interview003-コスモ・インタラクティブ

――御社では現在どんな人材を求めているかをお聞かせください。

阿部　これは我々の仕事の進め方に直結してくるところなんですけれども、デザイナーはデザインだけ、ディレクターはディレクションだけやればいい……という考え方ではないんですね。デザイナーもディレクターもプロデューサーも、とにかく企画を形に落としこんでいく段階から、みんなでいっしょに考えていくプロセスを取っていきます。

そういうことから考えると「僕はデザインしかやりたくないんです」という人ではなく、とにかくいっしょになって考えるという姿勢を持つ人がほしいと思っています。

――通常、御社ではどういったチーム構成でお仕事されているのでしょうか。

阿部　数年前だと「ディレクターひとりに、デザイナー数名」といった規模の案件が比較的多かったのですが、その規模でやる案件はだんだん減って来ていますね。最近はプロジェクトマネージャーを上に立てて、5人から10人程度の規模で、ある程度の期間をかけてやる仕事が多くなってきています。

――実際にチームの人数が増えてくると分業的体制にはなりませんか？

阿部　ただ単に縦割りで仕事をしていると、それぞれのメンバーが物を考えなくなってくると思うんですよ。もちろん個々の担当する部分については考えるでしょうが、たとえば「どういうクリエイティブがいいのか」ということをクライアントのビジネスに直結するところまで、チームのみんなに考えてほしいと僕は思っています。そうすると最終的にはクライアントの期待値を確実に越えるクオリティのものができると思うんです。

――そう考えていくと、どんなタイプの人材が望ましいと考えますか？

阿部　我々は“のりしろ”の部分が大事だと思っています。自分の与えられた役職プラス、周りに対しての“のりしろ”をどれだけ取れるか。助け合いの精神、困ったときにお互いにフォローし合える姿勢、それがすごく大事だと思うんです。

――Web業界全体の現状を見ると、今後はどんな人材が必要になるのでしょう？

阿部　現在の業界の状態としては、できる人のところに仕事が集中してしまっていて、大変な人だけ大変な状況がずっと続いている、そんな状態が数年前から変わっていないと思います。やはりそれをきちんと打開していかないといけないと思います。

業界全体の底上げ――人をきちんと育てていくということを考えていかなくてはいけない時期なのかなと。ひとつの会社だけの問題じゃないと思うんですよね。弊社が「RIAコンソーシアム」に参加したりしているのも、そういったことが背景にあります。

また、個人的には「WebSig24/7」という任意団体の運営にも参加していまして、基本的にボランティアなんですが、いろんなセミナーや勉強会などを業界の底上げになれば、という気持ちでやっています。会社のノウハウを出し惜しみするのではなく、どんどん外に出し合って、いろんなことを共有していくことが大事だと思うんですよ。

スタッフにも外との接点を持ってほしいので「どんどん外に出て行け、色々な人たちと交流しろ」といつも言っています。去年ラスベガスで行われた「Adobe MAX 2006」にもスタッフを二人行かせましたけど、帰ってきた彼らが成長しているのを感じますね。ああいった場を今、20代のうちに経験できるかできないかで、今後は大きく変わってくるんじゃないかなと思います。

――その一方で、社内の勉強会も活発と伺いました。

阿部　そうですね、現場主導でいくつかアクティビティをやっています。大きく分けて4つありまして……IA＆マークアップ、Flash、デザイン、そしてプロジェクトマネジメント＆プロデュース。自分の現在の職務とはまったく関係なく、誰でも希望すればいろんなアクティビティに出られるようになっています。

――すごくオープンな社風ですね。

阿部　社内全体がオープンでフラットなんですよ。誰もが垣根なく発言できる雰囲気だと思います。極端な話、いつでもコスモ・インタラクティブから出て行って、ほかの会社や異なる業種を経験してもいいと、僕は言ってるんです。そのほうが刺激もあるし、人生の経験値も上がると思いますし。それでもやっぱりうちがいいということであれば、いつでも戻ってくればいい。……そうは言っても、みんな出て行かないですけどね（笑）。

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