「2009年ネットサービスの“台風の目”は?──後編」
「2009年ネットサービスの“台風の目”は?──後編」
2009年1月19日
TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)
「iPhone最適化サイト」の流行
iPhone 3Gは日本国内でも着々とユーザー数を伸ばしている。
iPhone向けのサービスと言えば、ついついApp Store経由で配布するネイティブアプリに目がいくのは無理ないことであるが、iPhoneは非常に優秀なWeb閲覧ツールである。いわゆるケータイで見ているWebは、キャリアの縛りの中でいびつに進化した独特なネットでしかないが、iPhoneではPCでみているWebそのものにアクセスできる。実際、世界中のモバイル機器の中で、iPhone経由でみられているWebのトラフィックはダントツだ。
しかし、iPhoneにもやはり画面サイズの小ささという制限やFlashが使えないなどの条件があるため、必ずしもPC用に制作したWebサイトを常に快適に観られるわけではない。だから、結果としてiPhone用に最適化されたWebサイトを作成する必要が出てくるのである。
iPhone最適化サイトとは、画面サイズへの配慮に加えて、モバイルSafari独特の仕様の理解、JavaScriptの適切な利用などを施されたサイトである。筆者が経営するモディファイを始め、最近ではWeb制作会社のIMJなど、iPhone最適化サイト構築支援を事業として打ち出しているところも出てきている。
iPhone最適化サイトの数々
Flickr
Amazon
SBI Business(ビジネスSNS)
ロレックス
筆者が経営するモディファイ運営のiPhone専用マイクロブログ「SMART」
iPhoneユーザーと非iPhoneユーザーの消費・生活意識に関して調査したところ、iPhoneユーザーは非iPhoneユーザーに比べて、購買意欲が高く、ブランドや流行に敏感である一方、明確な価値観を有しており、購買において自分の価値観を重要視する傾向がある。
このような傾向から、多くのラグジュアリーブランドがiPhone用にアプリを配布することが流行したが、徐々に、アプリではなくiPhoneに最適化したWebサイトを構築したほうが常に最新情報を提供できるし、結果的にコストも安いことに気がついたようである。
たとえば高級時計ブランドのロレックスがiPhone専用サイトを公開したのもその流れであるし、筆者が聞き及ぶところではさらに多くのブランドが、この準備をしているという。
また、生保や証券など、そもそもネットと親和性の高い企業がこの流れを無視するわけもなく、今年は多くの大企業がiPhone最適化サイトの提供に動くだろう。
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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。