注目企業のブランドデザインに迫る
第1回:iida(KDDI株式会社)
引き続き、KDDIが展開する携帯電話ブランドiidaに注目。
第2話ではユニークなプロダクトデザインがいかに生まれたかに迫る。
第2話
機能よりもプロダクトデザイン優先
──昨年4月にリリースされたのが「G9」、そして「misora」「PLY」「PRISMOID」が続き、2月の「lotta」。一年弱の間に早いペースでのリリースが続いています。
●初年度ということもあり、まずは続けてリリースしていくことで、iidaの認知度確保をはかろう考えました。
通常、携帯電話を開発するときには、デザインの前にスペックを決めるのですが、iidaの場合はそこが逆なのが特徴です。まずはデザインとターゲットサイズを決めて、そのサイズ内でターゲットに合った機能をセレクトしておさめていきます。

昨年4月にリリースされた最初のモデル「G9」。プロダクトデザインは岩崎一郎
──なぜそういった手順がとられるのでしょうか。
●まずデザイナーさんと一緒に端末をデザインすることからはじめるからです。ですので、場合によっては、カメラの画素数が2メガであったり、液晶のサイズが2.8インチと小ぶりであったりと、スペック的には最先端ではないこともあります。しかし、そこはデザインや手にしたときの心地良さと、機能性とのバランスが重要です。またプロダクトとして際だった意匠があるだけではなく、いずれのプロダクトにもストーリーがあることも大事にしています。
──深澤直人氏をはじめ、ベテランから新進まで実力派のプロダクトデザイナーを起用されていますね。
●深澤さんや岩崎一郎さんは、以前au design projectをやっていた頃からのお付き合いです。新たなデザイナーさんとしては、PLYをお願いした神原秀夫さん。それに、特にライフスタイルプロダクトに関しては、20代の本当に若い方やデザイナーの卵である学生さんたちとまで、幅広くお仕事をさせていただいています。

深澤直人が「未来的な未来」をテーマにデザインした「PRISMOID」。角を落とした特徴的な形を優先したため、液晶のサイズは2.7インチと小さめ。機能性を優先するのではなく、ターゲットにあった形と機能のグッドバランスを追求している
──積極的に若手を起用する理由を教えてください。
●若手の方々には、常識を覆すような大胆な発想を期待しています。iidaには「what's iida」という4か条があるのですが、そのうちのひとつにも「常識や慣習にしばられた商品を作りません」とあります。そういった意味でも、ベテランと若手の発想を融合する中で、新しい感性を見出せたらと考えています。
──こ常識をくつがえしたというと、どういった部分が上げられるでしょうか。
●たとえば積層構造のPLY(写真)。通常、携帯電話は上パーツ、下パーツからなるのですが、PLYは積層ごとに全部パーツが異なります。それをひとつひとつメーカーさんに組み上げていただいて、しかも、ひとつひとつ色を変えています。これは、通常コスト的に実現が困難ですが、なぜそれが実現できたかというと、ハードウェアはデザイナーさんと新規開発していても、ソフトウェアに関しては既存のau端末と共通するものを流用できたからです。このあたりの事情は、iidaの端末すべてに当てはまります。

積層構造が特徴的な「PLY」をデザインしたのは神原秀夫。これだけ手間ひまをかけながらコストをおさえられるのは、KDDIが有するソフトウェアの資産をiidaでも活用しているため
──ほかにも何か常識をくつがえすような部分は?
●PRISMOIDの側面にあるサブ液晶もそうですね。これは深澤直人さんからの強い希望です。メールを受信した際に表面のサブ液晶が光ると、メール受信を周囲に知られてしまう。それはプライバシー的に好ましくない、といった発想から生まれました。
ほかだと、世界的な前衛芸術家である草間彌生さんとともに開発した携帯電話。このときは、大半のお客様は、数量限定の草間さんの作品を購入するという意識でいらしたと思います。100万円の端末が次々に売れましたからね。この芸術家コラボレーションモデルは第2弾を企画中です。(取材:立古和智)



「Art Editions」最初のプロダクトは草間彌生とのコラボレーションにより実現。草間らしいドットが全面に使用された3機種は大変高価ながら草間ファンに熱烈に受け入れられた
第3話では「CM以上に重視されたWebサイト」をお送りします。



