(ユーストリーム)がいる。彼らはライブ動画共有サービスだが、動画の視聴者とリアルタイムでチャットしたり、視聴者から投票を受け付ける機能などがあり、Twitter同様に、2008年のアメリカ合衆国大統領選挙で多くの候補者に利用されたことで有名になった。
ライブ動画共有サービス「Ustream」
http://www.ustream.tv/
ニコニコ動画とUstreamに共通するのはリアルタイム性だ。特に、UstreamはiPhoneという強力なパートナーを得たことで、動画のリアルタイム配信(ライブストリーミング)のインターフェイスとして、非常に強力な存在となっている。YouTubeが動画の“世界のBlog”とすれば、Ustreamは動画の“世界のTwitter”と言っていい。
同じように写真の共有サイトといえば「Flickr」だったが、いまや「Twitpic」などのTwitterに画像を投稿するための補助的ツールとして生まれたさまざまな画像共有サービスに圧倒されつつある。ここでもTwitterとiPhoneとの組み合わせは最強だ。
つまり、ありとあらゆるソーシャルメディアやリアル社会のサービスが、TwitterとiPhoneの影響を受け、リアルタイム化していく。この兆候は単なる流行ではなく、時間とともに流れる強大な運命と思っていいだろう。
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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。