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「活躍ぶり凄まじいXoogler」(前編) - MdN Design Interactive

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「活躍ぶり凄まじいXoogler」(前編)
2008年4月17日

TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)


「Xoogler」とは、「ex-googler」、すなわち“Googleを離れた元従業員”のことを指す、最近のちょっとしたスラングだ。特にIPO(新規株式公開)後に一躍ひと財産築いた古参エンジニアや、役員クラスがGoogleを離れ、新たに起業したケースについて使われることが多い。「ex-」という接頭辞は”元の”という意味を持ち、ex-wifeは離婚した元妻だし、ex-girlfriendといえば昔の彼女、という意味になる。ちなみに口語で単にexという言い方をすると、日本流にいえば「元カノ」「元カレ」と同様の、今風の響きになる。

それはともあれ、昨今のXooglerたちの活躍ぶりは凄まじい。次から次へとスタートアップ(創業間もないベンチャーのこと)を立ち上げては巨額の出資を集めることに成功しており、サブプライム問題以来冷え込んでいるシリコンバレーにあって気を吐いている。元々有能な人材しか雇用しない(といわれている)ことで有名なGoogleの中で、それなりの実績を積んだ彼らへの期待値の大きさでもあるのだが、起業ではなくても、FaceBookなどのIPO以前の有力ベンチャーや別業種の巨大企業への転身も目立つ。

彼らの多くは、ストックオプションにより一生(とまではいかないとしても、数年間は)食いはぐれないだけの資産を得ている。だから、そのままGoogleにいても生活は安泰だが、それではIPOをしたときの(ストックオプションによる)巨額のボーナスはもう望めない。であれば、仮に失敗してもリスクが少ないのだから、もう一度(あるいは何度でも)IPO以前のベンチャーからのスカウトを受けたり、自らスタートアップを興すことにためらいは少ない。また、大企業からの誘いも、Googleにいたときよりも遥かに好条件での昇進につながるので、いずれにしても外に飛び出すほうがメリットが大きいわけだ。

以前はマイクロソフトの社員流出が話題になったが、Googleはこれまで、比較的長い間優秀な人材の離散を食い止めるだけの魅力を保ち続けてきた。ここにきて、ついにその求心力に翳りが見えた、ということなのだろう。

ただ、Xooglerが注目される最大の理由は、彼らが興したスタートアップの多くがテクノロジーオリエンテッドであることと、集める資金が桁違いであることだ。特に、新たな着眼点を持った検索サービスをひっさげて起業した連中が多いことが注目に値する。長らく門外不出というか、徹底的な秘密主義で隠し通されてきたGoogleの検索エンジンと、それを支える基盤技術群を目の当たりにしてきたはずのXooglerであるからこそ、彼らがGoogleではない検索サービスをリリースすることに、大きな注目が集まるのである。それは、Google以降、世の中全体にインパクトを与えるようなベンチャーの登場やIPOがされていない、という閉塞感を打開してくれるかもしれないという期待でもある。

(後編に続く)



小川浩氏近影

[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。




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