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ユーザーと共に歩むツールを-進化したCS4の全容と開発の背景



(2)統合的な機能とオンラインサービスの拡充



スムーズな連携で最適なワークフローの提案も


――アプリケーション同士の連携はどのように強化されていますか?

森房●FireworksとPhotoshopやIllustratorを併用している方が多い例を考えても、UIの統一によって、複数のアプリケーションを連携しての作業が違和感なく行えるようになりました。

それから、ファイルの読み込み。とくにFireworksでPhotoshopファイル、Illustratorファイルの読み込み機能を強化しました。Photoshop、Illustratorでカーニングなどを設定して組んだ文字をFireworksに持ってきた際に、文字組みがバラバラになったり、アウトラインしなければならないのでは使いものになりません。CS4ではPhotoshop、Illustratorで設定したカーニングなどを保持したまま読み込めるようになっています。psdファイルの読み込みでも、色を優先するか、レイヤーなどの編集ユーザビリティーを優先するかを選択できるオプションを加えたり、CS3からの改良を図りました。

Dreamweaverでは、スマートオブジェクト機能も強化し、デザイナーとデベロッパーがよりスムーズに連携できるようになりました。デザイナーがPhotoshopなどでグラフィックスを変更した場合でも、Dreamweaver上でボタンひとつでファイルの更新が行えます。すべて、より簡単に使えてユーザーを楽にするツールという見地に立った開発です。

Flash、Fireworksでは、ファイル自体にxmlのメタデータを埋め込むことができるようになりました。これまではPhotoshop、Illustrator、InDesign(Adobe InDesign、以下同)でしかできなかった機能です。これは、クロスメディアでアセットを活用することを念頭おいた機能で、膨大な量のアセットを管理しやすくなります。

InDesignからFlashへの連携強化もあります。InDesignから「xfl」の新しいファイルフォーマットでの書き出しが可能になり、Flashでボタン操作を追加するなどの加工が簡単に行えるようになりました。InDesignを使える方がFlashでインタラクティブなことを試したいというニーズに応えて搭載した機能です。


西村氏は「Fireworksの『PDF書き出し』機能を利用したワークフローは、パブリックβ版の時点で パートナー企業が活用していた。クライアントとのやり取りなど、ワークフローを大きく改善したとの評価をいただいている」と、すでに国内のWeb制作会社 が導入している先例を挙げた

西村●アプリケーションの連携強化は、ユーザーへの最適なワークフローの提案ともいえるでしょう。たとえば、Fireworksに加わった「PDF書き出し」機能は、デジタルメディアをクライアントとやり取りするワークフローのなかで、新しいソリューションになるのではないかと。



写真左/「Adobe Fireworks CS4」のパッケージ。Webグラフィックの制作や、Webサイトのプロトタイプ作成に効力を発揮するだろう
写真右/PDF文書を作成するアプリケーション「Adobe Acrobat 9 Pro」。Fireworksに「PDF書き出し」機能が搭載され、企画書の提案からワイヤーフレームの完成までのワークフローについて、一層の効率化が期待される

森房●Fireworksで作成した企画書をPDF形式にして、クライアントとやり取りすることができます。Web構築のワークフローで、企画の立案からワイヤーフレームを仕上げる段階までの、だいたい7割程度の時間を費やしているのがクライアントとのコミュニケーションです。プレゼンテーション用のスライド形式のソフトなどで企画書を作り、紙に出力したものをクライアントに提出する。そして、赤を入れてもらい、アップデートして1ページごとにOKをとる、あまり効率のよくない方法で進行されている場合も多い。

PDFを使えば、こうしたやり取りを効率的に行え時間を節約できるでしょう。「パスワードプロテクション」機能を利用すれば、機密情報も維持できますし、デジタルデータで保存できるので、管理もしやすくオフィススペースを節約できるメリットもあります。

また、Fireworksで完成させたワイヤーフレームをデザイナーに渡せば、グラフィックスをそのままPhotoshopやIllustratorに移行できます。これまでのような、デザイナーがワイヤーフレームをもとにPhotoshopやIllustratorでイチから作り直すプロセスを省略できる。今回から搭載したピクセル数を瞬時に測定し表示する「ものさしツール」は、そうしたケースにも活躍するでしょう。


PDFを活用したワークフローについて、森房氏は「長い時間をかけてワークフローが確立されている分野では、新しい技術やノウハウの導入を躊躇しがち。けれども、新しい世界に飛び出すことによって、時間やコストがどれだけ削減できるか、メリットを考えてほしい」と、有用性を説く

情報やアイデアはオンラインで共有する


――ユーザー同士のコミュニケーションを促進する機能も拡充されていますが、具体的にはどんなものがありますか?

西村●アプリケーションと連動した取り組みとして、たとえばKuler(クーラー)、ConnectNow(Adobe ConnectNow)Share(シェア)などのオンラインサービスがあります。クリエイティブする際のインスピレーションやアイデアを得る部分ではオンラインを利用していただき、実制作のアウトプットの部分でアプリケーションを使ってもらう方向性です。

CS4では、新機能として「コミュニティヘルプ」の機能を搭載しました。これは、Flashの例でいえばActionScriptのチップスのような、知りたい情報や役に立つ情報をアドビ以外のWebサイトからも探し出し、ヘルプとして表示するものです。今までのアプリケーションのヘルプ機能はアドビが提供したヘルプを表示するだけのものでしたが、新バージョンからはわざわざブラウザを起動してWeb検索しなくても、アプリケーションから直接そうした検索ツールを呼び出せるようにしました。同時に、情報発信している側も我々のアプリケーションを通して、ユーザーに向けた情報を発信できる。お互いのコミュニティとツールが合わさるイメージです。


kuler(クーラー)では、ユーザーが思いついた色の組み合わせパターンをアップ・公開できる仕組みになっている。CS4からは、気に入った色の組み合わせをPhotoshop、Illustrator、Flash、Fireworksなどのカラーパレットに登録も可能になる。世界各国から発想が集まるため、日本人はなかなか思いつかない色の組み合わせなどもあり、ユーザー同士がインスパイアし合う体験を得られる
http://kuler.adobe.com/

森房●Bridge(Adobe Bridge CS4)では「Bridge ホーム」から、各アプリケーションの最先端の情報やユーザーのWebサイトのリンクなども見られます。

コミュニティのテーマでいえば、Dreamweaverのエクステンションの部分も改良し、サードパーティのみなさんがプラグインやエクステンションをより開発しやすい環境を整えました。Adobe.com内のExchange(Adobe Exchange)のサイトにアップロードされているWebウィジェットのエクステンションをダウンロードしてExtention Manager(Adobe Extension Manager)で登録していただくと、Dreamweaverのメニューからダイレクトにアクセスできるようになります。


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