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第2回 株式会社ベースメントファクトリープロダクション 施井史氏の場合
株式会社ベースメントファクトリープロダクションのWebディレクター・施井史氏の前職は、なんと役者。舞台や映画に出演するほか、CMやポスター、雑誌など、さまざまなメディアでモデルとしても活躍していた彼が、なぜWeb制作ディレクションへの道を選んだのか——。その興味深いキャリアの後ろ側には、意外な原体験が潜んでいた。
第4話 ひとりのWebディレクターとして、目指すところ
──経験不足をカバーするために、どんな風に仕事をこなしていきましたか？施井●誰にどういうことを聞いていけばいいのかを自分なりに見つけ出して、最初は社内を走り回って聞いて歩きました。システムの部署の人たちから見たら、小学生レベルの質問を何回もしてくるから、本当にうざったい存在だったと思うんですけど……。それで、徐々に“何が必要で何が必要でないのか”ということを自分で考えるようになりました。誰かに何かを怒られたりするわけではないんですけど、制作チームの現場の雰囲気を悪くしてしまったりということはありました。でも、ネットで調べればいいようなことも、会社の人たちはていねいに教えてくれました。今にして思えば、自分で前もって勉強したことは全くと言っていいほど、ほとんど役に立ちませんでしたね。現場に入って、“こんなこともできるのか”と驚く毎日でした。だからこそ自分で調べたり、試してみたりして解決しようとする努力が必要なんだということを痛感し、学んだような気がします。たとえば弊社ではPIP（Person in Presentation）の素材撮影から手掛けるので、Flashのことだけわかっていればいい、という訳ではなかったり……自分自身の頭で深く考えなくてはいけないことや体験して初めて知り得ることがたくさんありましたね。
──PIPの撮影では、施井さんが役者として参加した映画制作の経験も活かせたんじゃないでしょうか。
施井●そうですね。それは直接的ではなくてもけっこう大きいかもしれません。写真についても同じで、モデル時代の経験も活きていると思います。……そう考えると、過去の経験で活かせないものはないかもしれませんね。。ディレクターというのは人との関わりが重要なので、さまざまな経験をフル活用してさらに自分を高めながら、いろんなスタッフとコミュニケーションを取っていく必要がある職種だなと感じますね。社内のディレクター同士で集まったときによく話すんです。「僕らはヒューマンスキルを求められているよね」と……。
──なるほど。システムエンジニアやデザイナーとは違う、「ディレクター」という職種をよく表している気がします。
施井●会社では「俯瞰して物事を見なさい」と、よく言われるんですけど、それがWebディレクターにとっては特に必要なことだなと思います。全体のスケジュール、進行管理、どういうものを作る必要があるのか……。「どういうサイトにするか」としっかりと判断するために自分の中に芯を持つ必要があると思います。
──Webディレクターは縁の下の力持ち。モデルや役者のような表舞台に立つような立場とは随分勝手が違うと思いますが……？
施井●そうですね……でも、映画もみんなで作り上げるものですし、何かを作り上げるという意味では、実は似てる部分は多いかもしれませんね。
──仕事をしていて、充実感を感じるときはどんなときでしょうか。施井●やはりユーザーの反応が良く、「期待以上だった」「予想を大きく上回った」等、クライアントさんから喜びの声を聞くときですね。「あの8時間に及んだ社内ミーティングは無駄ではなかった……」なんて思ったりして（笑）。
──今後の目標を教えてください。
施井●とにかく、多くの人に喜ばれる質の高い作品をクリエイターをはじめとする多くの人達と共に生み出していきたいと思います。又、その過程で、「施井くんのディレクションはよかったよ」「仕事がやりやすかったよ」と言われるようになりたいですね。
──これからWeb業界を目指す方へ、メッセージをいただけますか。
施井●Web業界はまだまだ新しく歴史も浅い分、多くの可能性を秘めた世界だと思います。チャレンジ精神旺盛な人はとにかく飛び込んでみてはどうでしょうか。まだまだチャンスも多く、自分のアイディアが世界を席巻するかもしれません。そしてとにかく失敗を恐れず、やることが大切だと思います。
──ありがとうございました。
（取材・文：草野恵子 撮影：栗栖誠紀）
株式会社ベースメントファクトリープロダクション
http://www.bfp.co.jp/
1997年に設立。現在ではクリエイティブを要する様々な分野で幅広く活動している。メインであるWeb制作においてはプロジェクトマネジメントからグラフィックデザイン、モーションデザイン、音源制作も含めたサウンドプロデュースの他、Webアプリケーション開発やネットワークサーバ構築などのシステム開発に至るまで、全てにおいて対応できる環境を自社グループ内で整えている。
今回で施井史さんの記事は終了です。次回をお楽しみに！
