第3回 ケータイメールマガジンを確実、格安に大量同時送信する! | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

第3回 ケータイメールマガジンを確実、格安に大量同時送信する!

2024.5.15 WED

【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

中小事業者もケータイ環境を利用して事業効率アップを!
ケータイビジネス研究室

企画・文=針野信司
コンテンツプロバイド会社、ハリヤ出版企画代表。雑誌記事の編集、執筆、中小事業者のサイト運営支援コンサルティング、プログラム構築などを行っている。最近のプロデュース企画は、『ケータイでラクラクおこづかい』(メディアボーイ刊)がある。
url. www.hariya.co.jp/


第3回
ケータイメールマガジンを
確実、格安に大量同時送信する!


ケータイの勝手サイトで、大きな収益が期待できるのはメールマガジンだ。メールに添付する広告費が高く、送付先のセグメントが可能なのならば1通当たり30円もの広告費獲得が期待できる。しかし、ケータイへのメールの大量同時送信には気をつけなければいけない点が多々ある。今回はそれを整理して、ケータイメールマガジンを効率的に送る方法を探ろう。


▼▲大量のケータイメールを送るときの問題▲▼


公式サイトでは期待できない
ケータイメールの広告費

前回でも触れたが、モバイルサイトで大量の集客、会員を獲得するには公式サイトではかなり難しい状況になってきている。「モバゲータウン」や「girlswalker.com」【1】のようなサイトが無料でエンターテインメントサービスを提供し、それが広く認知されることによって、モバイルユーザー側が情報サービスにお金を支払うことをためらうようになってきてしまっているからだ。

【1】「girlswalker.com」のPCトップ画面。会員数は900万人以上。占いや芸能情報など女の子が好みそうな、さまざまなカテゴリのメールマガジンがあり、毎日、大量のメールがケータイ向けに送信されていると予想される
【1】「girlswalker.com」のPCトップ画面。会員数は900万人以上。占いや芸能情報など女の子が好みそうな、さまざまなカテゴリのメールマガジンがあり、毎日、大量のメールがケータイ向けに送信されていると予想される


キャリアが課金代行を行ってくれる公式サイトは、収益の構造がわかりやすいが、では、勝手サイトはどのように売り上げを上げていくのか?

こちらもわかりやすいところでは、バナーによるインプレッション、クリック保証の収入が得られる。ただし、多数のインプレッション、クリック保証をするためには、どうしても膨大なPVを稼がなければならず、サイト認知促進のための広告費、PVが増えた場合には、そのアクセス数に耐えられるためのサーバ費用も考慮しなければならない。

一般的な経営者の場合は、このインプレッション、クリック保証型のバナー収入までしか認識していない場合が多く、結局のところ、それだけでは期待したほど儲からないということで、モバイルサイト構築をためらってしまうという傾向が見られる。

ところが、勝手サイトの場合は、無料会員にメールアドレスを登録してもらうことで、メールマガジンを発行し、そのメールマガジンに広告を付けることによって利益を増やしていくという方法もある。メール登録した会員さえ増やしてしまえば、このメールマガジンに付加する広告の収入がかなり高額なのである。PVを稼ぐことを目的とした広告費の拠出は、このメールマガジンの購読者を多くすることにもつながる、たいへん意義のあることなのである。

ちなみに、数万人から数十万人のメールマガジン購読会員を集めたとしよう。これほどの規模になれば、広告代理店が動き、メール1通当たり5~10円の広告を入れてくる可能性が高い。1万人に対してメールマガジンを発行すれば、1通5円の広告が入ったとして5万円の収入。週に1回配信で月間4回なら20万円。代理店フィーが20&だと仮定すると16万円の売り上げアップである。

このメールマガジンの購読者が、ある一定の嗜好性を持っているようならば、1通当たりの広告費が跳ね上がってくる。たとえば、ある電気店の場合、自家用車で来店する顧客がモバイルの会員に多いことをセールスポイントとし、自動車、パーツメーカー、自動車パーツ販売店などに積極的に営業をかけている。このケースで1通当たり10円の広告費。さらに、住んでいる場所や性別、年齢など、細かい条件を指定して送るセグメントメールマガジンの場合、1通当たり広告費が30円と跳ね上がるのである。

1万人の会員を2万人、3万人と増やし、セグメントメールマガジンが発行できるようになれば、それだけでかなりの売り上げが期待できるのである。

もちろん、会員を増やしていくのはそう簡単なことではない。しかし、ほとんどのケータイサイトを利用しようとしているコンテンツ事業者が、未だに公式サイトに目を向けているときだからこそ、無料の勝手サイトで会員を集め、先駆者としてケータイメールマガジンで利益を上げることを考えることは有益なことなのではなかろうか?

キャリアが認定してしまう
スパムメールの基準とは?

