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いま注目のソーシャルメディア(前編) - Webサイト制作最新トレンドの傾向と対策

2024.4.29 MON

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Webサイト制作最新トレンドの傾向と対策

ソーシャルメディア 2-02
いま注目のソーシャルメディア(前編)

近年、急速に広まりつつあるソーシャルメディア。その中でも、注目を浴びているソーシャルメディアについて、主に米国発のものを中心にソーシャルなつながりを活用した様々なサービスについて紹介しよう。

制作・文/澤村正樹( NTTレゾナント株式会社)



なぜソーシャルメディアが広がってきたのか

近年、急速に注目が集まっているソーシャルメディア。なぜ、こんなにも注目が集まるようになってきたのだろうか。その理由の一つとして考えられるのが、発信側の環境を大きく変えたデバイス的な進化である。これまでのインターネットはデスクトップのパソコンの前に座って情報を受け取るツールといった面が強かったが、高速なネット回線の低価格化やiPhone/Android端末をはじめとするスマートフォンの普及によって、人々は24時間にわたってインターネットに近い生活をすることが可能となり、より身近な存在に変化してきている。

情報の発信についても、以前は家で一日一度、ブログを更新するくらいだったのが、回線の高速化やスマートフォン端末の登場によって、場所を選ばず、より手軽に、かつリアルタイムに近い感覚で、ネット上に情報を発信することができるようになってきた。また、それに合わせて新しい情報の発信も行われるようになってきた。その一例としてあげられるのが、Foursquare(フォースクエア)がGPSを使ってボタン一つで現在地を伝える「チェックイン」という概念である【01】。

もう一つの理由として考えられるのが、情報を受け取る側の視野が変化してきていることだ。

これまで、情報というものは自ら探しにいかなければ手に入らなかった。しかも必要とする情報を的確に入手するには、それなりの工夫が必要だった。

たとえば、Googleなどのような検索エンジンを使えば必要な情報は手に入る。ただしそこには、「キーワードが適切であれば」という条件がつく。逆に言うならば、適切なキーワードを組み立てなければ、的確な情報を入手することができない。検索エンジンは、キーワードを入力してはじめて動くシステムだ。目的とする情報は入手できても、最近のトレンドのような新しい情報には出会いにくい仕組みになっている。

一方、ソーシャルメディアでは、キーワードを使って自ら探しにいかなくても、多様な情報が流れてくる。必ずしも目的とする情報とは限らないが、新しい情報とは出会いやすい。しかもそれは、自らが選んだ人たちから流れてくるものであり、有象無象のネット情報と比較すると、ある一定の信頼感がおけるものとなっている。言い換えるなら、ソーシャルメディアは、自らが選んだフィルターを通した新たな情報と出会うことができるメディアなのである。

近年は多彩なソーシャルメディアが登場している。その中から主なものをいくつかピックアップして紹介しよう。

【01】位置情報を利用する「Foursquare」。「チェックイン」ボタンを押すと、自分が今いる場所を伝えることができる。
【01】位置情報を利用する「Foursquare」。「チェックイン」ボタンを押すと、自分が今いる場所を伝えることができる。



Facebook

昨今のソーシャルメディアを語る上で、一番にあげねばならない存在がFacebookであろう【02】。創設時のエピソードを題材とした映画「ソーシャルネットワーク」は、ご覧になった方も多いかもしれない。現在ではFacebookは、時代におけるソーシャルメディアのプラットフォームと呼ぶべき存在へと進化を遂げている。

その最大の特徴は実名主義である。参加者は実名と顔写真を公開することが基本とされている。これはハーバード大学の学生名簿からはじまったという歴史や、発祥の地であるアメリカの文化に大きく根ざすところがある。創始者マーク・ザッカーバーグも「透明性」という言葉で繰り返し語っているように「実名インターネットが世界をよりよくする」という強い哲学が背後にある。

早くからFacebookアプリという枠組みでソーシャルゲームを取り入れたり、「いいね」ボタンを簡単に外部サイトに組み込めるようなスクリプトを用意したりと、Facebook上での友達関係(ソーシャルグラフ)を基にして第三者が新たな体験を提供できるような姿勢を打ち出してきたのも大きな特徴と言えるだろう。

