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1年生デザイナーの1週間



1年生になったら~ 1年生になったら~♪  ということで、デザイナーという職業に憧れる読者のみなさんに先駆けて、一足早くデザイナーになった先輩デザイナーの1週間を追いかけるのが、このコーナーです。夢を現実にした新人デザイナーの仕事と生活ぶりは実際どのような感じなのでしょうか? 毎月第3週に、その曜日の出来事を毎日更新でお届けします!


今月の1年生デザイナー

川瀬亜美さん(中垣デザイン事務所)

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火曜。デザイン、ときどき開講準備。


11:00 出社

雨でなければ、いつもは自転車通勤です。だいたい30分弱で到着するので、ちょうど良い運動になります。愛車はこれ!


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▲お気に入りの自転車


出社後、すぐにメールチェックなどを行います。『月刊プロパティマネジメント』の記事に挿入する図表についてオーダーが来ていたので、すぐに作業を開始。通常はエクセルなどのデータでこちらに届く事が多いため、それを見やすく仕上げていきます。


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▲今日は曇り、会社の窓から見える高層ビル街


12:30 『月刊プロパティマネジメント』図表作成完了

図表の作成完了。記事のデザインを担当している先輩に渡します。ひとつの雑誌をふたりのデザイナーで担当するのが、うちの事務所のいつものやり方です。自分の担当ページに挿入しなくてはいけない図表作成が出てきたら、もうひとりの担当にお願いして作ってもらう。ですから、図表だけを担当する人はいません。そうすることによって、一人ひとりが自分のスキルを磨きながら、さまざまなことができるようになる……ということなのかな? 自分の担当する責任範囲がとても明確なので、とても仕事がしやすいと感じています。


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▲『月刊プロパティマネジメント』は(中垣)呉さん(左)と私(右)で担当しています


12:40 『月刊プロパティマネジメント』ページデザイン

さて、図表作成が終わったので、自分の記事デザインの続きを行います。連載ページではなく、新規の企画ページをデザインする時はどうも時間がかかってしまいます。ページ数は4ページとさほど多くはないのですが、手書きのラフなどは一切来ないため、情報の構造を汲み取るのを怠ると、後々デザイン上の問題が起こって二度手間になってしまうのです。写真、図表、文章のバランスを見極めながら作業を進めます。



13:50 お昼ごはんのはずが……

ごはんに誘われるも行けずじまい。写真の配置に行き詰まっています。過去のバックナンバーを何度も見ながら、ヒントを探す。メリハリをつけて見やすく配置して行きたいのですが、これがなかなか難しいのです。図版や写真などを「かためる」の法則を意識しつつ、作業していきます。



14:00 打ち合わせ

慶応義塾大学出版会さんとの打ち合わせに入ります。新しく担当となった編集者さんとご挨拶をかわします。以前、社長が装丁を担当したエッセイが著者側からたいへん好評だったため、そのテイストで同じ著者の方が書かれた「学術書も装丁してほしい」とのリクエストが来ているとのお話をいただく。それに対して、エッセイと学術書は内容がまったく違うため、同じ装丁にしてしまうと、書店で認識されず良い結果は生まれない——というのが社長の意見でした。一連の説得を聞いて、編集者の方々には納得していただいた様子。



このようにデザインの意図を言語化していくことの重要性を痛感します。デザインの技術を磨くだけではなく、そのデザインがどのように機能するかをきちんと周囲に語れないといけません。日々リアリティを持って、デザインを自分のものにしていかなくては……と社長の横で話を聞きながら、自分に言い聞かせます。



15:30 先輩チェック

朝から取り組んでいる企画記事デザインに行き詰まったので、一度出力して先輩にチェックをしてもらいました。余計な装飾をとる指示、そして情報を分離させることを指示されます。過去にやった他の雑誌なども参考に見せてもらいながら、アドバイスも。写真の抑揚を出していきたい。 つくっていると、作り手の気持ち、意図をなぞれるようになってきます。ある種の法則が読み取れるようになるので、写真、図版、文章の混沌から、注意してそれを汲み取れるようにしたい。 最終的には先輩の2回のチェックを経てフィニッシュすることができました。テキストからの情報を構造で分けていくことは、デザイナーの一番大事な仕事なのかもしれません。


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▲弊社が以前、デザインを担当していた『美術手帖』。デザインに行き詰まると、本棚からさまざまな雑誌を参考にします


17:00 巻頭ページデザイン

次の仕事は、引き続き『月刊プロパティマネジメント』の巻頭ニュースページのデザイン。先方に記事の構成を確認します。このニュースページはニュース記事一つひとつが別の担当者さんから別々に送られてくるため、全体の状況をこちらでいったん把握してからデザインする必要があります。こうやって密にクライアントとコミュニケーションをとるのは大事なことですね。中には極端に図版の多い記事もあるので、その図版とキャプションをムリなく組み合わせて行きます。ちょっとパズルのような感覚。


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▲夜を迎えた高層ビル街。私のデスクは窓に面しているので、一日の時間の流れを感じることができます


坂田さんにミームデザイン学校のサイトにアップロード予定のデータをお渡しします。これは昨年度のミームデザイン学校で行われた課題をまとめたもの。人間の錯視をデザインに応用する可能性について、昨年、基礎過程の中の「錯視であそぶ」という授業でできたものです。ルビンのだまし絵ってご存知ですか? 一見、普通の壷の絵なんだけど、よく見ると横顔が向き合う絵にも見えてくるというもの。あれは本当に不思議です。

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▲ルビンの有名なだまし絵をモチーフとした課題


22:00 ひとまず完成

いくつかの記事デザインが完了したので、先方にお送りする。と同時に、ひとつ記事の素材が到着しました。これもやらなくちゃ。事務所内ではちゃくちゃくと今年度ミームデザイン学校の準備が始まっています。


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▲事務所内では着々とミームの開校準備が進んでいます


22:30 ミームデザイン学校の打ち合わせ

坂田さんと授業についての打ち合わせに入ります。特に問題もなく、スムーズに完了。初回授業は今週末にせまっています。滞りなく運営できるでしょうか。初回は特に授業以外もイベント盛りだくさんなので大変です!



23:00 退社

先ほど送られてきた記事をさっそく作り上げたので、編集部に送って帰宅の途につきます。シンプルな記事構成だと、一瞬で出来上がるような感覚があります。うちの事務所では効率が求められていて、早くデザインを仕上げることが良しとされています。いつもこうだといいのだけれど。


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▲坂田さん(左)、只野さん(右)とみんなで一緒に退社


23:30 帰宅

帰ってきてすぐに洗濯→ゴミ出しをして就寝の準備。同居人のひとりもちょうど帰ってきました。実は女3人でルームシェアをしています。みんなデザイナーで、同年代。深夜にならないと、みんな帰宅しません(笑)。渋谷まで徒歩圏内という良いロケーションです。3人でシェアすることで、色々と金銭的にも助かっています。また、帰宅後に会話する相手がいるというのも、とても良いです。



25:00 就寝

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