
様々なジャンルで活躍するデザイナーの来歴をたどるシリーズ、第8回は「デザインと自主制作」編。グラフィックデザイナーとしてデザイン事務所「Coa Graphics」を主宰する一方、音楽レーベル「Coa Records」を運営し、自身も「Spangle call Lilli line」のメンバーとして活動する藤枝憲さんを取材し、その経歴から現在に至るまでの足跡をたどります。
第2話 やりたいものは先に作る

藤枝憲さん
音楽レーベル「Coa Records」発足
??雑誌『Coa』を作り始めたのは、自分たちの読む雑誌がないという気分も?
藤枝●もちろんそれもありますが、純粋にデスクトップにあるものをそのまま入稿したら雑誌が作れるという新鮮さが当時はあった。Macと出会ったとき、最初に思ったのも「これで雑誌が作れる」ということでしたから。でも、当初は印刷所に行って、怒られながらやってましたね。現場の担当者に「こんなんじゃダメだよ!」って(笑)。
??入稿の指定とか?
藤枝●フルDTPで入稿すること自体にまったく経験値がなく、すべてぶっつけ本番(笑)。当初は心の中で「これだったら版下作ったほうが、もしかしたら時間的にも早いし、思い通りのデザインになるんじゃないか」とか思ってましたから(笑)。何度も印刷所を行き来して、最後は印刷所のマシンを借りて、文句言われながら入稿形態にしてました。「時間換算で使用料とるよ」って(笑)。でも、それ以前は、商業誌に見劣りしない見栄えの雑誌を個人レベルで一冊丸々作って流通させるということ自体、難しかったじゃないですか。それを自分たちで自由にできるというのは革命的なことだったんですけどね……。今はDTPなんて当り前というよりは、ちょっと時代遅れくらいの印象があるかもしれないけど。
??雑誌作りの資金は?
藤枝●徐々に、少しずつ増やしていった感じです。ページ数も最初は16ページから始めて、最終的には100ページ以上になって。周りのスタッフは僕以外、途中までボランティアだったし。でも、そのとき出会った人たちとは、いまもなにかしらで繋がっていますね。
??その一方、仕事面では営業をしたのですか?
藤枝●いや、全然してなくて……いまもそうなのですが、営業はあまり好きではないんです。でも、最初から割と大きな仕事が入っていましたね。大学の先輩ルートの大手出版社とか、逆に『Coa』の取材に来た広告代理店だったり。発注側も、そういう若者文化的な媒体を作りたいという気持ちがあったみたいで。
??いわば『Coa』が営業ツール替わりだったわけですね。
藤枝●そうですね。初期は「『Coa』の雰囲気でやってください」というオーダーが多かった。あとは、仕事が仕事を呼ぶ感じで、自分のスキルアップに合わせて仕事のテイストも調整していった感じです。いいタイミングだったとも思います。Macが出現して、自分たちで好き勝手にメディアを発信できるという意識が一般的になりかけいた頃でしたから。で、そのうちCDジャケットをやりたくなって、だったら自前でレーベル作ればジャケットもできるじゃん……と思って「Coa Records」を発足したんです。
藤枝●もちろんそれもありますが、純粋にデスクトップにあるものをそのまま入稿したら雑誌が作れるという新鮮さが当時はあった。Macと出会ったとき、最初に思ったのも「これで雑誌が作れる」ということでしたから。でも、当初は印刷所に行って、怒られながらやってましたね。現場の担当者に「こんなんじゃダメだよ!」って(笑)。
??入稿の指定とか?
藤枝●フルDTPで入稿すること自体にまったく経験値がなく、すべてぶっつけ本番(笑)。当初は心の中で「これだったら版下作ったほうが、もしかしたら時間的にも早いし、思い通りのデザインになるんじゃないか」とか思ってましたから(笑)。何度も印刷所を行き来して、最後は印刷所のマシンを借りて、文句言われながら入稿形態にしてました。「時間換算で使用料とるよ」って(笑)。でも、それ以前は、商業誌に見劣りしない見栄えの雑誌を個人レベルで一冊丸々作って流通させるということ自体、難しかったじゃないですか。それを自分たちで自由にできるというのは革命的なことだったんですけどね……。今はDTPなんて当り前というよりは、ちょっと時代遅れくらいの印象があるかもしれないけど。
??雑誌作りの資金は?
藤枝●徐々に、少しずつ増やしていった感じです。ページ数も最初は16ページから始めて、最終的には100ページ以上になって。周りのスタッフは僕以外、途中までボランティアだったし。でも、そのとき出会った人たちとは、いまもなにかしらで繋がっていますね。
??その一方、仕事面では営業をしたのですか?
藤枝●いや、全然してなくて……いまもそうなのですが、営業はあまり好きではないんです。でも、最初から割と大きな仕事が入っていましたね。大学の先輩ルートの大手出版社とか、逆に『Coa』の取材に来た広告代理店だったり。発注側も、そういう若者文化的な媒体を作りたいという気持ちがあったみたいで。
??いわば『Coa』が営業ツール替わりだったわけですね。
藤枝●そうですね。初期は「『Coa』の雰囲気でやってください」というオーダーが多かった。あとは、仕事が仕事を呼ぶ感じで、自分のスキルアップに合わせて仕事のテイストも調整していった感じです。いいタイミングだったとも思います。Macが出現して、自分たちで好き勝手にメディアを発信できるという意識が一般的になりかけいた頃でしたから。で、そのうちCDジャケットをやりたくなって、だったら自前でレーベル作ればジャケットもできるじゃん……と思って「Coa Records」を発足したんです。
アンダーグラウンドから、メインカルチャーまで
??ジャケット仕事を外注されるよりも、レーベルを作るほうが先だったんですか?