【02】ソーシャルメディアの本流とも言える「Facebook」。
【02】ソーシャルメディアの本流とも言える「Facebook」。


Twitter

次は、やはりTwitter(ツイッター)を取り上げなければならない【03】。海外ではまずFacebookの波が来たが、なぜか日本ではFacebookよりも先にTwitterのブームが来た。

必ずしも相互ではないフォロー関係や、@マークによるダイレクトメッセージなど、シンプルながらも斬新な仕様が多く盛り込まれ、ネット初心者から上級者まで多くの人を引きつけている。中には数万単位のフォロワーを持つユーザーもおり、Twitterによるつぶやきが大きなニュースになることもある。企業もPRの一アイテムとして積極的に利用しており、情報発信の「メディア」としても認知されつつある。

比べてみると、Facebookがあくまで既存の人間関係をネット上に写しこんだものであるのに対し、Twitterはまさにソーシャル「メディア」とよぶにふさわしいと言えるだろう。Twitterも、Facebookと同様に早い段階からAPIを公開し、iPhone用クライアントアプリケーションなどをサードパーティが積極的に作れるシステムを築き上げている。

【03】「Twitter」(画面はiPhone版の公式アプリ)
【03】「Twitter」(画面はiPhone版の公式アプリ)


Google+

Facebookに遅れまいとGoogleが打ち出してきたソーシャルメディアがGoogle+(グーグルプラス)【04】である。サークルという枠組みで人間関係を分類、Twitterと同じような片方向のフォローを持つこと、Facebookと同様な外部メディアの埋め込みができる、Gmailにログインするとシームレスに行き来ができる、ビデオチャットが可能など、後発なだけに多くの機能を盛り込んでいる。

Facebookの「いいね」に相当する機能として+1ボタンがあり、その+1ボタンが普及すれば、被リンク数に加えてユーザーの意識的な評価も検索アルゴリズムに加えることができる。これにより精度の高い検索になるのではないかと考えられている。今後どこまで普及していくかは未知数ではあるが、Googleがかなりの力を入れて送りだしてきているだけに、その動向は大きな注目を集めている。

【04】開始1 ヶ月で2,500万人が参加した「Google+」。
【04】開始1 ヶ月で2,500万人が参加した「Google+」。


LinkedIn

TwitterやFacebookは汎用的なソーシャルメディアであるが、その一方でひとつの目的に特化したソーシャルメディアも存在する。その代表的なものがLinkedIn(リンクトイン)【05】だ。

LinkedInはキャリア構成、つまり転職に特化したソーシャルメディアで、自分のレジュメ(履歴書)や職務経歴をネット上に公開し、転職のオファーを待つ仕組みになっている。

LinkedInの持つソーシャルグラフによって、単なる履歴書登録サイトでは得られない、交友関係を含めた人材像が見えるようになっている。これは米国型の転職でよく見受けられるリファレンス(推薦)の仕組みをインターネットで再構築したものとも言えるかもしれない。

これまでは英語版のみだったため一部の外資系ヘッドハンターの利用が主だった。だが、2011年10月に日本語版サービスをスタートし、今後は日本国内においても広く利用されるサービスとなるだろう。

【05】UAGLRのホームページ。(http://www.green-label-relaxing.jp/html/)。なお上記は2011年11月時点のもの。
【05】転職に特化したソーシャルメディアである「LinkedIn」。

(中編1に続く)


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【本記事について】
2012年1月28日発売のweb creators特別号「Webサイト制作最新トレンドの傾向と対策」から、毎週記事をピックアップしてご紹介! HTML5・CSS3によるコーディングから、次々と生まれてくる新しいソーシャルサービス、Webアプリケーション、スマートフォンやタブレット端末への対応など、いまWeb制作で話題になっているトピックを網羅した内容になっています。

※本記事はweb creators特別号『Webサイト制作最新トレンドの傾向と対策』からの転載です。この記事は誌面でも読むことができます。

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