多数のケータイメールマガジン購読会員を集めた場合には気をつけなければならないことがある。ケータイメールの場合、キャリア(docomoやau、ソフトバンク)が自社のサーバでメール管理を行うため、スパムメールに対する監視が非常に厳しい。メールマガジン発行者が同時に大量のメールを送った場合、キャリア側のサーバには大きな負荷がかかるため、それが繰り返されるとキャリアがスパム認定し、同一のIPアドレス、ドメインからそのキャリアへは一切、メールが送れないことになってしまうのである。

では、同時にどれほどのメールを送ったらスパム認定されるのか? どのキャリアの関係者に聞いてみても基準は一切ないのだという。うわさによるとキャリアに一定の金額を支払うとスパム認定はされないとか、メールアドレスが変わっていて不達になってしまうメールが多いと自動的にスパムになるので、二度目から不達のメールアドレスを削除して送ればスパム認定から漏れるとかいわれているが、それはすべて事実無根。キャリアが同一アドレスからのメールを監視し、悪質だと判断した場合にスパム認定がなされるのだという。

では、何通までならスパム認定から確実に外れることができるのだろうか? 筆者のところにおもしろいデータが存在する。無料のプレゼントサイトなどに登録すると、同時に出会い系サイトに強制的に登録されてしまうケースがあるのだが(同時登録という)、その出会い系から送られてきたメールをパソコンに自動転送する設定にしておき、パソコンのメーラでヘッダーを確認してみると、信じられないことに「宛先(to)」にズラズラズラッと、ケータイのメールアドレスが並んでいたのだ(当然のことながら、個人情報の漏えいで出会い系サイトは訴えられても仕方がないのだが、ここでは別の話になるので割愛する)【2】。

【2】筆者のケータイに送られてきたスパムメールをPCに転送した際、表示された同報メールのアドレス。こんなことをしている業者には鉄槌を下さなければいけないのだが、それはそれとして、同報メールの上限は20通。それ以上の同報ケースはまだ確認していない
【2】筆者のケータイに送られてきたスパムメールをPCに転送した際、表示された同報メールのアドレス。こんなことをしている業者には鉄槌を下さなければいけないのだが、それはそれとして、同報メールの上限は20通。それ以上の同報ケースはまだ確認していない


この「宛先(to)」に並んでいるメールアドレスの数には一定の法則があり、最大で20までしか入っていない。スパムメールを送りつける業者ほど、キャリアのスパム認定を研究しているので、おそらくのところ同時配信で20通までならばスパムとされないのではなかろうか。ただ、あくまでもこれは参考資料。実際にこのとおりメール配信をしてスパム認定されても責任は一切取れないのでご了承願いたい。また、1分間に20通ごと送った場合、5万通のメールを送るには41時間もの時間を費やすことになる。実際の大量配信には向かない方法であることも認識していただきたい。

大量のケータイメールを送る
3つの方法とは何か?

では、大量のケータイメールマガジンを発行するにはどのような方法があるのか。それは以下に示す3つの方法だ。

ひとつはケータイメールマガジン発行スタンドを利用すること。ふたつ目はメール配信ASPを利用すること。そして3つ目は、ネットショップ用の格安メール配信サービスをメール配信ASP代わりに利用することである。

まず、ケータイメールマガジン発行スタンドから触れたい。

メールマガジン発行スタンドとは、大量の同時メール配信が可能なシステムをバックボーンに持ち、キャリアやプロバイダからスパムメール認定を受けないシステムで運営しているメールマガジンの送付サービス業者である。

よく知られたケータイメール対応の大手業者では「ミニまぐ」(http://mini.mag2.com/pc/)【3】や「メルモ」(http://merumo.ne.jp/r/o/pubpromo_pre.html)があり、発行審査(メルマガの内容など)に合格すれば個人、法人問わずにメルマガ発送を代行してくれる。利用料は無料であり、発行数制限などもない。メルマガには広告が挿入されるので、むしろ発行数が多いメールマガジンのほうがメニューの中で上位に表示されるなど重用される。

【3】「ミニまぐ」のPCサイトトップ画面。ここからさまざまなカテゴリのメールおよび配信数を確認できる
【3】「ミニまぐ」のPCサイトトップ画面。ここからさまざまなカテゴリのメールおよび配信数を確認できる


ここでメールマガジンを発行する手続きを取り、自社サイトコンテンツから「メールマガジンを読む」などのリンクでメールマガジン発行スタンドの自社メールにリンクを張っておけば、大量同時送信でもスパム認定されないメールマガジンが発行可能になる。

ただし大きな難点がある。挿入できる広告はメールマガジン発行スタンドが指定されるものに限られるなど、自社および自社の広告代理店が取ってきた広告を挿入できないケースが多々あるのだ。

つまり、大量のメールマガジンを発行してもクリックカウント型、成果報酬型のアフィリエイト広告での収入しか期待できないことになってしまう。

また、メールアドレスも発行スタンド側が管理してしまい、メールマガジン発行者側がデータベースを構築できないというケースも出てくる。


▼▲ケータイメールを賢く送る方法▲▼

サイト経営を圧迫する
メール配信ASP利用料

自由にメールマガジンに広告を挿入していきたいと考えるならば、メール配信ASPを利用する方法がある【4】。メール配信ASPとはメールマガジン発行者が持つメールアドレスをデータベース化し、メールをわずかな時間差で次々と送っていくサービスを提供する業者だ。1時間に数十万通送付可能というシステムを持つ業者も存在する。

