第6回 Phase4 クライアントに理解されやすい見積もり作成のポイント - 思考するWebディレクション | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

第6回 Phase4 クライアントに理解されやすい見積もり作成のポイント - 思考するWebディレクション

2024.5.13 MON

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Phase 4 クライアントに理解されやすい見積もり作成のポイント

見積書類で伝えたいことを
伝えきる

Webディレクターからクライアントに見積書類を提示する際に、意識してほしいことは、伝えたい情報が伝えきれているかということだ。Webサイト制作案件の見積書類は、項目名や作業名目、その単位、そして数量と金額をまとめた書類になる場合が多い。しかし、この書類は提案者(制作側)の意図とは関係なく、クライアント側の解釈ひとつでひとり歩きをしてしまう可能性が往々にしてあるため、注意が必要だ。たとえばWeb制作に不慣れなクライアント側担当者が、見積書に羅列された文字と数字だけを見たときに、どのように感じるだろうか。そこからクライアント側担当者が、Webディレクターや制作側の意図を100%汲み取ることは難しい。では、Web制作に不慣れなWeb担当者にも伝わりやすい見積もりを作成するためにはどうすればよいか。ここからは制作側の意図を伝えやすくするポイントを具体的な手法として紹介していこう。

見積書の数字が
クライアントに及ぼす影響

見積もり作成におけるポイントのひとつ目は、数字の見せ方にある。数字はクライアントに与える印象や影響が大きな要素だ。本来、項目名や作業ボリュームなどとセットで伝えるべきときであっても、そのほかの文字情報を差し置いて、それだけで強く印象を与えてしまうことがある。たとえば「トップページデザイン一式/10万円」、「下層ページコーディング1ページあたり/1万円」という見積もりの場合、Webサイト制作案件に慣れた人から見れば、一目瞭然な見積もりに見えるだろう。しかし、Webサイト制作に不慣れな人からすれば「なぜ下層ページに比べて、トップページに10倍ものコストがかかるのか?」という部分が疑問として湧き上がってくるだろう。
Webサイト制作において、プロではないクライアント側の担当者が、このように疑問を感じることは当然の反応だ。これをWebディレクターがプロの立場として、どのように払拭していくのかが課題となる。ただでさえお金というデリケートな材料を、制作側の意図を含めて伝達していくことは一筋縄ではいかない【5】。

見積もりは制限の宣言

見積書類はクライアントに対して「どれだけの成果物を」、「どれだけの金額で」、「いつまでに納品する」という見込み情報を伝達するために用いられる。あえて制約をかけることによって、扱う商品や作業量が限定され、金額や納期を算出できるからこそ、見積書類はそのような仕様になっている。逆に「見積もり以上の作業は別途になる」という宣言と解釈でき、そこを的確に伝えておくことが、のちのち制作側の身を守ることにもつながるのだ。どこからどこまで、という範囲がはっきりしない見積もりでは、身を守るどころか、足をひっぱる材料にもなりかねない。

工程がイメージしやすい
見積もりを意識する

できるかぎり詳細な見積もりを出すことで、クライアントに制作側の作業における制限が伝えやすくなることは前述した通りだが、ただ項目を並べただけでは、逆効果になる場合もあるので注意してほしい。
ここでひとつテストをしてみよう。ここに2枚の写真がある【6】。どちらも居酒屋などで見かけるメニューであるが、果たしてどちらのメニューのほうが伝達力が高いだろうか。どちらも商品名と金額を伝える資料となっている。実は商品の項目名だけ並んだものは、単なる文字情報でしかなくイメージしにくかったり、逆に実際の商品と違うイメージを連想させてしまうおそれもある。これは見積もりを中心としたプレゼンテーション向けの資料作成術にも通じることだ。見積もりの前後に、見積もりそのものが伝わりやすくなるような資料、たとえばサイトマップやページコンセプトなどの資料を添付し、役割などを工夫することで、単なる書類が相手に伝わりやすいものへ変わる【7】。
Webという歴史の浅いメディアだからこそ、見積書類という昔からある基本的なフォーマットを根底から見直すことで、その伝達力は飛躍的に向上することだろう。以上のことをぜひWebディレクションの現場で導入し、実践してみてほしい。

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【5】専門用語が羅列する見積書では、数字だけがクライアントに与える印象や影響が大きなくなってしまう

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【6】どちらのメニュー(見積書)がより伝達力が高いだろうか

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【7】サイトマップやページコンセプトシートを用いて、見積書をよりわかりやすく見せる

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