Lesson1 Flashの基本画面と描画
第2回 描画とレイヤー:ベクターグラフィック編
Flashで扱うグラフィックにはベクターグラフィックとビットマップグラフィックの2種類がある。今回はベクターグラフィックについて学んでいこう。ベクターグラフィックは、前回紹介したツールパネルの各描画ツールを使って描くことができる線と塗りからなるグラフィックのことだ。イラストなどを描くのに適していて、アニメーションにする際、さまざまな効果を持たせることができる。まずはベクターグラフィックとレイヤーを使って絵を描いてみよう。
(解説:北川貴清)
※「FlashのABC」の本文中の解説で使用しているサンプルデータは、別ページでダウンロードが行えます。
■Summary:ベクターグラフィックとは 今回はベクターグラフィックでレイヤーを使って絵を描いてみよう。ベクターグラフィックとは、ベクターと呼ばれる直線と曲線で描かれた画像のことで、「シェ イプ」とも呼ばれるものだ。「線ツール」、「ペンツール」、「矩形ツール」などのツールで描画したものがそれにあたる。Flashでは基本的にシェイプを描 画し、アニメーションにする。 シェイプは塗りと線からなり、塗りは位置とカラー、線は位置とカラーと太さなどのプロパティを持っている【図1】。これらのプロパティをマウス操作や数値 入力などによって変更することで図形の形や色を簡単に変えることができる。サイズやカラーを変更しても画質を損なうことはなく、データサイズも小さくて済 むのが特徴だ【図2】。 |
【図1】シェイプは線と塗りからなる
【図2】拡大しても画質は変わらない
■Summary:レイヤーとは レイヤーとは、ステージ上に重ね合わせられた透明シートのようなものだ。レイヤー別にオブジェクトを管理することでレイヤーごとに編集したり、重ね順を簡 単に入れ替えることができる。Illustratorなどのレイヤーと同じようなものと考えてよいだろう。またそれに加えて、Flashではレイヤーごと にアニメーションを作成して、複雑な動きを作ることもできる【図3】。 |
【図3】[レイヤーの追加]ボタンをクリックすると新しいレイヤーが追加される
フリーハンドで絵を描く
「ブラシツール」を使って木を描いてみよう。フリーハンドで大雑把に描いてから、「ダイレクト選択ツール」などを使って編集する。木と葉っぱはレイヤーに分けて作成しよう【サンプル1】。
【サンプル1】 木の完成サンプル1
1.ツールパネルから「ブラシツール」を選び、オプションでブラシの形と太さを選択する。ステージにフリーハンドで木を描いていく。細かいところは気にせず大胆に描こう【図4】。
【図4】「ブラシツール」で木を描く
2.より手書き感を出したいのなら、このままでもよいが、ここではもう少し編集してみよう。描いた木のオブジェクトを「選択ツール」で選択する。ツールパネルのオプションで「スムーズ」をクリックすると木の形が滑らかに変形する。また、パスのアンカーポイントを減らし、swfサイズを抑えるメリットもある。何回かクリックしてちょうどよい形になるよう調整しよう【図5】。
【図5】「スムーズ」を何回かクリックして調整
3.「ダイレクト選択ツール」でアンカーポイントとハンドルをドラッグし、微調整を行う【図6】。
【図6】「ダイレクト選択ツール」で枝や、根っこの部分をきれいに整えよう
4.最後に葉っぱを描く。木の上にこのまま描いていってもよいが、それではあとから編集しづらい。そこで、レイヤーを追加し、「木」レイヤーと「葉っぱ」レイヤーに分けて描いていこう。これで完成だ【図7】。
【図7】レイヤー名を「木」と「葉っぱ」にしておくと、あとでわかりやすい
直線と図形を使って絵を描く
次は、「直線ツール」と「楕円ツール」を使って木を描いてみよう。直線を曲線に変更したり、線を塗りに変更することもできる【サンプル2】。
【サンプル2】木の完成サンプル2
1.ツールパネルから「直線ツール」を選び、オプションの「描画オブジェクト」をオンにする。プロパティインスペクタで線端の形を直線型にして、線の太さを変更しながら木を描いていこう。これらのプロパティは後からでも変更可能だ【図8】。
【図8】直線で木を描く。[Shift]を押しながら描くと、垂直の線を描くことができる
2.フリーハンドのときと同様にレイヤーを作成。「楕円ツール」で葉っぱを描いて完成だ【図9】。
【図9】「楕円ツール」で葉っぱを描く
3.ここからは2で描いた木のバリエーションを作っていこう【サンプル3】。
【サンプル3】木の完成サンプル3
まずは木のカラーをグラデーションにしてみよう。「木」レイヤーのオブジェクトをすべて選択し、[修正]→[オブジェクトを結合]→[結合]で、ひとつのオブジェクトに変換する。[カラーミキサー]パネルで線のカラーの[タイプ]を[線状]にし、グラデーションの色を設定する。同様に、葉っぱは塗りのカラーの[タイプ]を[放射状]にし、グラデーションの色を設定しよう【図10】。
【図10】[カラーミキサー]パネルでグラデーションを設定する
4.次は枝を曲線にしてみよう。「選択ツール」で線上をドラッグすると直線を曲線にすることができる【サンプル4】、【図11】。
【サンプル4】木の完成サンプル4
【図11】「選択ツール」で線上をドラッグする
5.線のオブジェクトを選択して、[修正→シェイプ→線を塗りに変換]を選択すると塗りに変換することができる。「ダイレクト選択ツール」を使ってアンカーポイントをドラッグし、木の枝の先を細くしてみた【サンプル5】、【図12】。
【サンプル5】木の完成サンプル5
【図12】線を塗りに変換してから「ダイレクト選択ツール」でアンカーポイントをドラッグする
■Point
描画オブジェクトとは同じレイヤーに描いたシェイプ同士が重なっても自動的に結合されない描画モードだ。個々のシェイプを後で編集したいときに用いると便利だ。[修正]→[オブジェクトを結合]→[結合]で複数のオブジェクトをひとつにまとめることもできる。
次回につづく
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[プロフィール] きたがわ●たかきよ 1972年8月生まれ。三重県出身。三重大学工学部卒業。大阪を拠点としてwebデザインを中心に活動中。著書に『Flash8デザインスクール for Win & Mac 』、『ネタ帳ビギナーズ FLASHテンプレート集 』。 http://www.f-l-a-v-o-r.com |