第4話 「Webの雑誌」の今後 2 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて



2004年、雑誌のページをめくるような革新的なインターフェイスで登場したファッション&ライフスタイルのWebメディア、フイナム(houyhnhnm.jp)。そのフイナムの発行人でもある株式会社ライノの代表取締役、蔡 俊行氏に話をうかがった。



第2話 「Webの雑誌」の今後 2



??「Webの雑誌」は今後どういったものになっていくとお考えですか?

蔡●どこかに情報を欲している人がいて、その情報を正確に伝えられるメディアがあれば、需要と供給のバランスがとれると思うんですね。そこには広告なりなんらかの媒介するものがあって、それをうまく運営していくことが必ずできると思うんです。ですから、いまのところビジネスとしてどこまで拡大できるかわからないですが、僕としては十分に可能性があると思います。

紙の雑誌すべてがWebに来るということはあり得ないと思うんですけども、有力な雑誌は紙メディアとして残るでしょうし、中途半端なものは自然淘汰されていく。これはおそらく間違いなくでしょう。すべての雑誌数は減っていく運命にあると思います。ほとんどの紙の雑誌メディアがWebに変わるのではないでしょうか。制作費が安いですし。

出版社がWeb雑誌になかなか参入してこれない最大の理由っていうのは、販売の収益がなくなる、取次との関係が悪くなるということもあるでしょうが、一番最大の理由は、現在の広告単価をWebに移転した場合にそのまま当てはめることができなくなるということですよね。ファッションのクライアントがWebの広告にどこまで信頼を置くようになるのか? また、そういった時代が来るのか来ないのか? それ次第ですね。

??それは、蔡さんがお仕事でやられているブランディングに近いんじゃないですか?

蔡●よく広告代理店の方たちがおっしゃるんですけど、Webというのは最初が悪かったんだと思います。CPCというクリック数による課金システムは、一番広告業界でアンタッチャブルなことだったけど、それを最初にやってしまった。雑誌の発行部数とかはそれこそブラックボックスの中だし、視聴率だってあれこそブラックボックスですよね。そういった「あ・うん」の呼吸で釣り上げてきた広告料だし、広告システムだったのだけど、Webにおいては費用対効果を正確に出すことができるし、いまではそういうことをみんなが知っている。

だから、広告出稿すると、何人の人が見にくるんだ、実際に商品が何個売れたのかっていう話になってくると思うんです。特にファッションは消費者と密接で、まさにBtoCの企業ですから。だから、Webにおいては有名雑誌と同じようにブランディングというか、クライアントに対してはブランドのイメ?ジを上げるという考え方をしてくださいという売り方しかできない。

??フイナムというブランドとしてのこだわりは?

蔡●明文化はしていないんですけど、自分の中ではなんとなくありますね。自分が基準というか、それはカッコ悪いよとか、それいいんじゃない、みたいな直感で判断してる感じですね。明文化できない難しさってありますよね。このモデルとこのモデルの善し悪しは何ですか? って聞かれると答えられないじゃないですか。「こっちのほうがかっこいいじゃん」ってくらいしか(笑)。
そこはロジカルにいかないところで。もちろん企画の具体的内容や編集実務などについては、論理的に説明できますから、でもなぜこのA企画は良くてB企画はダメなのかっていうと、「A企画つまんなそうだから」と、それぐらいしか言えないんですよね。それもやっぱり難しいですよね。基準になるのは自分なので。

??メディアを作るようになって変わったことはありますか?

蔡●いや、ちょっと忙しくなっちゃって(笑)。そこが、すごく変わったところですね。今まではあまりビジネスに積極的じゃなかったんです。楽しいことをやってたら後からお金が付いてきた。計画性もなくやってきたんですけども、こういうビジネスをやるためにはきちんと計画を立ててやっていかなくてはいけないということを去年の秋から考えるようになってきました。

今では会社も組織化してきて、これまでは感覚でビジネスをしてきたけれど、いわゆる会社組織になってきていますね。Webサイトでしっかりビジネスとして収益上げていこうと考えると、やはり自分たちのやり方も変えざるを得ない。今までの勘とノリだけでやっていける状態ではないなと。

もちろん、まだまだ自分の感覚を信じているし、他の人にフイナムみたいなサイトをつくることは簡単にはできないと思います。写真やスタイリング、デザイン、編集などプロフェッショナルのスタッフがつくりあげているサイトと、素人や個人がつくるサイトではあきらかに違いがあると思いますし。

でもまだまだWebならではの検討事項はありますね。編集方針に関しては2?3カ月ごとにトライアルアンドエラーをやってるんですよ。内容については僕は今はほとんどタッチしてないんですけど、まだ満足いくレベルに達してないし。予算の問題もある。予算をかけれればより面白い内容にもできると思うんですけど、今はビジュアルで見せるというところがフイナムの強みなんです。なので、今後は内容をより濃いものにしていきたいですね。今は見るサイトですが、これからは、見て、そしてもっと読めるサイト。企画はたくさんあるんですけどね。

??最後に一言

蔡●ぜひ、見に来て楽しんでくださればという感じですね。フイナムならではの大物のスタイリストや優秀なクリエイタ?の参加が結構あるんです。ぜひ一度見てみてください。



(取材/文:服部全宏(GO PUBLIC) 写真:谷本 夏  編集:蜂賀 亨)

株式会社ライノ 代表取締役 蔡 俊行氏

株式会社ライノ 代表取締役

蔡 俊行氏

twitter facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

この連載のすべての記事

アクセスランキング

8.30-9.5

MdN BOOKS|デザインの本

Pick upコンテンツ

現在