
グラフィックデザインと関係性が強い写真の世界。なかでも風景写真は、広告をはじめ様々な媒体の「空気」を映し出す。しかし、オーソドックスでありながら、実は扱いが一番難しいのが風景写真……という声も、よくデザイナーから聞かれる。そこで今回は、大和ハウスグループ「共創共生シリーズ」を例に、撮影を手がけた写真家の久家靖秀さん、アートディレクターの岡本学さん(サン・アド)のお二人に話をうかがった。風景が呼び起こす広告デザインとは?
第4話 この風景は続いてゆく
久家靖秀さん(左)と、岡本学さん(右)
どれだけの言葉が周りに満ちているか
──風景写真と広告デザイン……という題目に戻りますが、基本的になんでもできちゃう世界ですよね。だからこそ答えがなくて、楽しかったり、難しかったり。
久家●このシリーズも人物が映り込んでいるし、そもそも何をもって風景写真か?……という前提の話になってしまう。人の顔を風景として撮ることも可能だし、一方で、風景を記号的として捉えることも可能。富士山でも東京タワーでも、そういうものを撮った写真はたくさんあるし。
──それこそ風景をテーマにした、記号的な写真のトレンドもありますね。
久家●だから、広告で「スナップ撮っていいよ」という状況までもっていくの、すごく大変なことだと思うんです。僕自身が……ではなくて、周りがその状況にもっていくということですね。この仕事はすごく練って作り込んでいるのに、その方向にしか行かないという空気があって。
岡本●それもやはり、まず企画ありきですよね。こういうことを伝えたい、こういうメッセージを発信したいから、ビジュアルはこうしたい。そのときに、こういう風景でいこう……となるわけで。
──記号的な様式が必要になることもある。
岡本●もちろん、あります。でも、このときは“日常”でしたから。
久家●このシリーズも人物が映り込んでいるし、そもそも何をもって風景写真か?……という前提の話になってしまう。人の顔を風景として撮ることも可能だし、一方で、風景を記号的として捉えることも可能。富士山でも東京タワーでも、そういうものを撮った写真はたくさんあるし。
──それこそ風景をテーマにした、記号的な写真のトレンドもありますね。
久家●だから、広告で「スナップ撮っていいよ」という状況までもっていくの、すごく大変なことだと思うんです。僕自身が……ではなくて、周りがその状況にもっていくということですね。この仕事はすごく練って作り込んでいるのに、その方向にしか行かないという空気があって。
岡本●それもやはり、まず企画ありきですよね。こういうことを伝えたい、こういうメッセージを発信したいから、ビジュアルはこうしたい。そのときに、こういう風景でいこう……となるわけで。
──記号的な様式が必要になることもある。
岡本●もちろん、あります。でも、このときは“日常”でしたから。
風景写真を扱った広告デザインは「これがはじめて」という岡本さん。「その最初が久家さんの写真で、すごく勉強になったし面白かった。
このシリーズは最近の仕事の中でも印象深い仕事です」(岡本)
久家●写真を撮る人が一番最初に考えるのは、ようするに「言葉との違いは何か?」なんですね。それは写真学校の学生でも考えることで、なぜ写真を撮るか……つまり言葉で言い表せないものを表現したいからですよね?
──写真に限らず、絵画も映像もですね。
久家●どんな視覚表現も、ベタなものはどんどん単語に近くなる。でも、こういう風景を撮る場合は、逆にどれだけの言葉が周りに満ちているかが大事。その場所が持つ歴史性だったり、それに対する取材から導き出した言葉が満ち満ちていれば、記号的な写真を撮る必要はありませんから。
──写真に限らず、絵画も映像もですね。
久家●どんな視覚表現も、ベタなものはどんどん単語に近くなる。でも、こういう風景を撮る場合は、逆にどれだけの言葉が周りに満ちているかが大事。その場所が持つ歴史性だったり、それに対する取材から導き出した言葉が満ち満ちていれば、記号的な写真を撮る必要はありませんから。
吸い寄せられた仕事は、いい仕事
──なるほど。それを先ほど「資料写真」とも口にしてましたが、記録でもある。
岡本●天候も本番撮影のとき、最初はピーカンの青空を想定していたんですよ。でも上がりを見たら、曇ってる時に撮った方がすごく良かったので、そっちを使ったんです。日常を映すことって、そういう想定していないようなことを、どんどん取り入れていくってことなのか……と勉強になりましたね。
──加えて、どこか記憶に触れるような郷愁があって。
久家●そこ大事(笑)。匿名性と風景写真……というのは近いのかな。
岡本●誰が撮ったか、見る人がわからなくても、よーく見ていると引き込まれていく。そういうものを新聞広告でできたのは、僕にとっても大きかった。
久家●あと、これは見たときに終わらない感じがいい。この風景は続いていくんです。一回撮り終わると過去になる写真もあるけれど、これは20年後に見ても変わらない。
新聞に掲載された自分の写真を見て……「他の媒体、ポスターとも違って質感が独特で嬉しい。
下が素抜けの白じゃないから、僕の写真も川原真由美さんのイラストも、いい味になるんですよ」(久家)
──逆に、20年前もそのまま変わってない。
久家●ええ。建築的というか、確実性が高いですよね。
──デザインも建築的です。
岡本●そもそもクライアントが住宅メーカーですから(笑)。
久家●そうか! 広告って、そういうところが構造的にちゃんと成立するんですね。
──つまり、収まるところに収まる、と。
岡本●ええ。あらかじめ決まっているのかもしれませんね。
久家●そういうところに吸い寄せられた仕事は、いい仕事なんですよ。
岡本●いいこと言いますね(笑)。
今回で「風景写真と広告デザイン」は終了です。
(取材・文:増渕俊之 写真:FuGee)
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[プロフィール] |
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おかもと・まなぶ●1967年京都生まれ。アートディレクター。数社の広告制作会社、デザイン事務所を経て、97年サン・アド入社。広告のアート・ディレクションから、装丁等のグラフィックデザインまで幅広い仕事を手掛ける。サントリー環境広告「水と生きる。SUNTORY」シリーズで東京ADC賞、大和ハウスグループ「共創共生」シリーズで朝日広告賞部門賞、毎日広告デザイン賞優秀賞など受賞多数。 |