【4】大手ISPの「BIGLOBE」がサービス提供するメール配信ASPの料金説明画面。ひとつのメールアドレスに対して3.5円も、大手ゆえにセキュリティ面などは信頼できる
【4】大手ISPの「BIGLOBE」がサービス提供するメール配信ASPの料金説明画面。ひとつのメールアドレスに対して3.5円も、大手ゆえにセキュリティ面などは信頼できる


すでに数百万人規模のメール会員を持つナショナルクライアントレベルの業者は、ほぼ100%、このメール配信ASPを利用しているとさえいわれており、自社で大量メール配信システムを稼働させているのはISPなどシステムを他社に提供しているような業者に限られる。自社で大量メール配信システムを抱えることは、メール配信の安全性確保といったリスクマネジメントも絡み、非常に効率の悪いことである。

ただし、メール配信ASPの利用料金はけっして安くない。メール配信ASPもサービス提供業者が増え、価格競争が進んで利用料金が安くなってきてはいるが、それでも最安の利用料金で1メールアドレス当たり1円程度。つまり100万人のメールマガジン購読会員を集め、データベースのメールアドレス登録すると、月額100万円程度の費用がかかることになる。この費用は固定費になるため、変動費に当たる広告収入が集まらなければ最悪のケースで赤字が出てしまうことにもなりかねない。

メール配信ASPを最初から利用することを検討できるのは、資金力のある大手業者に限られ、中小事業者のうちでも先駆的な考えを持つところでも、大きなビジネスフロンティアが目前にあるのに気づきながら、資金面などから踏み出せないような状況が続いていたのだ。しかし、状況は劇的に変わってきている。

中小事業者でもすぐ利用可
格安のサービス提供が始まっている!

ネットショップ構築ツールを提供する業者の中では、モバイルへの対応を顧客から求められ、モバイルネットショップ構築ツールも同時に提供するところが次々と生まれている。このネットショップ構築ツールには、標準としてメールマガジン発行ツールが組み込まれていたりする。

モバイルネットショップ構築ツールの場合、ケータイメールマガジンにも対応し、メール配信ASPのような機能を組み込んで提供する業者も数は少ないが存在している。だが、月間の配信数に制限があったり、配信数を超えた場合、メール配信ASPを利用したほうが安くなってしまうようなオプション料金を請求されることがあった。

では、そういった事情ゆえに当初はこのネットショップ構築ツールを使い、大量のメールマガジンを発行できるようになったらメール配信ASPを利用するという手も確かにあったのだが、切り替え時にはデータベースの移植が必要で、膨大な労力が必要であることを覚悟しなければならなかったのである。

ところが、GMOインターネットグループの「MakeShop」【5】というサービスを利用すれば、以上に記載してきたデメリットがすべて払拭される。

【5】革命的な料金設定でサービス提供する「MakeShop」(http://www.makeshop.jp/)。現在、利用ユーザー数は1万2,000。違法でないコンテンツならアダルト系サイトでも利用できる
【5】革命的な料金設定でサービス提供する「MakeShop」(http://www.makeshop.jp/)。現在、利用ユーザー数は1万2,000。違法でないコンテンツならアダルト系サイトでも利用できる


「MakeShop」とは2004年にPC向けに開始されたネットショップ構築サービス。HTMLでのサイト構築および管理画面からHTMLの知識がなくてもサイト構築が可能な機能を持っている。現在ではモバイル3キャリアへの対応もしており、メールマガジン発行機能も完全モバイル対応だ。

一般的なサービスならば発行メールマガジン数に制限があってもおかしくないが、「メール配信プラス」【6】というオプションサービスを付加すれば、メールマガジン発行数無制限。しかも大量のメールマガジンを短時間で発送するので、メールが深夜帯に届くとか翌日になってしまうなどの不具合もない。

【6】「メール配信プラス」の告知画面。大量同時送信ができるだけでなく、データベースからセグメントも可能
【6】「メール配信プラス」の告知画面。大量同時送信ができるだけでなく、データベースからセグメントも可能


「メール配信プラス」が利用できるのは、ビジネスショップコースからの上位サービスで、ビジネスショップコースの料金は初期費用が10,500円、月額3,150円、オプションの「メール配信プラス」の料金が1年間前払いで12,600円(以上、すべて税込み)であり、あくまでもカート機能利用が条件になるが、メールマガジン発行が可能である。つまり、以前だったら、最低でも数万円から数十万円の出費を覚悟しなければならなかったメール配信ASPとほぼ同等の機能を、月額換算4,200円で利用できることになっているのである。

この料金ならば中小事業者であっても十分に利用できるであろう。

こういったサービスを使えば、ケータイサイトビジネスに参入しようとしている事業者が考えることは、集客とコンテンツづくりのみ。集客は前回でも触れたが、コンテンツそのものが集客の武器ともなるので、次回はいかなるコンテンツが今、ケータイの世界で求められているのかについて追求してみたい。


本記事は『Web STRATEGY』2008年11-12 vol.18からの転載です
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