藤枝●ええ(笑)。1枚目は、いま一緒にスパングルをやっている写真家の笹原清明くんが在籍していたswarm's armのアルバム。僕がデザインして、イラストを友人が描いて、家内制手工場みたいなスタートでした。で、次に空気公団をリリースしたら、レーベル2枚目にして2万枚以上売れたんですね。そこで一気に資金回収できたから「どんどんやろう!」ということになって、以後、コンスタントにリリースし続けています。
??雑誌もレーベルも、最初に自分でやってしまうという行動力がありますね。
藤枝●外からの仕事を待つよりも、そっちのほうが早いですから。そういう時代のムードみたいなものをかなり早くから意識していました。
??以降、他のレコード会社やアーティストの仕事をするように?
藤枝●そうですね。CDジャケットのデザインもそうした流れにうまく乗ることができたのだと思います。レーベルの持つ匂いみたいなものを求められることから始まって、だんだん自分個人のスタイルに広げていくことができました。
??現在までの仕事歴を見ると、コンサートグッズも含めた音楽関係だけでも、あがた森魚からジョアン・ジルベルト、あるいはクラムボン、元ちとせまで……すごく多岐に渡っていますね。
藤枝●ウチのHPを見てもらえれば分かると思いますが、仕事の振れ幅は自分でもわけがわからないくらいムチャクチャ(笑)。アンダーグラウンドなものが好きな自分と、メインカルチャーなものが好きな自分が両方いて、自分の中では両端がつながっているんですけど……一見バラバラですよね(笑)。
??レーベルのほうはHARCOや残像カフェなど、一貫した雰囲気がありますよね?
藤枝●レーベルで扱うものは、基本的に自分ではできないものなんです。リスナーとしての自分はダンスミュージックやエレクトロニカ、それこそスパングルのように音響、ポストロックのように括られるジャンルが好きな側面があるのですが、そういうのは割と自分に近すぎるというか、じゃあ自分でやるかみたいになっちゃうので。たとえば空気公団のように、日本語のシティポップスみたいなものは自分では作れない。そういう考えがあって、現在のレーベル色が生まれたのだと思います。
藤枝●ええ(笑)。1枚目は、いま一緒にスパングルをやっている写真家の笹原清明くんが在籍していたswarm's armのアルバム。僕がデザインして、イラストを友人が描いて、家内制手工場みたいなスタートでした。で、次に空気公団をリリースしたら、レーベル2枚目にして2万枚以上売れたんですね。そこで一気に資金回収できたから「どんどんやろう!」ということになって、以後、コンスタントにリリースし続けています。
??雑誌もレーベルも、最初に自分でやってしまうという行動力がありますね。
藤枝●外からの仕事を待つよりも、そっちのほうが早いですから。そういう時代のムードみたいなものをかなり早くから意識していました。
??以降、他のレコード会社やアーティストの仕事をするように?
藤枝●そうですね。CDジャケットのデザインもそうした流れにうまく乗ることができたのだと思います。レーベルの持つ匂いみたいなものを求められることから始まって、だんだん自分個人のスタイルに広げていくことができました。
??現在までの仕事歴を見ると、コンサートグッズも含めた音楽関係だけでも、あがた森魚からジョアン・ジルベルト、あるいはクラムボン、元ちとせまで……すごく多岐に渡っていますね。
藤枝●ウチのHPを見てもらえれば分かると思いますが、仕事の振れ幅は自分でもわけがわからないくらいムチャクチャ(笑)。アンダーグラウンドなものが好きな自分と、メインカルチャーなものが好きな自分が両方いて、自分の中では両端がつながっているんですけど……一見バラバラですよね(笑)。
??レーベルのほうはHARCOや残像カフェなど、一貫した雰囲気がありますよね?
藤枝●レーベルで扱うものは、基本的に自分ではできないものなんです。リスナーとしての自分はダンスミュージックやエレクトロニカ、それこそスパングルのように音響、ポストロックのように括られるジャンルが好きな側面があるのですが、そういうのは割と自分に近すぎるというか、じゃあ自分でやるかみたいになっちゃうので。たとえば空気公団のように、日本語のシティポップスみたいなものは自分では作れない。そういう考えがあって、現在のレーベル色が生まれたのだと思います。


(左)3月19日にリリースされるCoa Recordsの最新作
トミーザグレイト『AFTER PARTY AT DANCE FLOOR』
(右)年末にリリースされたCoa Records所属のアーティストによるカーペンターズのカバー集
V.A.『Do you like pop music like a "he, she & I"?』
次週、第3話は「ガツガツしない姿勢」についてうかがいます。
(取材・文:増渕俊之 写真:FuGee)
(取材・文:増渕俊之 写真:FuGee)




