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ユーザーと共に歩むツールを-進化したCS4の全容と開発の背景



(4)変わるWebとメディアの状況



紙からWebへ、Webから紙へ


――CS4開発の背景のひとつ、クロスメディアパブリッシングの拡大について、もう少し詳しく聞かせてください。

西村●日本でもアメリカでも紙媒体が低迷するなか、コストを安く抑えられる、ユーザー動向を正確に把握できるといった点から、Webビジネスに注目が集まっている状況は同じです。DTPデザインを手掛けて来た方がWebデザインも習得しようとするニーズが生まれている。また、RIA(リッチインターネットアプリケーション)の台頭によって、インタラクティブな視点で動いている日本のFlashユーザーの方などは、Webやメディアの枠組みが変化する状況をとくに真剣に考えているようです。


CS3を発売したあと、アメリカの開発チームは何度も日本を訪れて、ユーザーの意見や要望を直接聞く場を設けたという。そうして吸い上げられたユーザーのニーズが、CS4に集約されている

森房●今まで紙の媒体からWebへの流れが中心でしたが……実はアメリカのトレンドにはWebから紙への逆の流れもあります。紙の媒体用に作ったファイルをPDFなどに書き出してWebで販売することで、逆に紙媒体の目安になる数字が見え、適切な発行部数が予測しやすくなった。Webでの販売から紙媒体の販売数を予想して返本率を下げたり、コストを削減したり……状況も変わっていくと思います。「紙からWebへ」と「Webから紙へ」の動きが双方向で進んでいくのではないでしょうか。

――クロスメディアの動きは、これからどんな方向へ進んでいくと思いますか?

森房●1つのアセットを複数のメディアで展開することには、越えなければならない壁もたくさん残されています。Webのデータを紙にパブリッシングする場合は、紙からWebへデータを持って行くのとまったく同じには考えられません。例えば、元のデータがWebだと解像度などの水準が低いのでそのまま使えませんから、オリジナルは高解像度のものが必要です。そうした問題は、我々が今後の製品開発を行ううえでも課題でもあります。どういうソリューションを提供できるのか、ぜひ見ていただきたいですね。

Webでも、パソコンで見るサイトから携帯サイトへ、大きいものから小さいものへだけではなく、逆に小さいものから出して大きいもので見る発想もありますし。たとえば、携帯用に作ったアプリケーションをAIRのアプリに書き出して、そのままコンピュータで見るとか。当然クオリティーの問題はありますが、その場合にはクライアントやユーザーがどのようなもので納得するかの満足度が、メジャーポイントのひとつになるのかもしれません。


今後の製品開発が向う先


――そうした状況のなかで、Webデザインや御社の製品開発は今後どうなっていくでしょう?

森房●Webの世界は本当に回転が速くて、来年どうなっているのかわからない部分があります。そんななかで私たちは5年後、10年後のビジョンを持ち、3バージョン先を考えて製品を開発しています。次のバージョン、その次のバージョンで到達しなければいけないものをはっきり認識しています。それをユーザーのニーズに合うように、ファインチューンしていって開発を進行していきます。

とくに、Webとクロスメディアにはまだまだ多くの課題があります。紙にレイアウトしたデータをそのままダイレクトにWebでレイアウトするケースを想定しても、乗り越えなければならないことがたくさんある。そのためのツールをどうしたら提供できるのかを常に考えています。紙のメディアからWebのメディアに入ろうとするユーザーに、どんなアドバイスやサービスを提供できるのか、いろいろなご意見を伺いながら、日進月歩で開発を進行しています。


今後の製品開発の方向性について、森房氏は「Webの世界はメディアのなかでもとくに変化のスピードが速く、予測することは難しい。そのなかで先を見据え、到達すべきビジョンをもって開発を行っている」と語ってくれた


Webデザイナーにも紙やプロダクトなど、手触り感のあるものを作りたい意欲をもつ人もいるという。「タブレットで描いた絵で手ぬぐいを作ったりする方もいらっしゃる。そういうメディアの枠を越えてクリエイティブする流れも、Webデザインのひとつの行く先として素敵に思える」と、西村氏

西村●製品開発については、3点のポイントがあると思っています。ひとつはWebのなかのコミュニティです。ユーザーのみなさんが自主的に開発しているライブラリなどに、アプリケーション側もきちんとついていけるか。もうひとつは、オンラインサービスと組み合わせたクリエイティブ。Webサービス、オンラインサービスが非常に多く出てきているので、それをフォローしていかなければならないと思っています。

最後はWebの広がりとともに、新しいビジネスエリアにもツールを提供していくことです。Airしかり、デバイスしかり、今Webは閉じた世界ではなくなっています。ここ5、6年のうちに、もしかしたら1、2年で……新しいデバイスなどのブラウザの枠を超えたエリアにも、正しくフィットした形で制作ツールを提供していきたいですね。

――ありがとうございました。


(取材・文:熊谷千春/MdN Interactive 写真:谷本 夏)
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