第1回「Googleで、もっと。」 - WEBクリエイティブの舞台裏 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

第1回「Googleで、もっと。」 - WEBクリエイティブの舞台裏

2024.5.15 WED

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Webクリエイティブの舞台裏ロゴ


新しく生まれるプロジェクトには、多くの人が見る「完成図」の裏側に、そこに至るまでの多くの人々の考えやアクション、努力がある。とかく人気クリエイターにスポットがあたりがちなクリエイティブの世界で、プロジェクト全体を俯瞰し、その舞台裏を通じてプロジェクトそのものに焦点をあてるのが本連載「WEBクリエイティブの舞台裏」である。


第1回「Googleで、もっと。」



Googleで、もっと。



2010年11月中旬から始まったグーグル(株)の「Googleで、もっと。」キャンペーンは、多くの人がテレビのコマーシャルで見たことだろう。検索だけではなく、グーグル(株)のさまざまなプロダクトやサービスを遊び心豊かな映像で表現し、そのインパクトは年末年始にかけてお茶の間の話題になった。そこから誘導される特設サイトでは、オンエアされた6つのバージョンのほかにもウィットにあふれた動画が数多く公開されている。今回は、この企画に携わったグーグル(株)のシニアマーケティングマネージャーの馬場康次氏(写真左)、そしてWebデザイナーのJerome Senaillat(ジェローム・セナヤ)氏(写真右、以下ジェローム)に、その制作の舞台裏を明かしてもらおう。


馬場氏とジェローム氏





もっとも大事なキーワード「グーグリー」


──今回のキャンペーンは日本独自の企画なのでしょうか?


馬場●日本独自のものなのですが、同じ時期にグローバルで展開していた「Google Demo Slam」(デモスラム)というキャンペーンがありまして。そこから一部インスパイアされた形のものになっています。いちばんの目的はGoogleを使うことで毎日が楽しく便利になっていく……そういったことを伝えようと考えていました。検索でもリアルタイム検索や画像検索などさまざまな検索があったり、検索以外にもGoogle マップ、Google モバイル、Gmailなど、多くのプロダクトやサービスがあります。


──いつも使わせていただいています(笑)。


馬場●Googleをもっと使ってくださいではなく、そういうものを使うことによって皆さんの生活がもっと便利で楽しく、可能性が広がるような思いを込めたキャンペーンを行おうと思ったんです。どうやってコミュニケーションしようかと考えているうちに、米国のほうで「Google Demo Slam」というキャンペーンが動いていることを知った。それは、ちょっとふだんとは違うようなGoogleの使い方をデモするというもので、対決型なんですね。「こんな使い方ができる」、「こんな使い方もできる」と見せて、みんながどっちがおもしろいかを投票して競っていく。それを見て、すごく刺激を受けまして。みんなが共感できるというのは大切なのですが、おもしろいGoogleのプロダクトの見せ方をしてみようと。



Google Demo Slam
Google Demo Slam

──Webでも展開されて、そちらのほうの戦略は?


馬場●基本的にGoogleでは、プロダクトをつくればトライアルしていただいて、そこから口コミでみなさんに広がるようになるというのがマーケティングの基本的な考え方なのですが、やはりより広くユーザーの方に使っていただきたいという思いがあり、テレビコマーシャルも含めてマーケティングすることを始めています。テレビCMを見た方が「面白そうだな」と感じたら、オフラインからオンラインのメディアに誘導をしようと考えました。


──テレビコマーシャルバージョン以外にも、豊富なコンテンツが揃っていますね。


馬場●キャンペーンサイトにはテレビコマーシャルと同じ動画もあるのですが、コンセプト全体を伝える尺の長いバージョンもあって、それを見ていただくことによって、よりわれわれが伝えたかった世界観を知ってもらおうと思いました。そこで興味を持っていただいたら「Googleで、できること。」をクリックすると各プロダクトを説明するページに飛んで、実際に使っていただけるようなきっかけになる。あと、もうひとつテレビコマーシャルの中で展開したクロームストリートライブはマルチウインドウで音楽を楽しむという提案をしているのですが、見るだけではなくユーザーが体験できるような場をつくりたかった。もっと深く深くGoogleを知ってもらって、使ってもらえるきっかけになればと。そういう流れを意識しました。


──おふたりの間で、今回のキャンペーンでの連携は?


馬場●こうした企画の場合、ふたつのパターンがあって、外部の制作会社を使ってつくる場合と、いちから内部でつくる場合があるのですが、いちからつくる場合はこういうことをやりたいと話し合って制作していきます。外部を使う場合は、なるべく企画の段階から入ってもらって、いろいろアドバイスをしてもらいながらやっていきます。今回は外部の制作会社がコンテンツを制作し、サイト自体はジェロームにいちから制作してもらい、デザインやユーザー・エクスペリエンスに関しては外部の制作会社にもいろいろレビューしてもらいました。


馬場氏とジェローム氏



──Web版を制作するにあたって、どういう方針がありましたか?


ジェローム●今回は代理店の方々に参加していただいたのですが、最初に「ブランドはどういうイメージですか?」と聞かれたとき、Googleは日本ではブランドとしてまだあまり知られてないんじゃないかと思っていたので、見た目だけではなくアクセシビリティを意識した、“グーグリー”な感じでやろうと思ったんです。


──グーグリー?


ジェローム●“Googleらしい”って意味です。


馬場●結構、ぼくら社内で使う言葉なんです。Googleらしさって、言葉にはなかなかできないんですよね。でも、ユーザーにとっていちばんいいことをするってことなんです。どうしても外部の制作会社やデザイナーの方って、見た目のデザインや美しさにこだわるのですが、それだけでなく、いちばん大事なのは表示されるスピードだったり、見た人が直感的にどういうアクションをとればいいかわかるか、そういうところをいつも彼からインプットをもらって一緒に制作しています。


ジェローム●アクセシビリティというか、スタンダードというか、つねにそれを中心に考えるようにしています。JavaScriptがなくてもアクセスできるようにとか、とにかくシンプルなものを提供したいと思っています。Webのコンテンツって、大きな割合でフォントやタイポグラフィが占めているじゃないですか。だからコンテンツを中心にもっていって、デザインを制作していくという流れですね。




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エイクエント

エイクエント

エイクエントは、1986年米国ボストンで設立、現在世界7カ国に拠点を持ち、マーケティング、デザイン専門の人材エージェンシーとしては世界最大級です。そのネットワークと世界各地で培われたノウハウが、多くのスペシャリストの皆様から厚い信頼と高い評価を受けています。マーケティング、デザイン分野でお仕事をお探しの皆さまはぜひご連絡をください。

URL:http://www.aquent.co.jp/

「WEBクリエイティブの舞台裏」はクリエイティブ専門の人材エージェント「エイクエント」の提供でお送りします。

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