第3話 強いもの、新しいものを、Webの方法論でやる | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

第3話 強いもの、新しいものを、Webの方法論でやる

2024.5.9 THU

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タイトル画像、第11回Webプロデューサー列伝 中村博久

数々のインタラクティブアワードを受賞し、インタラクティブな領域のみならず様々なプロジェクトでその方法論を提示するクリエイティブユニットprojector。その(株)projectorの代表である田中耕一郎氏に話を伺った。

第3話 強いもの、新しいものを、Webの方法論でやる


——ユニクロのMIX PLAYが出来た経緯は?

田中●去年からユニクロは、UNIQLO MIXというキャンペーンを行なっています。アイテム単体ではなく、コーディネイト的視点、ファッッション敵視点での訴求を目的としたキャンペーンですね。で、そのキャンペーンと合わせて、それまでユニクロはストアサイトしかなかったのですが、いろいろなプロモーション活動のハブとなるような、なおかつコーディネート情報のハブとなるようなサイトを立ち上げようということで、UNIQLO MIXというサイトを立ち上げました。










UNIQLO MIXのサイト
僕は、その全体のプロデュースをさせていただいているのですが、サイトを運営していく中で、コーディネートの訴求だけでなく、ネット上のユーザー体験として、より強いもの新しいものをマスの置き換えではなく、Webの方法論においてやることで、ユニクロをWebから新しくしていきたい。そういった思いをユニクロ担当者をはじめとしたWebチーム全体が持ち始めたんですね。

その気持ちというか想いを形にしたのが、MIX PLAYです。MIX=コーディネイトと捉えるのではなくて、PLAYという視点を加えることで、コーディネイト体験をよりPLAYFULな体験にしていく。その体験が、UNIQLO MIXサイトだけじゃなく、CGMメディア上で伝播していくという枠組みを設定しました。そこから、ユニクロを身に纏った肉体表現をミックスするアソビ、つまり、UNIQLO MIXPLAYというコンセプトを考えたんです。





上:6月15日にスタートした「UNIQLOCK」のサイト。時間がリアルタイムに表示される


一回目はアニメーションダンスというモチーフで音とダンスをミックスできる切り口でやりました。今、第2弾にあたるプロジェクトを動かしていてそれは6月15日に立ち上がります。「UNIQLOCK」というのですが(笑)。音楽×ダンス×時計がコンセプトです。まず、「UNIQLOCK」というコトバを思いついた時に、モダンかつ普遍的な合理性を志向しているユニクロのあり方が、時計というメディアとフィットすると直感的に感じて、これを、なんとか形にできないかと思いました。そこで、時計、つまり、時を表現するツールを、時を表現する音楽、時を表現するダンスと融合することで、ユニクロ的な新しい時計表現、時計ツールが世界的に広がっていくような仕組みをユ二クロと一緒に考えました。

ファンタスティックプラスティックマシーンに、時報をテーマに、秒のリズムでつながるCLOCK MUSICを作ってもらい、秒のリズムに合わせて踊るCLOCK DANCEを、ユニクロの服を着たダンサーに踊ってもらう。CLOCK MUSICに合わせたCLOCK DANCE映像と時計が交互に、延々と表示されていく映像時計です。これはブログパーツとしてもリリースします。

表示される時刻は、サーバーの時間をとっているので、ユーザーが設定した国や都市の時間が表示される。世界中の人が、自分のブログで、ローカル時間が表示されたUNIQLOCKを設置できる。全体的な解釈をすればひとつの時計表現ですが、広告的な視点で考えると、24時間流れっぱなしの環境化された広告になります。UNIQLOCKは、一部店舗でも流す予定です。ブログパーツには、アラームやコメントの設定機能もついています。

UNIQLOCKは、コミュニケーションのアイデアなので、映像でもあり、時計でもあり、音楽でもあり、ダンスのジャンルでもあり、広告装置でもあり、そして、コミュニケーションツールでもある、と考えています。こういう感じで、規定の枠組みの中で表現をするのではなく、何か根本的なやり方を考えていくというのを自分の個性にしていきたいなと思います。

——ブログパーツという手法はどのように考えていますか?

田中●ブログパーツというよりも、ブログというメディアのことはすごく気になってますね。やはり広告コミュニケーションにおいてユーザーの声をどう取り込んでいくかということは、ネット云々の話ではなくて広告の中で最も重要な課題になりはじめていると思うんです。いわゆるCGMメディアというものを、どういう風に広告コミュニケーションの中にどのように取り込んでいくか。その中でブログメディアというのは、最も大きな土壌ですよね。

そこで革新的なことをできないかというのは、ここ一年くらいはいつも企画の時に考えます。方法論はいくつもあると思うのですが、一つの方法論としてブログパーツというブログ上に貼付けるメディアというものを、ユーザーに自ら貼付けてもらうことがやり方としてあると考えました。ブログパーツをいろいろ見たうえで、本当に革新的なブログパーツというのを僕は見たことなかったし、表現として強いものも、まだ出て来てない実感がありました。だから、なにかブログパーツで革新的なものはできないかな?とずっと思っていました。


次回に続く

(取材:服部全宏(GO PUBLIC) 編集:蜂賀亨  撮影:谷本夏)


[プロフィール]
たなか・こういちろう●(株)projector代表/クリエイティブディレクター

projectorは、田中耕一郎、河村大馬によるクリエイティブユニット。
広告、Web 、映像、インスタレーション、プロダクト、イベント、事業など様々なプロジェクトを手掛けている。
カンヌ金、ONESHOW金/銀/メリット/ファイナリスト、TIAAグランプリ/金4など受賞多数。
www.projector.jp

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