また、ジョインベスト証券のサイトでは、インターフェイスに関しても十分に配慮し、ユーザーフレンドリーであることを最優先としている。

多くのオンライン証券サイトでは、目的のページへ最短の経路で到達できるように、TOPページ上ですべてのコンテンツに対するリンクが張られている。一見、合理的なデザインにも思えるが、前述の「わかりにくさ」を助長しかねないという問題がある。初心者ユーザーを対象とした場合はメニュー項目を絞り込み、最小限の情報を効率よく見せるようにしたほうが、むしろ効果的といえるだろう【図2】。

Flash Videoによる女性の動画とアニメーションを組み合わせた「PIP」（Person in Presentation）による口座開設のナビゲーションを採用したのも、音声や動きによって情報を伝えることで文字コンテンツを極力絞り込む狙いがある【図3】。

実際に、PIPを利用したユーザーのコンバージョンは、通常のHTMLページと比較して1.5倍以上の数値をマークしている。これまでのオンライン証券サイトにないフレンドリーさを演出できただけでなく、テンポよく登録作業を進められるようになった効果も大きいだろう。

予算を投下して確保したトラフィックを最大限コンバージョンに結びつけるためには、ユーザーの負担を最低限に抑え、細かく離脱の芽を摘み取っていくことも重要となる。サイト上で専門的な用語を極力使用しないようにするのはもちろん、フォームに入力するデータに応じてIMEのモードを自動的に切り替えるなどの見えない部分のサポートも注意したポイントだ。

たとえば、他社のサイトでは、フォームに入力されたデータの形式（全角／半角文字など）が異なるとエラーとなるが、入力時にエラーがあると、その場でエラーメッセージによるフォローを行うことで、入力データの揺らぎに対応している。これは、フォーム入力時のログデータを採取して分析したところ、データ形式の違いによるエラーが表示されただけで離脱してしまうユーザーが多かったことから採用された対応策だ。

また、あまりの手続きの多さからユーザーが入力作業を投げ出してしまわないよう、登録作業が終わったステップは視覚的にわかるように配慮している。

もちろん、実際の口座開設にあたってPIPを採用し、徹底してわかりやすさを追求はオンラインだけで完結せず、申込書の記入が必要となるが、署名と捺印だけで手続きが完了するよう、住所なども印刷した状態で送付する。結果として、口座開設の手続きを開始したユーザーが最終的に離脱する割合は少ない。

とはいえ、オンライン証券にとって口座を開設させることが最終的なコンバージョンではない。証券会社の利益は、株取引の手数料などによって発生するため、実際にトレードが行われなければ意味がない。特に初心者の場合、「トレードの方法がわからない」「どの株を買っていいのかわからない」という状況に陥ることが多く、さらなる情報提供が必要となる。

ジョインベスト証券のサイトに、ユーザーの性別や星座による人気銘柄ランキングなどといったお遊び風なコンテンツが組み込まれているのも、銘柄との出会いをコンテンツを通じて演出すべく組み込まれたものだ【図4】。PIPを利用した取引画面の操作説明など、ユーザーを取り込んだあとのコンテンツに注意を払っている点も特徴といえる。