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デザイン・クリエイティブ目線で語るソーシャルアプリ制作の裏側 第7回「ちょこっとファーム」(2/2)

2024.4.20 SAT

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デザイン・クリエイティブ目線で語る

ソーシャルアプリ制作の裏側

第7回 株式会社ドリコム「ちょこっとファーム」(2/2)


 Interview 2/2 

よいモノづくりを徹底するために
ユニークなワークスペースを提供


ちょこっとファーム
ちょこっとファーム
「ちょこっとファーム」のリリースから2年の間にスマートフォンの普及が広がり、ユーザーの端末環境は劇的に変化してきた。フィーチャーフォンからスマートフォンへの過渡期を経てきた「ちょこっとファーム」では、どのようにスマートフォンに対応してきたのだろうか。「デバイスの操作性がよくなっていくなかで、いかにお客様がストレスなく、テンポよく遊んでもらえるかということを考えてUIを変えていきました。また、フィーチャーフォンではクリックや画面遷移をできるだけ少なくして種まき、水やり、エサやり、収穫などができるようにUIを開発してきましたが、スマートフォンでもその考え方は変わっていません」と話す長谷川氏は、バランスが重要であることを強調する。「フィーチャーフォンとスマートフォンでファーストビューをどう変えて、視認性をどうするのかというバランスは苦労しましたね。また、お客様が求めているのはキャラクターのかわいさや自分の畑を彩るパーツなので、スマートフォンでどこまでキレイに見せて、フィーチャーフォン側でどこまで容量が増やせるのかというバランスも現場では非常に苦労したと思います」

FlashからJavaScript、HTML5への変換については、「ビジュアライズされたオブジェクトを直接クリックしてアクションを起こすゲームなので、カードバトルよりも苦労したと思います」と長谷川氏は振り返る。いくつかの変換ツールを試行錯誤しながら利用し、最終的に容量が変わらず再現率が高い「swiffy」を使うことでFlash変換の問題を解決。同様のゲームで利用できるようにマークアップなどのライブラリ化も進められているという。このような新たな技術に対しては、デザインクラウドとUI/UXクラウドというふたつの組織をつくり、ゲームごとに縦串になりがちなコミュニケーションを横串で取れるようにして、情報共有やスキル向上を目指しているという。また、デザイナー同士は非常に仲がよく、ランチなども一緒にとりながら情報交換しているようだ。

「今後はお客様が求めるものも変わってくるので、ほんとうにおもしろいユーザーエクスペリエンスを考えたモノづくりが重要になってきます」(長谷川氏)
「今後はお客様が求めるものも変わってくるので、ほんとうにおもしろいユーザーエクスペリエンスを考えたモノづくりが重要になってきます」(長谷川氏)
ドリコムの社員の特長を長谷川氏は、「自分がつくりたいものをしっかりもっていて、高い目線でそれを実現したいと強く考えるメンバー」と話す。スキルも必要だが、魂や思いをこめて愛情をもって考えることで、指示されたことだけでなく、みずから提案しながらモノづくりにかかわれるというのだ。ドリコムでは、そのための環境も積極的に提供されており、映画、音楽、本、漫画などのエンターテイメントコンテンツも自由に読めるようなスペースを提供。よい作品に触れることで、多くの視点からモノづくりを考えられるようにしているほか、気軽に集まって議論できる畳やファミレス風のミーティングスペース、集中するためのブース、受付横に併設されたカフェなど、用途に合わせて活用できる物理的なワークスペースが用意されているのもユニークだ。

HIFUMI氏 HIFUMI氏
HIFUMI氏 HIFUMI氏
モノづくりに集中できるように用途に合わせたワークスペースが用意されている社内。

スマートフォンにあわせた
新たなゲームへの挑戦


「ちょこっとファーム」の今後について長谷川氏は、「コラボレーションを充実させたい」と話す。取材時の2013年2月から3月は、人気キャラクターの「ぺそぎん」とのコラボが行われており、2013年4月にはおもちゃの木馬「ロディ」とのコラボも計画されているという。「新たなカワイイを追求して、長く愛されるゲームを目指すため、世の中のカワイイものをちょこっとファームから広げていけるようにしたいですね。また、ユーザー間で協力してアイテムをゲットするゲームなので、コミュニケーションをもっと活性化する仕組みをもっと提供していく必要もあります」

今後は、スマートフォンに向けた新たな“おもしろさ”を追求していく必要があると考える長谷川氏は、次のように話してくれた。

今後もコラボレーションを充実させ、世の中のカワイイものを広げられるゲームを目指す。
今後もコラボレーションを充実させ、世の中のカワイイものを広げられるゲームを目指す。
「1年前は、カードバトルゲームのパターンをおさえて多展開し、KPIでしっかりマネジメントすればヒットを生み出せました。できることが格段に増え、ユーザー体験の幅が広がっているので、今後はもっとおもしろいものをつくっていかなければなりません。今後のコンテンツはすべて、ネイティブマーケットで出していこうと考えています。集客の施策をどうするかや開発コストの問題などもありますが、お客様がネイティブを求めて市場規模も拡大しているなかで、より多くの人に楽しんでもらうためには、ネイティブ化は必然だと思いますね。ほんとうにおもしろいユーザーエクスペリエンスとはなにかをコアに考えて、コンテンツをつくり出していく必要があります。もう一度、今の技術でどんなおもしろいものがつくれるかに立ち返って、制約をかけずに企画コンペやユーザーエクスペリエンスコンテストを社内で行っています」

これまでの企画づくりやマネジメントの常識を超えて、新たにドリコムがどのようなおもしろいユーザーエクスペリエンスを提供してくれるのか。今後リリースされるゲームやアプリに大きく期待していきたい。

(取材・文・撮影:野本幹彦)


株式会社ドリコム

株式会社ドリコムは、コミュニケーションを中心にモバイル向けコンテンツやインターネット広告などのさまざまなサービスの企画・開発を行っている。「with entertainment」を合言葉に、楽しみや喜びを生みだす企業として、「ソーシャルゲーム事業」「アドソリューション事業」「ソーシャルラーニング事業」の3事業をコアビジネスとしている。
URL http://www.drecom.co.jp/



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