第6回 コンテンツマーケティングQ&A

第6回 コンテンツマーケティングQ&A

コンテンツマーケティングをはじめたり、ある程度施策を進めていくと、細かな疑問にぶつかることは多いものです。連載の最終回となる今回は本書のChapter9「コンテンツマーケティングQ&A」より、筆者がよく聞かれる質問とその答えをいくつかご紹介していきます。
2016年7月29日/執筆:渡辺一男(株式会社日本SPセンター)


■コンテンツマーケティングは何から始めたらよいですか?

何から始めたらよいのかは目的によって異なりますが、購買ファネル上で強化したい段階から始めることをお勧めします【01】。

たとえば、認知獲得に力を入れたいのであれば、ブログ記事から始めるのがよいでしょう。ペルソナ設定に基づいたニッチなコンテンツを多く配信して継続していくことにより、どんなテーマがよく読まれるのかという傾向がわかってきます。

好まれる傾向がわかってきたら、同じテーマの記事を集めた新しいディレクトリーを作成してもよいですし、マイクロサイト化するのも良い方法です。購買した顧客のリテンションに力を入れたいのであれば、メルマガなどの定期的なコミュニケーションにコンテンツマーケティングを利用するとよいでしょう。先に述べたブログ記事と同様に顧客のペルソナに合わせて配信内容を変えてコンテンツをチューニングしていくことになります。

【01】自社の購買ファネル上で弱い部分を補強しよう
 例:比較検討から購入段階での離脱率が大きい場合は、
 比較検討コンテンツから拡充する


■コンテンツは内製すべきでしょうか、アウトソースすべきでしょうか?

これは企業規模と人的リソースによって異なります 。もしライティングまでできる人的リソースを社内で確保できるのであれば、それがベストです。商品を熟知した人物がライティングすることに勝る選択肢はありません。

しかしながら、ほとんどの企業ではそこまでの余裕がないはず。宣伝、マーケティング、販促部門は既存の業務だけでもリソースが不足しがちなことが多いため、制作に関する部分は外注すべきです。

一方、小規模な会社の場合は、たとえばひとりで小さく始めることをお勧めします。ただしこの場合でも、企画段階でコンテンツマーケティング支援会社などの外部リソースの力を借りたほうが、試行錯誤の時間を短縮することができます。パートナー企業を選ぶときは、ライティング能力はもちろん、部分戦略ではなく、できれば販売の現場までを熟知した全体戦略を構築できる会社と組むことをお勧めします。

【02】ニーズにあった企業を検索
 パートナー企業を探すときは、自分が見込客なのだから、検索して気になった企業を
 探してみることが重要。そのニーズを理解したパートナー企業が上位に現れるはずだ


■コンテンツマーケティングを運営するために最低限必要な人数は?

コンテンツマーケティング戦略を描ける人がいれば、アウトソーシングを活用するなどしてひとりでも運営は可能 です。平均的にどれくらいの人数が必要かは、すでにコンテンツマーケティングを実践している企業を参考にするとよいでしょう。

アメリカでコンテンツマーケティングプラットフォームを提供しているKapostが実施した2014年3月の調査【03】によると、コンテンツマーケティングを推進する組織の適切な人数として2人~5人が47.54%で最も多い回答となりました。また、現在の組織人数は2人~5人が41%で最も多くなっています。対象企業の規模がバラバラなので参考値程度に捉える必要はありますが、可能であれば2人以上で運営したほうがよい でしょう。

【03】コンテンツマーケティングに関する人材、組織体制の調査
アメリカのコンテンツマーケティングプラットフォーム提供会社Kapostが
調査したコンテンツマーケティングに関する人材、組織体制の調査データ
url. http://marketeer.kapost.com/content-marketing-hiring-infographic/#axzz3pr5741WY

■アクセス数が伸びないのですが、どう改善すればよいですか?

コンテンツマーケティングを実践しても最初の頃はなかなかアクセス数が伸びません。テーマ設定を間違えていなければ、徐々にアクセス数は向上していくので、初期段階ではファインダビリティに注目することをお勧めします。

ある特定のキーワードに対して、自社のコンテンツが見つかりやすい状態にあるかどうかをモニターする のです。ファインダビリティが向上しない場合は、まず、よりニッチなコンテンツを追加してみましょう。たとえば「洗濯機、選び方」で検索順位がよくない場合、さらに「ひとり暮らし」という一段階深い階層のコンテンツを追加するのです。

さらに「子供」「共働き」というようにコンテンツを追加しながらファインダビリティの変化を見ていきましょう。徐々にアクセス数も伸びていくと思います。

【04】アクセス数が伸びないときは、一段階深い階層のコンテンツから追加していく


■コンテンツマーケティングにおいて適切な更新頻度はありますか?

一言で答えるならば、自社のリソースを使って更新できる頻度が適切な更新頻度になります。もちろん、高い頻度でコンテンツを更新していくことが理想ですが、更新頻度を重視するあまり、無理をして浅い内容のコンテンツを乱発するよりは、深い内容のコンテンツを可能な範囲で更新するほうが効果的です。

なんらかの目安があったほうが更新頻度を決めやすいということであれば、たとえばブログの場合、初期段階では毎週あるいは10日に1本は記事を更新すべきです。これ以上の期間があくと情報ソースとして忘れられる可能性が高くなります。ある程度記事の量が増えてくれば、少し更新頻度を落としたとしても特に影響はありません。

【05】コンテンツマーケティングラボの場合、当初は毎月3、4本の頻度で更新し、
  現在では毎月2、3本の頻度で更新を続けている


■コンテンツの量と質ではどちらが重要ですか?

基本的には質のほうが重要です。検索結果としても質が高いコンテンツのほうが評価されます。しかし量が少ない、つまり更新頻度が少なくなっていくと新しい情報がないので、ウェブサイト全体のアクセス数が落ちていきます。検索結果で上位に表示されるためには質が重要、読者の興味をつなぎ止め続けるためには更新頻度、つまり量が必要ということになります。

結局のところ量と質の両方を追い続けなければならないというわけですが、質を追い求め過ぎて記事が更新されないよりは、ある程度妥協して記事を掲載し、その結果を見ながらチューニングを行うほうが適切な量と質のバランスに早く到達することができます。

【06】量と質のどちらが重要であるかという場合、 質が重要なのは明らかだが、
  質がよいかどうかを決めるのは読者なので、ある程度の量をこなすと適切な質が
  見つかるだろう

以上で本連載は終了となります。ご愛読いただきまして、まことにありがとうございました。

なお、書籍ではより踏み込んだQ&Aのほか、コンテンツマーケティングがうまく機能しない場合のチューニング方法、コンテンツのタイプに応じたコンテンツのアイデア、コンテンツマーケティングの成功事例など、さらに盛りだくさんの内容が掲載されています。ご興味のある方はぜひご一読ください。


第5回「 コンテンツを広める」          
第4回「コンテンツマーケティングの4つの型
第3回「マーケティングコンテンツのつくり方
第2回「コンテンツマーケティングの始め方」 
第1回「コンテンツマーケティングの基本概念
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【BOOKS紹介】
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