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プーマならではの“JOY”を伝えることでファンとコミュニケーションする- WEBクリエイティブの舞台裏 第4回「PUMA ONE CLICK TO JAMAICA」

2024.4.24 WED

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関谷雄二さん、タナカミノルさん関谷雄二さん、タナカミノルさん
関谷雄二さん、タナカミノルさん


「PUMA ONE CLICK TO JAMAICA」のようにソーシャルネットワークを利用したプロモーションもしくはブランディングについて、現状をどのようにとらえ、またどのように活用すべきかを伺った。


――今回のプロジェクトは非常にタイトなスケジュールだったそうですね。


タナカ●オリエンは8月8日だったと思いますが、ローンチが9月14日と決まっており、スケジュールがタイトであることから、すぐに企画書への落とし込みを始めました。与件としてFacebookアプリであること、そしてタイムアタックというアイデアをいただいていたこともあり、5日後くらいにはほぼ完成品に近い内容での提案を行っています。UIを含めたフロントはシンプルなゲーム性でもあり対応できると考えていたのですが、ランキングを含めたユーザーデータの集計などを行うバックエンド側のデータベース設計・開発はギリギリ感があったんです。開発過程でのバックエンドの仕様変更は厳しい状況でしたから、極力早い段階で内容を詰めていきました。


関谷●開発を進める中でアイデアを追加したり、無理を聞いていただいたこともありましたね。


タナカ●エンジニアに負担がかかった部分もありましたが、今回のプロジェクトでは関谷さんの回答や意思決定が早かった点はとてもありがたかったです。プロジェクト進行のポイントだったと思います。



オリエンを受けて1週間も経たないうちに、すでにほぼ完成系に近いかたちでの提案書を作成。スケジュール感を把握し、その後の開発作業を極力スムーズに進めるための方法論として、初期段階での企画の落とし込みを重視した結果、タイトなスケジュールでもプロジェクトを成功へと導く
オリエンを受けて1週間も経たないうちに、すでにほぼ完成系に近いかたちでの提案書を作成。スケジュール感を把握し、その後の開発作業を極力スムーズに進めるための方法論として、初期段階での企画の落とし込みを重視した結果、タイトなスケジュールでもプロジェクトを成功へと導く


――意思決定の早さはプーマさんの社風なんでしょうか?


関谷●そうだと思います。社員の判断に任せるという社風がありますね。その際の判断基準は社風でもある“JOY”を感じるかだと思います。逆にいえば、決定に迷いがあるときには“JOY”を感じていないということ。担当者自身が“JOY”を感じなければ、それはプーマのファンの方も同様。プーマとしての“JOY”を提供することで、ファンの方はそれに共感してくれるのですから。プロジェクトの進行やコンテンツの構築はロジカルに進めるとしても、伝えたいのは想いであり、また想いこそがファンの方へと伝播していくものだと考えています。


――今回はFacebookアプリによるプロモーションですが、具体的にはどのような目標設定をしたのでしょうか?


関谷●冒頭でもお話ししましたが、500人程度で微増していたFacebook上のファンの方を増やすことが目標のひとつでした。また、さらにいえばプーマとファンの方との間に長期的な関係構築ができるようなきっかけとなるコンテンツを展開したいとも考えていました。


――ファンの方を増やすという点では効果はいかがだったでしょうか?


関谷●まだ最終的な効果測定などは行っていませんが、ファンの方の増加数でいえばかなり高い実数を得ています。当初、目標は3000人程度に定めていましたが、キャンペーン終了時点で1万人以上の方に「いいね!」と言っていただきました。もともとスポーツを楽しむといった企業スタンスをもつプーマとFacebookユーザーとの親和性は高いのではないかと考えていました。つまり潜在的なファンの方が多くいるはずだと。これまでファンの方が500人程度となっていたのは、Facebookユーザーに対しての訴求が十分ではなかった。プーマに共感してくれるユーザーに対して深く突き刺さるコンテンツを十分に提供してこなかったと思います。今回のプロジェクトでは、その点では成功であったと考えています。Faasのプロモーションはもとより、プーマとボルトの関係性やスポーツに対する考え方など、プーマのスタイルがFacebookユーザーの中にいるプーマのファンの方に届いたと考えています。



「PUMA ONE CLICK TO JAMAICA」は、11月初旬時点で9000人以上のファンの方を獲得。それ以前では500人程度であったが、企画段階での想定を大きく超え、最終的には1万人オーバーの獲得に成功している
「PUMA ONE CLICK TO JAMAICA」は、11月初旬時点で9000人以上のファンの方を獲得。それ以前では500人程度であったが、企画段階での想定を大きく超え、最終的には1万人オーバーの獲得に成功している


――今回のようなソーシャルネットワークでのプロモーションをどうお考えでしょうか?


