
2003年設立後、ルイ・ヴィトン・ジャパンのブランディングサイト、ADCのサイトなど、数々のブランディングサイトで評価を集めるSIMONE。そのSIMONEのクリエイティブ・ディレクター/代表であるムラカミカイエ氏に話をうかがった。
第3話 表現の幅を広げて行きたい
??ブランディングサイトのゴールとは?
ムラカミ●見えないですね。目的で言えば「ブランドになっていないメーカーを短期間でブランド化する」とか「ブランド力を上げる」とかブランディングサイトの命題をクリアすることに尽きますよね。ブランド力の優劣って、同じスペック、同じ機能を持った他社の商品よりどれだけ高く売ることができるかで決まる。そのためには高いクリエイティビティを長い時間かけて常に発信し続け、ユーザーの信頼を勝ち取っていく地道な方法論しかなかったですから。
Webは情報供給量を発信者側がコントロールできるので、その時間軸を縮めたりすることは出来るのかもしれない。僕らのクライアントでは海外のラグジュアリーブランドで100年超、京都の老舗の友禅染の和装のメーカーに至っては450年の歴史を持っています。仕事を通して深く知れば知るほど、その伝統継承の奥深さと難しさに感銘を受けますから、それ自体が非常に難しいことだっていう認識はあります。
??Webメディアならではの特性とかはありますか?
ムラカミ●Webに興味を持った頃は、まず自分の持っているいろんな想いやイメージをダイレクトにユーザーに伝えることができるっていう点に惹きつけられました。インタラクティブっていう観点は後からですね。元々メディアに興味を持ち始めたのも、自分が作ったプロダクトをもっと多くの人に知って欲しいという単純な動機からでした。でも雑誌などに掲載してもらうにはお金がかかるし、プレスや編集者などの仲介者が増えれば増えるほどイメージは湾曲して伝わっていくし。とにかくいろいろな障害にぶつかるんですよ。
ショーが好きだったのも、そういうフラストレーションを感じることなく、自分のエゴが100%出し切れて、かつその場ですぐにお客さんの反応が分かるから。ライブならではの緊張感を味わいつつ、自分のクリエイションへの評価がすぐに判断できる。幸運にも非常に恵まれた環境を与えてもらっていましたけど、普通はショーをやるにしても莫大な経費がかかるし、そもそもやったところでどのくらいの人が見にきてくれるのかわからない。
Webは、それに近い感覚をダイレクトに、大勢多数に伝えることができるし、いままでとはまったく異なるブランドコミュニケーションの方法がとれる。デザインに関わる人間にとってはすごく有益なメディアですよ。Web上だと一新人が歴史あるデザイナーと横並びになれる。音楽業界でいうLILY ALLENみたいな例のように、発信したいことがある、表現したいことがあるっていう動機と行動力があれば、Webっていうメディアを介して登場してくる新人デザイナーが出てきても不思議じゃないですから。
??今後のWebについてはどう考えますか?
ムラカミ●Webの未来像や技術論のようなことには、あまり触れないようにしています。知りすぎると、表現や直感にさえも自分でリミットを課しそうになるので。ウチのスタッフにも「知りすぎないでください」ってよく言われています。むしろみなさんがどちらに向かせようとしているのかに興味があって、僕はそれを傍目に見ながら、どういうアンチテーゼがあるかを考えたり、表現したりすることに興味があります。典型的なあまのじゃくかな。ただ、より先進的に色々なことができるようになって欲しいとは常に思っています。情報を供給できる量が大きくなればなるほど、技術が進歩すればするほど、演出や表現の領域は広がりますから。僕らのようなスタイルでWebを捉えているクリエイターには好材料の方が多いですね。
SIMONEの作品ではユーザーがファッションに抱いているファンタジーを常に大事にしてあげたい。2ちゃんねるやYouTubeのようなリアルな媒体にはとても刺激を受けますけど、自分が表現したいこととは真逆ですね。ファッションってとても自由で、刺激的で、魅惑的な世界に見えますけど、裏側はそれと相反する地味な作業や、職人的な作業から成立している業界です。ギャップがあればあるほど惹きつけられるし、みんな裏側を見るのって楽しいし、知りたいじゃないですか。
でもそこで惹きつけるのは、どのジャンルでも出来る方法なので、やらなくていいかなって。汗臭いところを一切見せないで、そのブランド、プロダクト自体が持っている魅力をWebでしかできない方法論だけでふくらませることでブランディングをし続けたい。難しいことなんですけどWebは、それを表現をする上でとても理想的なメディアだし、今後もインフラの進化に身を委ねて変容し続けていくと思います。
??気になるサイトってありますか?
