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第7回 Phase2 スタッフの選定の際は双方向コミュニケーションを意識する - 思考するWebディレクション

2024.5.20 MON

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Phase 2 スタッフの選定の際は双方向コミュニケーションを意識する

即戦力のベテランか?
発展途上の人材か?

はじめにスタッフィングの1段階目「人員選定」について解説する。スタッフの選定を行ううえで最初のポイントとなるのが「選定の基準」をどこに設けるかということだ。潤沢な予算があれば、即戦力となるベテランを使って作業を進めたい、というのが本音だろう。しかし、すべての案件で十分な予算を確保できるわけではない。ここで当然、即戦力とまではいかない人材を採用しなければならない場面も出てくる。また、社内制作チームのディレクションをおもな業務としているWebディレクターの中には、人材教育をその業務に含む「指導者」としての立場にある人も多いはずだ。経験が少なく、いまだ発展途上の人材を育てることの利点を理解しておこう。

スタッフをゼロから
育てるメリット

仕事をするうえで、他人を動かしていくことは難しい。ひとつひとつあれこれと指示をせずとも、息の合った絶妙なチームワークで成果物を仕上げていくことがチームとしての理想形だ。技術力が高く即戦力になるベテランは、豊富な経験によって満足のいく成果を上げてくれると期待できるだろう。しかし、完成されたスキルからそれ以上のパフォーマンスを引き出すのはなかなか難しい。対して、まだ経験の少ない「発展途上にある人材」は、どのような事態に直面しても、前向きに取り組んでくれる姿勢をもっているはずだ。たとえば、イレギュラーな修正や追加が発生しても、それも経験として意欲的に取り組み、あるときは思いもよらない提案をしてくれる可能性もある【4】。ディレクターが相手をするクライアントの中には、結果的なクオリティだけではなく、進行過程におけるフットワークの良さを重視する人も多い。そういった案件においては、発展途上の人材はとても貴重である。これは、制作技術やスキルだけでは測れない重要なポイントだ【5】。

人は使われることに
満足しにくい性質がある

人員選定をするうえで、もうひとつ押さえておいてほしいことがある。それは、人間は頼られることに喜びを感じるが、一方的に使われることを好まない傾向がある、ということについてだ。人は使われていると認識している状態より、頼りにされていると認識している状態のほうが能力を発揮しやすい【6】。Web制作案件にかかわるクリエイターやほかのスタッフにもそれは当てはまる。人員選定の段階から「一緒にプロジェクトをつくり上げている」という意識を共有することで、単なる作業要員から「考えて仕事をする人材」に変化する【7】。クリエイターが考えることを拒否すれば、クオリティに大きく影響する。何も考えずに作業した結果、派生するミスへのフォローは軽視できないものになる【8】。「考えて仕事ができる人材=進行管理の負荷を軽減させる人材」であれば評価したい。経験の少ない発展途上の人材をゼロから育てていくことは、このような意識が芽生えやすい。また、意図せずしてクリエイターのモチベーションを下げてしまった場合、元の意欲的な作業状態に戻すには苦労する。選定段階から仕事を依頼する姿勢には細心の注意を払おう。

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【4】即戦力の人材は、能力が完成されているがゆえに可能性が限定されてしまう。
また、発展途上にある人材の強みは、いろいろと融通が利きやすく、まだ可能性が未知数な部分にある。

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【5】制作者の能力は技術力だけではない。さまざまな切り口から能力を測るようにしよう

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【6】一方的なトップダウン体制はチームワークをはぐくみにくい。またモチベーション低下にもつながる。双方向コミュニケーションを意識することでチームワークが育ちやすくなる。またモチベーションが維持できる

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【7】人材に求める能力は、作業スキルだけではない

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【8】何も考えずに作業した人員の招くミスへのフォローは、Webディレクターの負担になる

[INDEX]
>>> Phase1 Webディレクションにおけるスタッフィングとは
>>> Phase2 スタッフの選定の際は双方向コミュニケーションを意識する
>>> Phase3 クオリティやスケジュールに直結する人員配置のルール
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