
今回の「ザ・対談」は、年末年始を股にかけて掲載のスペシャル版。当サイトで連載中の白根ゆたんぽさん、同氏とユニット「YUTOONZ」を組む今井トゥーンズさん、二人の気鋭イラストレーターを迎えてお送りします。かつて、某誌の恒例企画となっていながらオトナの事情で中断していた歳末放談が奇跡の復活! 従来の「ザ・対談」と比べるとユルユルですが……年末進行も終わって忘年会モード→新しい年を迎えておとそ気分のみなさま、イラストレーション業界における「2.0」問題をツマミにお楽しみください。
第3話 あけまして2007年の抱負
昨年末から引き続き、浅草合羽橋“どぜう飯田屋”よりお送りしている対談も、今回からは迎春バージョン。鍋汁をすすい、なまずの骨をガリガリ喰らい、酒杯を重ねてイイ湯加減にデキあがった両名に、新たな年における意気込みを語り合ってもらいましょう。
白根ゆたんぽ(右)と今井トゥーンズ(左)
YUTOONZでキャリアアップ?
──今回は新年の抱負についてお話を。
今井●今年は、いままで以上に仕事をしたいですね。海外のマネジメントがついたので、気を引き締めて仕事をしなくちゃ。あとは、マンガの長編。これまでは1話で雑誌が休刊になったり、季刊誌で1ページ連載って……年4ページですよ!(笑)。
白根●単行本化のときは今トゥン爺ちゃん?
今井●さすがにそれは困る(笑)。
白根●僕の抱負は……「締め切りのズレをプラスマイナス1日におさえる」ですかね。抱負というより希望に近いですけど。去年は肉体的にもきついけれど仕事の本数入れて、結構真剣に取り組んでみたんです。で、自分なりの統計もとれてきて、こういう状況のときはこうなる……というのが見えてきて。
──たとえば?
白根●あまり詳しくは教えられないんだけど、早く上がったからって締め切りよりも数日前に納品すると先方の対応がどうなるとか、こういうメールを打ってくる編集者さんはこういう仕事パターンだとか……いやぁホント教えられない(笑)。まあ、そういうノウハウをいかしつつ、途中経過もいい印象を残そう、と。
今井●過程も重視する、と。
白根●イラスト業界も若い世代は真面目でしっかりしてるからね。絵上手いし、気が利いてるし、自分でがんがんホームページ組めたりするし。そうなると、僕なんかリタイアしてからコンビニのバイトに入ってきたおじさんみたいな立場なんですよ。
今井●陰でヒソヒソ「あの人、頑固よね」とか(笑)。
白根●そうそう。そこをどう2.0時代(笑)に対応させていくかって話なんだけど……まじめにやるか、エラくなってワガママきいてもらうしかないですからね。
今井●で、キャリアアップのためにYUTOONZを(笑)。
白根●ああ、YUTOONZは頑張っていきたいよね。
──昨年はどうだったんですか?
今井●まず、6月に名古屋パルコでライブペインティングをやりましたね。
白根●それから別々に描いたけど8月のサマーソニック、10月に大分県立芸術文化短期大学の学園祭にも参加して……営業、頑張りましたよ。
今井●白根さん、YUTOONZの営業担当ですから。
白根●アーティスト兼マネージャー(笑)。地方から仕事来たりすると納品ついでに「YUTOONZというユニットがありますよ」って持ちかけたり。……まぁ、旅行に行きたいだけのユニットという話もありますが。
──積極的に働きかけているんですか?
白根●ええ、待っていても仕事来ないですから。イベントの企画が舞い込んだら「今井トゥーンズというのがいまして……詳しくは僕のブログを見てください」と。基本は出張がない稼業なので、自力でそういうことやらないと。
──昔、やはりVOWチーム(安斎肇、みうらじゅん、カーツ佐藤)が同じ理由で全国ツアーを敢行してました。
白根●あの方たちみたいに認知されているといいんだけど。
今井●……されてないからねぇ。現地に行くと、みんな斜に構えだすんですよ。陰でヒソヒソ「東京から来た人たちよ」とか(笑)。
白根●とか言いながら、囲まれてサイン描いてたじゃん(笑)。
浅草寺のおみくじで「吉」をひいたゆたんぽ氏
キャッキャッ言われたい
──各地、アート環境は活発なんですか?
白根●もちろん東京に比べると状況的には静かに見えるかもしれないけど、そういう方向に興味向いてる若い人がいるのは確かですからね。今井くんも僕も東京以外の出身者で、そういう意識がある人はつねにいることを知っているから。
今井●地方にいると、情報は入ってくるけどリアリティはないじゃないですか。でも、やっぱり白根さんのように現場を知る人が行くとリアリティが伝わる。そこで「俺もできるんだ」って背中を押してくれるような……。
白根●まぁ、自分の背中ぐらい自分で押せって話なんだけど(笑)。
今井●言われて勇気づけられるものではないね。
白根●夢は時間を裏切らないわけですよ(笑)。
今井●たしかにそれはそうで、外の世界に飛び出るきっかけはいくらでもある。僕の場合は地元が嫌で、とにかく家を出たかったからなんだけど。
──で、大学受験して。
今井●そう。大学受からなかったら、たぶん東京に出られなかった。でも、ダメだったら海外へ……という気もしなかった。東京にも出られない奴が海外なんて行っても、なんかいままでのすべてをリセットしに行くようでそれもつまらないなって……名古屋でゴタクを並べて生きていたのかもしれないね。
白根●いまなら大阪に「digmeout」があったり、札幌に「SHIFT」があったり、群馬に「Maniackers Design」がいたり……東京以外の環境もずいぶんよくなった。僕がデビュー当時に「SHIFT」の前身グループと札幌でイベントを御一緒させてもらったことがあるんですけど、その頃の状況に比べたらい断然いい。
今井●うん。地方でも、かなり出来ると思う。ネットは整ったし、家賃も安いし。
白根●エリアに関係なくやってるから、逆にうらやましいよ。僕らの頃は東京に出ないとなにも無理だったじゃん?
今井●うん。そして、そういう強迫観念もあったよ。
白根●まして埼玉県なんて、東京のアーティストが来るわけないし。
今井●名古屋も素通りするからねぇ。
──では、今年はYUTOONZで精力的に各地に行きたい、と?
白根●行きたいですね! もっと数を増やして、新幹線降りた途端にキャッキャッ言われたいんだけど……どうやったらなれるんだろう?
今井●それはまぁ……「絵」じゃないでしょ(笑)。
白根●そうだねぇ(苦笑)。

一方の今井氏は「凶」! 厄落としのつもりで……
次週、第4話は「イラストレーターの一分」を掲載します。
(取材・文:増渕俊之 写真:谷本 夏)
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[プロフィール] しらね・ゆたんぽ●1968年埼玉県生まれ。桑沢デザイン研究所グラフィック研究科卒業後、フリーのイラストレーターとなる。現在、当サイトで4コマ漫画「ユタンポ300GT-B」を連載中。他にもいっぱい仕事してますが、以下サイトを参照していただいたほうが楽チンです。 Webサイト□http://yuroom.jp/yuroom/top.html ブログサイト□http://blog.so-net.ne.jp/YUROOM/ |
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いまい・とぅーんず●1971年愛知県生まれ。多摩美術大学美術学部卒、同大学院研究科終了。90年代中盤よりイラストレーターとして仕事を始め、CFやアニメ、ゲームのキャラクターデザイン、スニーカー制作などにも携わる。2004年、劇場版アニメ『DEAD LEAVES』を企画・制作。2002年、白根ゆたんぽとユニット「YUTOONZ」を結成。 |





