第1話に引き続き、ドラフトの関本明子氏の作品を紹介し、その制作過程における思考プロセスに迫る。今回は、関本氏の知人が手がけるおもちゃブランド「rinden」のロゴやポスターに注目。
第2話 アートディレクターの描くイラスト
イラストが描けることは強みだが、
そこだけを特化させたいわけではない
──今回ご紹介いただける作品のクライアントである「rinden」とは、どのようなブランドなのでしょうか?
関本●私の知人によるブランドなのですが、1人でおもちゃをプロデュース、デザインして商品化しています。そもそも、このブランドは「rinden」という名前だけ決まっていて、不定期で商品を作っていたのです。その話を聞いて、何か自分も力になれないかと考え、特に先方から「これを作って欲しい」との要望をもらったわけではないのですが、「ロゴがあったほうがいいのでは?」、「名刺も必要なのでは?」と提案していきました。古くからの友人ということもあり、ビジネスというより、いわば一緒に楽しく協力させてもらっている形です。
関本●私の知人によるブランドなのですが、1人でおもちゃをプロデュース、デザインして商品化しています。そもそも、このブランドは「rinden」という名前だけ決まっていて、不定期で商品を作っていたのです。その話を聞いて、何か自分も力になれないかと考え、特に先方から「これを作って欲しい」との要望をもらったわけではないのですが、「ロゴがあったほうがいいのでは?」、「名刺も必要なのでは?」と提案していきました。古くからの友人ということもあり、ビジネスというより、いわば一緒に楽しく協力させてもらっている形です。
──ロゴを制作する際には、どのようなプロセスで、ビジュアルを決めていったのでしょうか?
関本●まずはじめに「rinden」はおもちゃ屋さんなので、すごくシンプルに、ロゴをそのままおもちゃにしようと決めました。おもちゃにも様々な種類がありますが、縫いぐるみのようなモチーフを選んだのは、文字の固い形を柔らかいもので構成したら面白いと考えたからです。私は小さい頃「シルバニア・ファミリー」というフロッキー加工された人形が好きだったのですが、そのような質感を表現できるように意識しました。
──ロゴだけではなく、それを用いたポスターなどの質感も独特ですね。これは、どのような経緯で制作されたのですか?
関本●「rinden」の展示会が実施される機会があり、その必要に応じて制作したものです。部数が多いものではないので、印刷するのではなくインクジェットプリンタで出力しているのですが、紙自体は普通の白い紙で、画像としてテクスチャを乗せて刷っています。色々な紙の中からイメージに合うものを選べる状況だったら、紙自体に質感があるものを使用すればよいわけですけどね。
関本●まずはじめに「rinden」はおもちゃ屋さんなので、すごくシンプルに、ロゴをそのままおもちゃにしようと決めました。おもちゃにも様々な種類がありますが、縫いぐるみのようなモチーフを選んだのは、文字の固い形を柔らかいもので構成したら面白いと考えたからです。私は小さい頃「シルバニア・ファミリー」というフロッキー加工された人形が好きだったのですが、そのような質感を表現できるように意識しました。
──ロゴだけではなく、それを用いたポスターなどの質感も独特ですね。これは、どのような経緯で制作されたのですか?
関本●「rinden」の展示会が実施される機会があり、その必要に応じて制作したものです。部数が多いものではないので、印刷するのではなくインクジェットプリンタで出力しているのですが、紙自体は普通の白い紙で、画像としてテクスチャを乗せて刷っています。色々な紙の中からイメージに合うものを選べる状況だったら、紙自体に質感があるものを使用すればよいわけですけどね。
──ロゴに用いられているビジュアルは、そのまま実際の縫いぐるみとしても成立しそうですね。
関本●実現するのがいつになるかは未定ですが、製品化も検討中のようです。実は、ロゴを作っている過程でも「このビジュアルが実物だったら面白いね」とのアイデアは出ていたので、ロゴに使われている文字だけではなく、全てのアルファベットに関して同様のビジュアルを作ってあります。また、展示会の会場でサインになるものとして、実際に縫いぐるみ化して飾ったこともありました。
関本●実現するのがいつになるかは未定ですが、製品化も検討中のようです。実は、ロゴを作っている過程でも「このビジュアルが実物だったら面白いね」とのアイデアは出ていたので、ロゴに使われている文字だけではなく、全てのアルファベットに関して同様のビジュアルを作ってあります。また、展示会の会場でサインになるものとして、実際に縫いぐるみ化して飾ったこともありました。
──このビジュアルはかわいい生き物のように見えますが、何か具体的な動物を想定しているのでしょうか?
