第2話 Webにおけるビジネスモデルについて | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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タイトル画像、第11回Webプロデューサー列伝 中村博久

ECサイト構築ソフト「Zen Cart」などオープンソースソフトウェアによるソリューションの提供、また、今年の春には「Twitter」のマッシュアップサービスである「ecoったー」「necoったー」サービスを開始するなど、新しい技術をWebサイトに積極的に取り入れてデベロップするWeb制作会社アークウェブ。今回はアークウェブのCMO(最高営業責任者)/Webプロデューサーである、中野 宗氏に、最新のWeb情報、Web2.0などについて話を伺った。

第2話 Webにおけるビジネスモデルについて


Web2.0以降でも、アメリカにはまだまだ面白いことがたくさんある



——中野さんが個人としてWebが面白いと思った経験など教えてください

中野●僕はWebでものを買うのが大好きなんですが、はじめてWebを使って感動したのは、やはりネットショッピングですかね。日本ではセレクトショップでしか買えず、しかも品揃えが少ないようなあこがれのブランドが、インターネットで検索してみたら、日本にいながらアメリカのショップから直接購入できることがわかったときの驚き。つたないながらも英語でメールを送ると、丁寧なメールがすぐ返ってきて。ああ、なんか簡単に海超えられるんだなって(笑)、そういったユーザー体験がひとつ。あと、僕は97年〜98年頃に海外ドラマのファンサイトをやっていまして。海外ドラマというのは、日本では向こうでの放映が終わってからビデオやDVDになりますが、リアルタイムの情報は、海外の個人サイトを読み込めば得られますよね。僕はそのドラマが大好きだったので、そういったサイトをがんがん見て、向こうのファンたちとも交流をしていました。また、当時はBlogという言葉はなかったのですが、時系列で記事を並べる形式がJournalと呼ばれていて、英語圏の多くのサイトはすでにJournal形式でした。よく理由はわからないけどその方が合理的なんだろうと思って、同じ形式で情報サイトを作っていたりしました。その後でBlogger.comなどが立ち上がって、ご存知のBlogブームが来るわけですが。

——現在の北米でのWebの状況はどうなのでしょうか?

中野●最近では少し沈静化した感じもありますけど、Web2.0以降といったらいいでしょうか、2004年から2005年以降、Web上には面白いサービスがまだまだたくさん出てきている状態ですよね。このサービスがないとWebが不便だというようなサービスもたくさんあり、事実ソーシャル系サービスは確固たるトラフィック基盤を持っていますし。また、相対的にみて、日本よりも北米にまだまだ面白いことがたくさんあると思っています。単純に、なにもないところから新しいものをつくり出す人、あるいはあるものを改良することか得意な人という分け方をしたら、北米の人は前者、日本人は後者ってことになると思うのですね。ですから、とんでもないアイデアなどを考え出すのは、多くが北米の人たちであって、日本人はそれをつなぎ合わせたり、洗練させたりするのが得意なのかもしれないですね。そういった状況はここ最近でも変わっていないと思います。僕個人としては、そういった北米の面白いものを日本に持ってきたらこうするべきだろうとか、それを企業サイトで使えば、ユーザーとのコミュニケーションをより深めることができるんじゃないかというようなアイデアが次々と涌いてくるのですが、そのような提案をすることができるということが僕の強みですし、やはりうちならではの仕事なのではないでしょうか。

——なぜ北米の情報に注目されるのですか?

中野●客観的に見ると、僕はネットユーザーとしてとてもわがままなんです。そして飽きっぽい。新しくて面白いものを早く使いたい、面白いものはとことん使い込んでみたいといったモチベーションがあって、それで得られるものを、あわよくばお客さんにも還元したいと思っています。なので、結果としては新しくて、面白いものが多いと思える北米に目が向いてしまいますね。

——そういった新しい情報はどこから入手するのでしょうか?

中野●やはり英語圏のブログとか、Diggのようなソーシャルニュース系サイトとかで話題になっているものを見たりしていますね。最近ではTwitterがトリガーになることも多いです。昔はニュースサイトをよくチェックしていましたが、最近ではそういうのをブロガーたちがうまくフィルターして情報源になってくれているので、最初からニュースサイトを見にいくことは少なくなりましたね。


Web単体で収益をあげる必要は必ずしもない



——中野さんが考えるWebとビジネスモデルの関係についてお聞きしたいのですが

中野●企業のビジネスゴールから見れば、必ずしもWeb単体での収益にこだわる必要はないでしょう、他のメディアから誘導してきてWebで詳細情報を見せて説得するとか、逆にWeb発でその他のメディアに誘導するとかいうように、全体のなかで収益プランが描ければいいわけであって。Webサービスだけで一旗あげようとしているベンチャーなどを別として、Web単体で収益を上げたいと考える企業ってあまりないと思うのですね。

Web系ベンチャーについて言えば、北米の例をみても、かなりいろいろやっては失敗の繰り返しのようですし。顧客に対して、ゼロから革新的なビジネスモデルを考えました、という提案をすることもあまりないです。それより、サービスを提案させていただく際に留意していることは、その会社ならではの特徴を見つけて、それを新しいことと結びつけることでビジネスゴールに到達するプランを描くということですね。尖ったサービスをエンドユーザーに提供することで、ユーザー登録をたくさんしてもらい、ユーザーベースを集める。あるいはトラフィックを集めて、ブランド力を上げることに還元する。そういったことを通じて、ビジネスゴールを達成するための一部分でも担えればいいのかなと思います。

——個人や少人数でWebビジネスが成功しているケースというのはあるのでしょうか?

中野●出発点が個人やスモール企業だった、という例はたくさんありますね。例えばオンラインのプロジェクト管理ソフトなどを提供している37signals。フリー版だと制限があり、有料版だと機能制限がないサービスを提供していますね。あと僕自身もヘビーユーザーですが、写真共有サービスのFlickrの例。ユーザーピラミッドを描くと、ボトム部分には無料ユーザーがいますが、使っているうちにどんどん要求が上がって、やがて有料版に移行していくというモデル。Web単体で収益を上げるということになると、よく言われている広告モデル以外では、サービスに課金をしていくというのが定石だと思いますね。でも、そのためには、かなりのユーザー数とトラフィックを集めないと難しいですよね。


(次回第3話「Web.2.0以降の話」は8月22日公開予定です)


(取材:蜂賀亨  撮影 谷本夏)






中野宗(なかのはじめ)

株式会社アークウェブの取締役副社長/CMO(最高営業責任者)。Webプロデューサー。

オープンソースのECサイト構築ソフトウェアの日本語化プロジェクトである「Zen-Cart.JP」の立ち上げ、Web制作者コミュニティ「WebSig24/7(WebSig 24/7)」のモデレーター、Web屋の“楽しい”社会貢献を志す「WebSigエコ&ピース」代表などを務める。最近ではTwitterのマッシュアップサービス「ecoったー」「necoったー」(いずれも自社サービス)の企画など、Webの新しいことにのめりこむ毎日

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