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第3回 コンバージョンレートを上げるためのサイト戦略(4)


ユーザーの意表を突いたプロモーションが効果を発揮する


トラフィックを稼げるバナー広告とは


プロモーションの一環として、このところ注目されているのが、ユニークなバナー広告を掲載することで、ユーザーの注目を集めるというものだ。

たとえば、大手の某求人情報会社が出稿しているバナー広告には、「求人」や「アルバイト」という言葉が一切使用されておらず、「夏休みにヒマじゃありませんか?」といった、抽象的なフレーズが採用されている。

このような手法は、サービスの強みをダイレクトにアピールするバナー広告と比較して、ユーザーへのアピールが弱いと考えるのが通常だが、ユーザーの好奇心を刺激するものであれば、クリックレートは良好だという。バナー広告の謎めいたキャッチフレーズと意表を突いた商品とのギャップが、「発見」や「驚き」といった要素を生み出すわけだ。

また、掲載先サイトのコンテンツの一部に見えるような、一見して広告とはわからないようなバナーを差し込むことで、クリック率の向上を狙うケースも見られる。こうした流れは、ネットユーザーのリテラシーが向上したことで、バナー広告に対する目が肥え、ありきたりのものではクリックしてもらえなくなったということが背景としてある。

もちろん、ただバナー広告を出稿するだけではなく、ランディングページとして、商品やサービスをしっかりと解説するコンテンツを用意しておくことが必要だ。そうすることで、種明かしをしながらユーザーを取り込んでいくことができるのだ。

ジョインベスト証券でもこのような取り組みを行っており、これまでまったく株取引に興味がなかったユーザー層を開拓していくために、コミュニケーションの仕方を工夫することで、プロモーションを成功に導いている。

とはいえ、どういったプロモーションが効果を発揮するかは、企業が取り扱う商材やサービスによってもまったく異なる。与えられた予算を最大限に活用しながらプロモーションの効果を測定し、フィードバックできるかどうか、担当者の手腕が問われるポイントだろう。

コンバージョン獲得にかかわるふたつの要素


また、証券会社に限らず、銀行などの金融機関のWebサイトでは、 キャッシュバックやアフィリエイトが積極的に活用されている。ジョインベスト証券でも、新規開設した口座に5万円を入金すると、5,000円をバックするというキャンペーンを行ったところ、その成果は大きかったという。

一般的にユーザーをコンバージョンに結びつける要素は、「ユーザー自身のモチベーション」「インセンティブの設定」の2点に集約される。キャッシュバックは、最後にユーザーの背中を押す原動力になり得るが、収益の点ではマイナスとなるため、使いどころには十分な注意が必要となる。


果実は「仮説」と「検証」によってのみ得られる


「計画倒れ」にならないサイトを目指すことが重要


連載を締めくくる今回は、証券業のWebサイトプロデュースをもっとも得意とする当社が、事業戦略やコンセプトづくりの段階から携わってきたジョインベスト証券の例を紹介してきた。

物流などのバックヤード部分を抱えたECなどと異なり、すべてのサービスがネット上で完結している点や、サービスの性質上、プロモーションにおいて「口座の開設」と「取引の成立」といった2種類のコンバージョンを考慮する必要があるといった特殊性はあるが、基本的なサイト戦略に関しては他の業種でも参考にできるのではないだろうか。

サイト運営におけるPDCAサイクルの重要性はすでに述べたとおりだが、多くの企業では「Do」(実行プロセス)の段階で計画倒れしており、アクセスログ解析ツールを使いこなせていないなどの問題から、続く「Check」(評価プロセス)で正常な評価ができていないケースも多い。サイトの規模や運用スキルに合わせたツールの導入こそが、コンバージョン向上のもっとも肝になる部分だと考えてもよいだろう。

PDCAサイクルの基本は、トライ&エラーでさまざまな仮説を検証しながら、もっとも効率のよい施策を探し出していくことにある。失敗を恐れずに斬新な仮説を立てていくことが、結果としてクオリティの高いサイトを生み出すことになるのだ。


―了―


※取材協力
ジョインベスト証券(株)
Web編集室長 小川尚志 氏
Web編集室アシスタント・マネージャー 篠浦憲一 氏、竹澤麻衣子 氏
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