ムラカミ●世界のどこに出張に行っていても海外の様々なジャンルのポータルサイトは必ず毎日チェックします。ポリティカル系、セレブゴシック系、カースパイショット系などをはじめとして、日本ではその類の情報で純度が高いモノがまず手に入らない。あと公的なメディア上での編集方針の偏りを真に受けるのがいやなので、必然的に自分の判断基準の材料となるフラットな情報源だけをWeb上で探してしまいます。個人的に見るサイトはWebとしての仕掛け自体にはあまり興味無くて、すべて内容重視で情報の純度と鮮度、あと深さを求めます。
インスピレーションソースとして考えてもWebより「ショービジネス」などの他の業界から受ける影響の方が遙かに大きいですね。例えば、田村が演出している東京ガールズコレクションはわかりやすい。モデルとファッション、映像や音楽などの要素をふんだんに盛り込んだエンターテイメントショーは、ファッションに興味がない人でも、各業界のプロが見ても楽しめますし。それを数万人が同時に体感したときの会場の空気感とか、個々が体感し得る感動とか、そういった感覚をWeb上で提案していかなきゃって、見るたびに考えさせられます。必然的にWebではない、映画やミュージックビデオ、アーティストのライブ、舞台芸術などをよく見ていますね。アプローチ、演出、カット割りなど、勉強になることは山ほどあって自分達の仕事にもかなり応用しています。
ムラカミ●見えないですね。目的で言えば「ブランドになっていないメーカーを短期間でブランド化する」とか「ブランド力を上げる」とかブランディングサイトの命題をクリアすることに尽きますよね。ブランド力の優劣って、同じスペック、同じ機能を持った他社の商品よりどれだけ高く売ることができるかで決まる。そのためには高いクリエイティビティを長い時間かけて常に発信し続け、ユーザーの信頼を勝ち取っていく地道な方法論しかなかったですから。
Webは情報供給量を発信者側がコントロールできるので、その時間軸を縮めたりすることは出来るのかもしれない。僕らのクライアントでは海外のラグジュアリーブランドで100年超、京都の老舗の友禅染の和装のメーカーに至っては450年の歴史を持っています。仕事を通して深く知れば知るほど、その伝統継承の奥深さと難しさに感銘を受けますから、それ自体が非常に難しいことだっていう認識はあります。
??Webメディアならではの特性とかはありますか?
ムラカミ●Webに興味を持った頃は、まず自分の持っているいろんな想いやイメージをダイレクトにユーザーに伝えることができるっていう点に惹きつけられました。インタラクティブっていう観点は後からですね。元々メディアに興味を持ち始めたのも、自分が作ったプロダクトをもっと多くの人に知って欲しいという単純な動機からでした。でも雑誌などに掲載してもらうにはお金がかかるし、プレスや編集者などの仲介者が増えれば増えるほどイメージは湾曲して伝わっていくし。とにかくいろいろな障害にぶつかるんですよ。
ショーが好きだったのも、そういうフラストレーションを感じることなく、自分のエゴが100%出し切れて、かつその場ですぐにお客さんの反応が分かるから。ライブならではの緊張感を味わいつつ、自分のクリエイションへの評価がすぐに判断できる。幸運にも非常に恵まれた環境を与えてもらっていましたけど、普通はショーをやるにしても莫大な経費がかかるし、そもそもやったところでどのくらいの人が見にきてくれるのかわからない。Webは、それに近い感覚をダイレクトに、大勢多数に伝えることができるし、いままでとはまったく異なるブランドコミュニケーションの方法がとれる。デザインに関わる人間にとってはすごく有益なメディアですよ。Web上だと一新人が歴史あるデザイナーと横並びになれる。音楽業界でいうLILY ALLENみたいな例のように、発信したいことがある、表現したいことがあるっていう動機と行動力があれば、Webっていうメディアを介して登場してくる新人デザイナーが出てきても不思議じゃないですから。
??今後のWebについてはどう考えますか?
