
「Googleの最新ブラウザ『Chrome』──後編」
2008年10月3日
TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)
前回までに、Chormeが対IEというよりも、Googleにとって棲みやすいWebの環境を維持するために、HTML+CSS+JavaScriptという標準的な仕様を備えたブラウザのシェアを上げるための戦略的なアプリケーションであり、ひいては対Windowsという立ち位置にあることを述べてきた。
それではGoogleが遠くの地平に見ているであろう、未来のWebはどのようなものだろうか。そしてその中でChromeはどのような役割を果たすのか?
まずひとついえるのが、ChromeはPC上という限定的なプラットフォーム(ひと昔前なら「PCのデスクトップ=Web」だったが、いまでは多種多様なプラットフォームのなかのひとつにすぎない)で最適化されているのではなく、クロスプラットフォーム、つまり、携帯電話やカーナビ、持ち運びを前提としたカーナビであるPNDなどにおける利用を前提とした、全体最適化を目指したブラウザであるということだ。
高度にプログラミングされた疑似世界に人間のパーソナリティを投影する、超未来のセカンドライフのような世界を示した映画『マトリックス』三部作では、コンピュータプログラムであるはずの仇敵スミスが逆に、人間の(バイオコンピュータともいえる)脳幹に侵入して、リアルの世界に侵入してくる。Googleはまさにこのスミスのように、リアルの世界に対して影響を与えるサービスを作り上げようとしている。その侵入口としての役割をChromeは果たすのである。
ストリートビューが話題になっているGoogle Mapsだが、米国版で利用すると気がつくのが、検索結果として得た目的地のURLを、携帯電話に送信できるだけでなく、ロケーション情報自体をカーナビに送信できる仕組みを有していることだ。
このサービスはメーカー別のGPS(現在は三種)への送信と、特定車種(現在はメルセデスとBMW)への送信を選ぶことができる。いまはまだデータを送信するだけの一方通行であるが、やがてはGoogleというサービスそのものがカーナビ上で使われるようになるに違いない。ストリートビューもクルマの中でこそ威力を発揮するサービスのはずだ。
そのためには、Googleのさまざまなサービスが動くことが保障されたブラウザが、各プラットフォームに乗っていなければならない。そのための尖兵こそがChromeなのである。

Google ストリートビューの画面
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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。



