
「ビデオシェアリング(動画共有)サービスの新展開」
2008年4月23日
TEXT:加藤智明(つくねパパ)
(株式会社クリエイティブガレージ インタラクティブコミュニケーションプロデューサー)
先日、このMdN Interactive「ニュース&トピックス」のTOPICSコーナーで「@nifty ビデオ共有β」に付与された新機能のことが取り上げられました。
◆「@nifty ビデオ共有β」にオンライン編集機能を追加 2008.4.17
http://www.mdn.co.jp/content/view/5700/78/
本日は、このニュースから、ビデオシェアリング(動画共有)サービスの動向についてみていきたいと思います。
一番の注目は、CCライセンス
今回、動画共有サービス「@nifty ビデオ共有 β」に追加されたオンライン編集機能とは、
・マウスによるドラッグアンドドロップで動画編集
・ビデオの不要な部分の「カット編集機能」、複数のビデオのつなぎ合わせる「マッシュアップ機能」
・効果音やBGMの挿入、タイトル、字幕、デコレーション、吹き出しなどを加えたりすることができる
といったところが特長としてあげられています。
MdN Interactiveのニュース記事では触れられていませんが、今回、「@nifty ビデオ共有 β」に追加されたオンライン編集機能のなかで、私がもっとも新しいと感じるのは「クリエイティブ・コモンズ(以下、CC)」ライセンスの素材(BGMなど)があらかじめ用意されている点です。
CCライセンス/クレジットの入力・宣言に対応したオンライン動画編集サービスとしては「eyespot」という英語サイトが思い浮かびます。また、フォトシェアリング(写真共有)サービスでは「flickr」が老舗ですが、今回の「@nifty ビデオ共有 β」に追加されたオンライン編集機能により、合法的な“リミックス”をその場で気軽に楽しむことができる本格的動画編集サービスサイトが、いよいよ日本にも登場したことになるわけです。
ビデオシェアリング(動画共有)サービスと知的財産
ビデオシェアリング(動画共有)サービスというと、日本では「YouTube」と「ニコニコ動画」が人気を博しています。
YouTubeの場合、投稿された動画コンテンツに対するコメント数や再生回数による人気度という集合知情報を掲載し、また、外部ブロガーが自由に引用・再生できる仕組みを提供していることで、動画コンテンツの「配信」という共有策に多大な貢献をしているサイトサービスです。
ただし、投稿した動画の所有権は投稿者に認め、著作権を侵害している投稿の排除の姿勢は見えているものの、YouTubeやYouTube各利用者に対し、投稿された動画の使用、複製、配布、派生著作物を作成、表示および実行するライセンスを(一部)付与するといったことをその利用規約で謳っています。
また、ニコニコ動画の場合は、人気の源となっている投稿動画に表示される書き込みの著作権は運営会社に譲渡されることが利用規約で謳われ、かつ、クローズドな配信環境を設定しているためか、多くの動画が著作権者に無断で、提携先であるSMILEVIDEOにアップロードされることを許す事態につながっています。
そんななか、上記2つのサイトサービスと音楽著作権者との間で、少しずつではありますが、歩み寄りの動きが見られます。
◆03/27/2008 JRC「YouTube"!」の日本における音楽著作権の包括利用許諾契約を締結
http://www.japanrights.com/whatsnew.html?whatsnewId=8
◆ニコニコニュース‐JASRACとの契約締結のご報告
http://blog.nicovideo.jp/niconews/2008/04/001061.html
これらのニュースリリースによると、ユーザーが自分で演奏したり、自分たちで演奏しながら歌ったりした動画作品に関しては、ビデオシェアリング(動画共有サービス)にアップロードすることが認められる方向で動いていくようです。ただし、動画(映像)そのものの著作権についてはまだまだ解決の糸口さえみえていません。
著作権者の保護を図りつつ著作物の流通を促進するCC
インターネット上の写真や音楽、テキストおよびその複合物としての動画(映像)などのデジタルデータはコピーが容易です。
そういった環境下で、その作品の露出に対し課金するいわゆるプロのアーティストのビジネスモデルに関しても、そのプロモーションのあり方を含め、ビデオシェアリングをはじめとしたWebとのよりよき付き合い方を模索中といえます。
ましてや、その露出に対し課金するものではない受託タイプのプロの作品や、アマチュア革命により創出された作品の多くは、デッドコピー(海賊版)を許さないことを前提にし、かつその作品のWebでの引用・流通を促がす著作権のあり方を求めているといえるのではないでしょうか。
CCは、「出典明示」、「商用利用不可」、「改変禁止」などの条件を選択明示することによって、著作権者の保護を図りつつ、著作権者への面倒な許諾手続きを踏まずにも、著作物の流通(引用、コピー、翻訳、改変など)を促進することができる仕組みで世界的規模の運動となっています。そしてCCは、その仕組みを利用した作品が増えれば増えるほど、クリエイターの“合法的”制作環境も整備され、また、作品の流通促進性も増すといったネットワーク外部性を持ち合わせたものといえます。
◆Creative Commons Japan - クリエイティブ・コモンズ・ジャパン
http://www.creativecommons.jp/
こういったCCライセンスに理解を示したソーシャルメディアの積み重ねが、CCライセンス普及の原動力となることは間違いないところでしょう。
今回niftyのようなプロバイダー大手が、CCライセンスの入力・宣言に対応したオンライン動画編集サービスを開始したことの意義は大きく、CCライセンスを一気に普及させる、利用者数の「閾値」超えの糸口になっていくことが期待されます。

[筆者プロフィール]
かとう・ともあき●株式会社クリエイティブガレージ インタラクティブコミュニケーションプロデューサー。市場調査会社でのR&D業務経験を活かし、1999年よりWebマーケティング、ネットビジネス支援、Eコマースコンサルティングに携わる。プライベートでは、ペットのミニチュアダックスフントを愛する「つくねパパ」としてblogging。



