第3話 ブランディングにおける統一性 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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前回に引き続き、artlessの川上俊氏が手掛けた作品を紹介し、その制作過程における思考プロセスに迫る。第3話では「giuliano Fujiwara」のアートディレクションに注目し、黒を基調に統一された美しいアイテムの数々を紹介する。



第3話 ブランディングにおける統一性



どれを見ても同じこだわりを
感じさせることが大切




──今回ご紹介いただけるのは、どのような作品でしょうか。


川上●ミラノコレクションでも作品を発表しているgiuliano Fujiwaraのブランディングです。giuliano Fujiwaraは長い歴史の持つファッションブランドですが、2006年に新しいデザイナーになり生まれ変わりました。その段階から、僕もアートディレクションに携わっています。クリエイティブディレクター/デザイナーの松村正大さんにブランドのコンセプトなどを聞いて、まずはロゴを作るところから始めました。


──ロゴやシンボルマークは、端正な佇まいが特徴的ですね。


川上●テキストの部分には、マツムラさんの意向も汲んでセリフ系の書体を使用しています。また、「giuliano Fujiwara」という文字列の中には「i」と「j」による4つのドットが含まれていますが、そのドットだけ残したものをシンボルマークとして採用しました。ミニマリズムの表現です。この4つのドットの配置は、実際にブランド名を表記したときの間隔と合わせているのですが、とても気持ちの良いリズムを形成しているんです。


──これらのロゴやマークを盛り込みつつ、さまざまなグッズを作っているわけですね。


川上●そうです。ショップカードやレシート入れ、封筒など、ステーショナリーに至るまで、このブランドで使用されるものは、ほぼすべてデザインしています。


──ロゴやマークにも象徴されるように、どのアイテムも非常にシンプルなデザインが印象的です。


川上●洋服のコンセプトテーマが「ミニマリズム」で、飾り過ぎないブランドであることが、このような方向性を目指した大きな理由の1つです。もちろん、高価なブランドなので、品があり高級なイメージにしたいとの意図もありました。


──全体的に文字のサイズが小さめですが、その処理によっても高級感が演出されていますね。


川上●クライアントから「もっと文字サイズが大きいほうがいいのでは?」との意見もいただきましたが、買い手側に寄り過ぎているよりも、買い手側が入り込んできてくれるくらいのスタンスのほうが、このブランドのイメージには適していると考えたのです。


──川上さんのデザインのスタイルとして、やはりタイポグラフィに対するこだわりは強いのでしょうか?


川上●どちらかというと、僕は絵を描けるデザイナーではないし、だからこそ文字を重視しています。文字で絵を描いているような感覚です。ブルックマンなど、憧れだったデザイナーもタイポグラフィに力を入れていた方が多いのです。スイスのデザイナーで今は大阪にお住まいですが、シュミットさんも好きですね。昔、インテリアデザイナーを目指していた時期もあったので、バウハウスには少なからず影響を受けています。


──giuliano Fujiwaraに関するツールは、すべて黒を基調にデザインされているのですね。


川上●このブランドには黒い洋服が多いんです。それに合わせて黒をベースに、赤やシルバーなども用いて、モノトーンの雰囲気に仕上げています。


──黒の扱い方には何か工夫があるのでしょうか。非常に濃い色に見えますが。


川上●今回のデザインのコンセプトにおいて「黒」は重要なポイントなので、やはりこだわっています。具体的に言えば、紙はスーパーコントラストという紙の「スーパーブラック」で、「深い黒」を大切にしました。


──紙などを統一させることは、ブランドの持つアイデンティティを統一させる意味合いもあるのでしょうか。


川上●もちろん、そのような意図もあります。今回のような仕事では、どの作品を見ても同じ印象を与えたり、同じこだわりを感じさせることが大事です。それに、複数のアイテムを並べたときの見栄えに関しても、用紙が統一されていないと美しくないでしょう。


──紙媒体だけではなく、Webサイト(http://www.giulianofujiwara.com/)も手がけられているそうですね?


川上●ええ。徹底的にブランディングしたいとの思いが強いので、日頃から、メディアを問わないトータルでの仕事を理想としています。Webデザインを手がけられることも、artlessの強みの1つなのです。これからはきっと、紙媒体のみではなく様々なメディアにも意識のあるアートディレクターやデザイナーが、時代の流れなんじゃないかな?と思います。(取材・文:佐々木剛士 人物写真:谷本夏)


次週、第4話は「プライベートワークの重要性」について伺います。こうご期待



[プロフィール]
川上俊(かわかみ・しゅん)
1977 年、東京生まれ。2000年に独立、artless設立。アートディレクション、グラフィックデザイン、インタラクティブデザイン、CI、ブランディン グ、映像/モーショングラフィック、空間造形など、分野の枠を越えて活動中。国内外でのエキシビション参加や各メディアへアートワークの出品、独自のアー トプロジェクトといったアーティスト活動も精力的に行っている。http://www.artless.gr.jp

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