ムラカミ●Webの未来像や技術論のようなことには、あまり触れないようにしています。知りすぎると、表現や直感にさえも自分でリミットを課しそうになるので。ウチのスタッフにも「知りすぎないでください」ってよく言われています。むしろみなさんがどちらに向かせようとしているのかに興味があって、僕はそれを傍目に見ながら、どういうアンチテーゼがあるかを考えたり、表現したりすることに興味があります。典型的なあまのじゃくかな。ただ、より先進的に色々なことができるようになって欲しいとは常に思っています。情報を供給できる量が大きくなればなるほど、技術が進歩すればするほど、演出や表現の領域は広がりますから。僕らのようなスタイルでWebを捉えているクリエイターには好材料の方が多いですね。
SIMONEの作品ではユーザーがファッションに抱いているファンタジーを常に大事にしてあげたい。2ちゃんねるやYouTubeのようなリアルな媒体にはとても刺激を受けますけど、自分が表現したいこととは真逆ですね。ファッションってとても自由で、刺激的で、魅惑的な世界に見えますけど、裏側はそれと相反する地味な作業や、職人的な作業から成立している業界です。ギャップがあればあるほど惹きつけられるし、みんな裏側を見るのって楽しいし、知りたいじゃないですか。でもそこで惹きつけるのは、どのジャンルでも出来る方法なので、やらなくていいかなって。汗臭いところを一切見せないで、そのブランド、プロダクト自体が持っている魅力をWebでしかできない方法論だけでふくらませることでブランディングをし続けたい。難しいことなんですけどWebは、それを表現をする上でとても理想的なメディアだし、今後もインフラの進化に身を委ねて変容し続けていくと思います。
??気になるサイトってありますか?
ムラカミ●世界のどこに出張に行っていても海外の様々なジャンルのポータルサイトは必ず毎日チェックします。ポリティカル系、セレブゴシック系、カースパイショット系などをはじめとして、日本ではその類の情報で純度が高いモノがまず手に入らない。あと公的なメディア上での編集方針の偏りを真に受けるのがいやなので、必然的に自分の判断基準の材料となるフラットな情報源だけをWeb上で探してしまいます。個人的に見るサイトはWebとしての仕掛け自体にはあまり興味無くて、すべて内容重視で情報の純度と鮮度、あと深さを求めます。
インスピレーションソースとして考えてもWebより「ショービジネス」などの他の業界から受ける影響の方が遙かに大きいですね。例えば、田村が演出している東京ガールズコレクションはわかりやすい。モデルとファッション、映像や音楽などの要素をふんだんに盛り込んだエンターテイメントショーは、ファッションに興味がない人でも、各業界のプロが見ても楽しめますし。それを数万人が同時に体感したときの会場の空気感とか、個々が体感し得る感動とか、そういった感覚をWeb上で提案していかなきゃって、見るたびに考えさせられます。必然的にWebではない、映画やミュージックビデオ、アーティストのライブ、舞台芸術などをよく見ていますね。アプローチ、演出、カット割りなど、勉強になることは山ほどあって自分達の仕事にもかなり応用しています。
(取材:服部全宏(GO PUBLIC) 写真:谷本 夏 編集:蜂賀 亨)
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ムラカミ カイエ SIMONE INC. / CREATIVE DIRECTOR 株式会社三宅デザイン事務所にて三宅一生に師事。 入社後間も無くISSEY MIYAKE、ISSEY MIYAKE MENのART DIRECTORとして数多くのプロジェクト陣頭指揮にあたる。独立後、フリーランスを経て、ファッションブランディングをベースとしたクリエイティブカンパニー “SIMONE INC.”を設立 |




