iPhoneの背面に磁力で吸着するMagSafeを利用したアクセサリーの中で、ひとつの独立したジャンルとなっているのが、iPhoneを立てておくためのスタンドです。デスクの上に平置きにしておくのと違って、iPhoneの画面を参照しやすくなりますので、通知や着信を見逃しにくくなります。

もっともこうしたスタンドを実際にデスク上で使ってみると、高さがないせいでiPhoneの下部がキーボードなどの障害物に隠れてしまったり、また充電ケーブルを挿したままでは立てられなかったりと、利用環境によってはいまいち不便なこともあります。

今回紹介するMOFTの「七変化マルチスタンド」は、さまざまな形状に変形することで、あらゆるニーズに対応するMagSafe対応のiPhone用スタンドです。

本製品は折りたたんだ状態では、やや厚みのあるクレジットカードといった体裁です。ふだんはiPhoneの背面に取り付けておくか、取り外してポケットやバッグの中に入れておきます。

iPhoneの背面に取り付け、折りたたまれたボディを開くと、そのままiPhoneのスタンドとして使えます。角度は30～90°の間で無段階で調整でき、強度もあるため、使っていてジリジリと倒れていくといったこともありません。

これだけならば一般的なMagSafe対応のスタンドと変わりはないのですが、本製品は底面をさらにもう1段階展開することによって、iPhoneを持ち上げて立てることができます。

この状態では、iPhoneの底面がデスク上から6～8cmほど持ち上がった状態になりますので、充電ケーブルを挿したままセットすることができるほか、キーボードなどの障害物の奥に置いても、画面が隠れて見えなくなることもありません。

iPhoneは磁力で吸着させていますので、90°回転させて画面を横向きにすることで、動画鑑賞にも役立ちます。またこのスタンド自体、手前に45°、奥に20°倒すことができますので、自撮りをしたい場合や、テレビ会議のカメラとして使う場合など、アングルの調整も容易です。なかでも下方向に倒せるのは、一般的なスタンドはなかなかできない芸当です。

さらに本製品は、展開した時にスタンドでは脚になる部分を握って、自撮りなどに使うこともできます。幅は広いままなので持ちやすいとはいえませんが、表面は薄いフェルト状の素材で覆われていることもあり、握り心地は悪くありません。

このように、さまざまな利用スタイルに対応することから、七変化マルチスタンドというキャッチコピーがつけられています。実際に7つもあるかと言われると微妙ですが、一般的なスタンドに比べると「このスタイルではちょっと不便だな」と感じた時の代替策が多数あるので、利用にあたってストレスを軽減できるのは事実です。

ちなみにiPhoneを吸着できるのは、MagSafeの形状が印刷してある表面のみ。本製品はMagSafeアクセサリーとしてはかなり磁力が強いことから、もしかすると裏面でも吸着できてしまうのでは？ と思ってしまいますが、試したところまったく吸着しませんでした。ほぼ完全に磁力を殺せているのは、むしろ興味深いところです。

そんな本製品で気をつけたいのは、ひとつは5,780円という価格です。さまざまなスタイルに対応するなど利便性は文句なしで、実際に使ってみるとたしかにそれだけの価値はあるのですが、予算的には少々厳しいという人は少なくないでしょう。セールなどを利用し、なるべく安く購入したいものです。

もうひとつは重量です。本製品をたたんだ状態のサイズはクレジットカードとほぼ同等、厚みもせいぜいクレジットカード2～3枚分なのですが、強度の高いヒンジや、マグネットを内蔵しているせいか、重量は実測90gもあります。現行のiPhoneは200g前後なので、取り付けると重量は1.5倍ほどになります。保護ケース程度ではあまり気にならなくても、本製品の重さはちょっと厳しいと感じる人は少なくないでしょう。

そのため、iPhoneに取り付けて持ち歩くことは物理的にはまったく支障はないのですが、基本的には未使用時は取り外してバッグの中に入れておき、使う時だけ引っ張り出したほうがよいでしょう。MagSafeを採用した製品ゆえ着脱は自在ですので、そうした特性をうまく活かした運用を心掛けたほうがよさそうです。

DATA

製品名：七変化マルチスタンド
実売価格：5,780円
発売元：MOFT
Amazon：https://www.amazon.co.jp/dp/B0CHRMXTHY/