第4話 「0」と「1」じゃないのが、広告の世界 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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成功を勝ち取れ!異業種からの挑戦

第3回 株式会社ラナデザインアソシエイツ 児玉温子氏の場合


株式会社ラナデザインアソシエイツのFlashクリエイター・リーダーの児玉温子氏は、もともとシステムエンジニアの出身だ。折しも2000年問題が懸念されていた時期に、金融機関のシステムを手がける会社で対応に追われていたという。その後「よりインタラクティブな制作をしたい」という思いにかられ、転職を決意。一見、おっとりとした雰囲気の彼女だが、仕事の話を伺っていると、かなりハードな環境を乗り越えてきた様子。彼女のパワーの源はどこにあるのか──。

第4話 「0」と「1」じゃないのが、広告の世界

──現在のお仕事の内容について教えてください。
児玉●主にFlashのコーディングとテクニカルディレクターとマネージメントを行っています。現在、社内の体制は分業制をとっています。社内にはFlashメインで業務をしているFlashクリエイター以外に、デザイナーでFlashを制作するスタッフもいます。

──最近、特に印象に残ったお仕事がありましたら、教えてください。
児玉●そうですね……今年の前半にSBIカードのキャンペーンのお仕事をさせていただきました。「Google Earth」を使って「ミステリーサークルを探せ!」という企画です。「Google Earth」は、さほど広く浸透していなかったので、日本で初めてのキャンペーンでの使用ということになりました。テレビで紹介していただいたり、誌面などでも取り上げていただき、大変反響がありました。

それから、アートプロジェクトRTA(Resort Travel Agency)のサイトリニューアル時のFlashを制作しました。RTAとは“ココロのリゾート、ココロの旅を提案するプロジェクト”です。このWebサイトは、プロジェクトメンバーが毎年行っているアートイベント「トラベルコレクション」の発信を軸として、その世界観と活動内容を伝えています。地球の緯度と経度にこだわり、世界の時間軸に沿ってサイト全体を構成しています。世界時計にもなっているので、サイトの奥に入っていくにつれて海外旅行へ行きたくなるサイトですよ。

──お仕事をしている中で、喜びを感じるときはどんなときでしょうか。
児玉●サイトが立ち上がった時は本当に嬉しいですね。それから、Flashのコーディング中にバグが出ることがあるんですが、難しいバグを一つひとつ解消していくときの爽快感が、ストレス解消になります(笑)。

──数学できっちり答えが出たときの爽快感と同じような……?
児玉●そうですね(笑)。でも、数学は「0」か「1」というように必ずすべての人にとって同じ正解があるんですけれども、広告やデザインの世界ではいくつもの正解があったり、人によっては正解であるものが他の人によっては正解でない場合があるなど、そのルールのない感じにWebを始めた当時はすごく混乱しました。それから少し経ってから、ある有名なプロダクトデザイナーの方の著書で「必ず正解となるデザインの輪郭がひとつあって、モノとそのモノを取り巻く“気”のようなものがあって、互いの関係性を読み取ることができる」と述べられていたのを拝見して、自分の意識が混乱から少し安定へ、そして先へ進む準備が整ったのを覚えています。

──お仕事を進めていく上で、心がけていることを教えてください。
児玉
●他社の方や同僚含め……日頃多くの人と出会う機会が多いのですが、仕事でお会いした方々の尊敬できるところ、いいところをどんどん吸収したいと日々考えています。


──これからFlashクリエイターを目指す人におすすめの勉強法を教えてください。
児玉●Flashは、人から教わるというよりは自分で勉強するのが一番身につくと思います。特におすすめの勉強法としては、いろいろなサイトを見て、作ってみたいと思うFlashコンテンツの動きや機能をを真似して自分流で作ってみること。これは、達成感もあって良い練習方法じゃないかなと思いますね。あとはFlashの世界で有名な人のブログを読んだりするのもいいと思います。ロクナナの野中文雄さんのブログ(http://www.fumiononaka.com/)や、京都のtrick7さんのブログ(http://www.trick7.com/blog/)、AdobeのFlash担当akihiro kamijoさんのブログ(http://weblogs.macromedia.com/akamijo/)など、他にも参考になるブログがたくさんあります。マニュアルに書いてないことがたくさん書いてあるので、ブログをよくチェックしておくと、トレンドリサーチやバグの解決方法などのたくさんの情報が得ることができ、とてもためになります。

──児玉さん自身の、今後の目標を教えてください。
児玉●テクニカルディレクターとしては、広告業界の中で仕事をしていく上で、広い分野の知識と一本の深い技術の知識を持った「T」字の人間であり続けたいと思っています。それを実現するためにも、つねに情報収集と勉強を続けていかなくてはいけないですね(笑)。また、マネージメント面については、一緒にやってて楽しい、より安心できる職場を確立したいです。Flashは大規模な案件であれば、共同で1サイトを制作することもできるので、いろいろな人と組んでみたいです。また、トレンドリサーチもメンバーが多ければ多いほどたくさんの情報を取得できるので、新しいことを学ぼうとする積極的な姿勢を持ったFlashのメンバーが職場にさらに増えていくことを望んでいます。

──ありがとうございました。


(取材・文:草野恵子  撮影:栗栖誠紀)

株式会社ラナデザインアソシエイツ
http://www.ranadesign.com/
1996年に創立、インターネット黎明期から数多くのWebサイトを手がけてきたラナデザインアソシエイツ。立ち上げから運営までのトータルプロデュースを得意とし、ソニーや資生堂、ユニリーバ・ジャパンなどのブランドサイトを数多く手がけている。これまでに東京インタラクティブ・アド・アワード、The New York Festivals 、LONDON INTERNATIONAL ADVERTISING AWARDSなど数々の賞に輝く。つい先日も、同社が手がけたウォーターフォード・ウェッジウッド・ジャパンのサイトが「2007グッドデザイン賞」に選定されるという快挙を成し遂げたばかり。



今回で児玉温子さんの記事は終了です。

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