関谷●特にFacebookですが、現状ではユーザー間での口コミによる伝播力は非常に高いと考えています。同時に、Facebookで話題となることでマスメディアでも情報が取り上げられる可能性が高い。口コミによる情報伝播がメディアにも影響を与えるという意味で、ソーシャルネットワークによるプロモーションは外せないと思います。


タナカ●ソーシャルならではの注意点もあります。押し付けないことが大事だと思います。リアルなファンの方と直接コミュニケーションをとる場ですから、口コミを言い過ぎればユーザーは敏感に感じ取ります。今、Facebookファンページは流行のような面もありますが、プロモーションのあり方は考える必要があると思います。


関谷●そうですね。その意味では、ソーシャルネットワークはプーマとファンの方との間で長期的な関係を構築する場であると考えています。ソーシャルネットワークでの活動自体が、結果的にプーマのブランディングに貢献するものと考えることが重要ですね。今回もそうですが、基本的にはプーマのJOYを伝えるのがミッションです。スポーツをシリアスにとらえるのではなく、楽しむという考え方。また、単に楽しむだけでなく、さらにツイストを加えたプーマならではのJOYを提案したいと考えています。万人に伝わるものではないかもしれませんが、プーマを好きという人に深く突き刺さるようなコンテンツ。つまり、ソーシャルでは「プーマらしさ」を表現したいと考えています。


――今後もこういったプロジェクトは予定されているのでしょうか?


関谷●まず、今回のコンテンツは結果的に横展開しやすいものをつくっていただけたと思います。実際、10月に行われた大阪マラソンEXPO 2011にブース出展した際、「ONE CLICK TO JAMAICA」のEXPO限定バージョンを持っていき、リアルイベントとして展開しました。ボルトがもつ男子100m世界記録 9秒58ピッタリでボタンを押すとシューズをプレゼントするというイベントでしたが、おかげさまで好評を得ることができました。


タナカ●イベント会場でもかなり多くの人が並びましたよね。ただ、スペシャル版としてストップボタンを組み込んで、ボタンをパンッと叩くだけのシンプルなゲームなので、長くても20秒程度。長く待つことなくさくさく列も進んで、リアルイベントにも親和性が高いコンテンツとなりましたね。


関谷●この年末には、全国高校サッカー選手権大会の開催に併せてキャンペーンコンテンツを展開する計画もあります。また違ったコンテンツになりますが、特に高校生向けということでガラケーで展開することになるかもしれません。楽しみにしていてください。


今回のプロジェクトの横展開として、去る10月に行われた大阪マラソンEXPO 2011にてEXPO限定バージョンとして「ONE CLICK TO JAMAICA」を公開。長蛇の列ができるほどの人気を博した。短時間で体験できるコンテンツとして、リアルイベントにも親和性の高いコンテンツとなった今回のプロジェクトの横展開として、去る10月に行われた大阪マラソンEXPO 2011にてEXPO限定バージョンとして「ONE CLICK TO JAMAICA」を公開。長蛇の列ができるほどの人気を博した。短時間で体験できるコンテンツとして、リアルイベントにも親和性の高いコンテンツとなった
今回のプロジェクトの横展開として、去る10月に行われた大阪マラソンEXPO 2011にてEXPO限定バージョンとして「ONE CLICK TO JAMAICA」を公開。長蛇の列ができるほどの人気を博した。短時間で体験できるコンテンツとして、リアルイベントにも親和性の高いコンテンツとなった


(取材・文=久保靖資 2011年11月2日)



エイクエント

エイクエントは、1986年米国ボストンで設立、現在世界7カ国に拠点を持ち、マーケティング、デザイン専門の人材エージェンシーとしては世界最大級です。そのネットワークと世界各地で培われたノウハウが、多くのスペシャリストの皆様から厚い信頼と高い評価を受けています。マーケティング、デザイン分野でお仕事をお探しの皆さまはぜひご連絡をください。

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