アメーバピグ成功の裏にあるクリエイティブワーク インタビュー(3) | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

アメーバピグ成功の裏にあるクリエイティブワーク インタビュー(3)

2024.4.28 SUN

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来春に提供開始を予定しているピグの新ゲーム「ピグサバゲー」。愛嬌のある2頭身キャラによるバトルを楽しめるこのゲームには、独特の絵柄を用いた背景や小物、キャラクターの服装などさまざまなデザインワークがちりばめられているが、そこには一体どのようなこだわりが込められているのだろうか。「ピグサバゲー」のアートディレクションを担当したデザイナーの伊東貴代さんに話をうかがった。



Interview(3)

新ゲーム「ピグサバゲー」に込めたデザイナーのこだわり


──「ピグサバゲー」の企画が始まった経緯をお聞かせください。

伊東●新しいゲームを立ち上げるにあたってプロデューサーとも話しながら、「サーカスゲーム」とか「運動会」とか「育成ゲーム」とか10個くらいアイディアを出して、その中から最終的に決まりました。サバイバルゲームというアイディアは突然出てきたわけではなくて、実は案としては昔からありました。ただ、「ピグのブランドイメージと合わないのではないか」という声もあり実現しないままになっていたのですが、今回はいよいよトライしてみようということで始まりました。サバゲーというとマニアックな印象もありますが、ピグの世界観を損なわないように、いかにその面白さを表現するか、その点にはかなり気を配りました。


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「ピグサバゲー」の画面
草木が茂るフィールドの上でタマゴや水鉄砲などの武器を駆使して戦う新ゲーム「ピグサバゲー」の画面


──たとえばどんな点に注意しましたか?

伊東●私自身にとって、最初、サバゲーはまったく知らない世界だったので、社内のメンバーを募って実際にサバゲーをしに行ったりとか、専門誌を読んだりして世界観を勉強しました。家庭用ゲーム機だと戦争ゲームのようなものがたくさんありますが、ピグの世界観では、戦争は存在しないので、投げる武器はタマゴとか水風船などかわいいものにして、銃も水鉄砲にしました。とにかく弾は固形のものは使わず、徹底して液体にしています。そうすることで、バトルだけれども、怖くない、痛々しくないものにできたかな、と思います。とにかく釣りゲームやカジノとは少し事情が異なり、参考にできるようなゲームもなかったので、まずゲーム観から考えて創り出す必要があり、そこに苦労しました。


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スタッフ一同で実際にフィールドに出かけて体験
サバゲーの世界観を知るために、企画の開始当初にスタッフ一同で実際にフィールドに出かけて体験した


──サバゲーを知らない人でも楽しめる雰囲気に仕上がっていますね。

伊東●私自身はもともとゲーマーというわけではありません。もちろん今はピグに関わっているのでヘビーユーザーではあるのですが、それでもライトユーザーの意識は忘れないように心がけています。たとえばサバゲーでは当初、自分の部屋でオリジナルの銃を作れるようにしないかという案もあったのですが、ライトユーザーにとってハードルが高くなりすぎることを懸念していました。また、本来のサバゲーというゲームの軸がぶれてしまうのでは?という疑問がチーム内でも持ち上がり、最終的には「バトル自体が楽しい」というポイントを徹底しようということで、銃を作るという案は搭載されませんでした。あとデザイン的な面で言えば、画面上の数値やゲージの表示方法のひとつひとつでも、情報が多いとユーザーが疲れてしまうので、できるだけシンプルにするようにしています。


仕事中の伊東さん
仕事中の伊東さん。オフィスのデスクにはパーティションがなく、スタッフ同士でコミュニケーションを取りやすい


──デザインワークの流れを教えてください。

伊東●まず広さを決めてラフ画を描いて世界観を決めます。なにをコンセプトにしたエ リアなのかが一目でわかるシンボリックな造形物や、コミュニケーションがとりやすいゾーンを考えながらラフを描き、ディレクターからOKが出たらillustratorで描き起こしていきます。私はもともとキャラクターデザインが得意ということもあり、エリアに登場オリジナルキャラクターの制作は楽しみながらもピグの世界観の中でいかに個性を出すかを考えながら制作しています。ピグに関わるデザイナーはキャラクターデザインだけでなく、アイテム制作の過程でファッションデザインやインテリアデザイン、プロダクトデザインなどさまざまなジャンルの情報が必要になるので、ひとつのサービスのデザインで色々な領域を研究できる楽しさがあり、その上で“ピグらしさ”を損なわずに作っていくのがとても大事だと思っています。


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サバゲーの常設キャラクターのラフスケッチ。性格やチームの中での立場など細かい設定案が記されている
サバゲーの常設キャラクターのラフスケッチ。性格やチームの中での立場など細かい設定案が記されている

──制作現場はどのような雰囲気ですか?

伊東●サイバーエージェントは、とにかく明るい空気が流れていて、何に対しても前向きで一所懸命な人が沢山あつまっている組織だと思います。年功序列がないのでフラットで意見も出やすく、それを否定する人もいません。「常に自分の考えを出していこうよ」という本当にポジティブな空気が溢れている職場ですね。それだけに「手を抜いたら大変だ」というプレッシャーもありますし、自分のモチベーションも高まるので、「もう少し自分の知識を高めないと」とか、「色んなところに行ってみよう」とか意欲が湧いています。私にとっては、初めて自分の力を試されているような、そしてそれをフルに発揮できる会社だと思いますね。


(取材・文:片岡義明 写真:片桐 圭)

※本インタビューは2011年11月に実施したものであり、インタビュー中に紹介されたサービスの内容について、
変更される可能性がございますのでご了承ください


目次
>>> 山崎さんが語る「ピグの楽しさを生み出す企画づくりとマネージメント」は1ページ目へ
>>> 堀江さんが語る「クリエイター側から提案した新ゲーム『めんこ』」は2ページ目へ
>>> 伊東さんが語る「新ゲーム『ピグサバゲー』に込めたデザイナーのこだわり」



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