関本●動物に見えつつも、犬や猫のような特定の種に限定されないように、あえて抽象的なビジュアルにしています。というのも、具体的な動物にしてしまうと、その動物のおもちゃを専門に作っているブランドとして、勘違いされる危険性があるからです。
──なるほど。そのような表現ができるのは、まさにイラストならではですね。
関本●そうかもしれません。イラストには、実際に存在しないものを作ることができる楽しさがありますからね。
──前回紹介した作品と同様に、これらも全て関本さんが描いているそうですが、自分でイラストも描けることは、やはり関本さんにとっての強みなのでしょうか?
関本●たしかに私は自分のイメージに合ったものは自分で描いてしまう傾向にあり、それは自身の特徴の1つなので、大切にしたいと考えています。ただ同時に、私はアートディレクターとして立ち回らなければいけませんし、イラストを描くことにばかり時間が取られてしまうとディレクション、デザインに専念できなくなってしまう。そこで次のステップとして、イラストは専門家に外注し、しっかりとコミュニケーションを取りつつ、ディレクションに集中する方法も採用していきたいと考えているところなんです。さらに、イラストだけに特化させるわけではなく、写真を中心に構成するデザインも、もっと増やしていきたいですね。
(取材・文:佐々木剛士 人物写真:谷本夏)
次週、第3話は「デザインする対象への信頼」について伺います。こうご期待。
関本●動物に見えつつも、犬や猫のような特定の種に限定されないように、あえて抽象的なビジュアルにしています。というのも、具体的な動物にしてしまうと、その動物のおもちゃを専門に作っているブランドとして、勘違いされる危険性があるからです。
──なるほど。そのような表現ができるのは、まさにイラストならではですね。
関本●そうかもしれません。イラストには、実際に存在しないものを作ることができる楽しさがありますからね。
──前回紹介した作品と同様に、これらも全て関本さんが描いているそうですが、自分でイラストも描けることは、やはり関本さんにとっての強みなのでしょうか?
関本●たしかに私は自分のイメージに合ったものは自分で描いてしまう傾向にあり、それは自身の特徴の1つなので、大切にしたいと考えています。ただ同時に、私はアートディレクターとして立ち回らなければいけませんし、イラストを描くことにばかり時間が取られてしまうとディレクション、デザインに専念できなくなってしまう。そこで次のステップとして、イラストは専門家に外注し、しっかりとコミュニケーションを取りつつ、ディレクションに集中する方法も採用していきたいと考えているところなんです。さらに、イラストだけに特化させるわけではなく、写真を中心に構成するデザインも、もっと増やしていきたいですね。
(取材・文:佐々木剛士 人物写真:谷本夏)
次週、第3話は「デザインする対象への信頼」について伺います。こうご期待。
[プロフィール] せ きもと・あきこ●1976年東京生まれ。2002年東京藝術大学大学院デザイン科修士課程修了、株式会社ドラフト入社。2002年文部科学大臣賞受賞(D -BROS・カレンダー「HANG2002」)、2005年ADC賞受賞(ワコール ウイング ブールマルシェ・ CI パッケージデザイン)、2006年JAGDA新人賞受賞、日本パッケージデザイン大賞2007大賞受賞(ワコール ウイング ブールマルシェ パッケージデザイン)。主なクライアントに、BOURGMARSHE(インナーウェアーショップ) 、Aco (アクセサリーブランド) 、rinden (玩具ブランド)など。 |