第2回 PDFスキャナー | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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クリエイターのライフハック できる人の仕事術を盗め。


第6章 須田和博のインタラクリ式ライフハック

第2回 PDFスキャナー


博報堂でWEBを中核としつつ、広告全般の企画制作をしている須田と申します。前回に引き続きまして、インタラクリ式「クリエィターのライフハック」の第2回目は、前回よりも更に具体的な「機材」のご紹介になります。私はバリバリの広告屋ですが、本稿は決して広告のための商品紹介ではなく、純粋に、今日におけるマスト・アイテムとして「PDFスキャナーが、なぜ現在のオフィスワークに、必要不可欠なのか?」を、以下にご説明させていただこうと思います。

文:須田 和博


[プロフィール] 須田 和博(すだ かずひろ)

現 在、博報堂・i-ビジネスセンター所属。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒。フューチャー・マーケティング・アワード、東京インタラクティブアドア ワード、NYフェス、ACC、TCC新人賞、広告電通賞、など受賞。現部門に来て以来「マスとWEBの間のミゾを埋めるために、できることをする」という テーマを掲げていたが、それも、次の段階に来たかな、と思う今日このごろ。



使えばわかる、スキャナーの重要性


プリンター付きホワイトボードと同じく、今の自分の仕事に、なくてなならない最重要な道具。それが、「PDFスキャナー」です。今日、仕事をしようという時に、ネットワークに接続したPCがない、ということは、もはやありえないでしょう。それは、机がないのと同義、いや、社員として雇用されていないのと同義とすらいえます。一度使うとわかりますが、ネットワークに接続したPCが仕事に不可欠なのと同様、PCと接続した「PDFスキャナー」も不可欠な設備だと言えます。なぜ不可欠なのか?順を追ってお話します。


スキャナーのために、PCを新調した


私は仕事でPCを使い始めてから、長年探し求めていたものがありました。それは、A4の紙をスキャンして簡単にデータ化し、必要に応じて再出力できるシステムです。いくつかの機種を検討しましたが、2003年くらいまでコスト:使いやすさで、満足できるものはありませんでした。4年ほど前に、いい製品があると教えてもらって即導入したのが今も使っているPDFスキャナーです。当時は、MAC対応機がなかったので、このためにウィンドウズのノートPCに自分のメインマシンを乗り換えたほどです。そのくらい、長年欲していた「夢の機械」でした。




溜まりに溜まった、アイデアスケッチを一掃


導入当初は、自分が会社のトランクルームや、家の押入れに保管していた、莫大な量の、過去の仕事の企画書や、手書きのアイデアラフ、資料の切り抜きなどを、ひたすら、このマシンに食わせて行きました。ちょうど、CM制作からインタラクティブに移って来る、数ヶ月前でした。長年、住み慣れた部門から、まったく未知のインタラクティブ領域に異動するにあたり、身辺をすっきりと「リセットしたい」と思っていたのです。過去15年分のプレゼン企画書と手書きラフ=およそ段ボール箱9個分の紙は、なんとCD-R1枚に入るデータサイズになってしまいました。




大掃除マシンから、常設マシンへ


導入当初は、そういう大掃除的な役目で使っていたPDFスキャナーでしたが、ある日、試しにデスクに常設したところ、革命的に便利になりました。PDFスキャナーを、日常的にPCに接続した状態にすることで、ワークスタイルが大きく変わったと思います。



PCは、文書作成機ではない


PCが、もはや「文書作成機」ではないことは、論を待たないでしょう。WWWが普及する以前、Eメールが事務連絡の基本的な手段になる以前は、たしかにPCはワープロ+伝票清書マシンだったと思います。しかし、会社のネットワークに接続してメールと事務用ソフトと会計管理システムで仕事を行い、WWWでプレゼン資料を探し、メルマで業界最新ニュースを知り、そしてネットで広告を見て、電子決済で買い物をする、現在。PCは、いうまでもなく「文書作成機」ではありません。



今やほとんどの仕事は、デジタル界で行われている


1995年以降、序々に、そしていまや完璧に、すべてのオフィスワーカーは、「デジタル界」で仕事をするようになったと言えます。朝、会社に出社してPCを立ち上げ、ログインして、会社のサーバーと、デスクのローカルPCと、オンラインのWWWの中に入って、全員が仕事をしています。物理的に同じビルに出社しても、社内メールでの連絡で仕事をし続けている姿はオンライン・コラボと変わりませんし、伝票はいまだにリアル界で実印を押すプロセスを残していますが、実体としてはサーバー上のデータで処理が進行するものです。



プリンターは出口、スキャナーは入口


そのデジタル界でした仕事を、人間同士がリアル界でやりとりするための、使い易いインターフェイスが「紙」です。デジタル界からリアル界への出口のひとつが、紙としての出口である「プリンター」です。では、入口はどこでしょう?それが「スキャナー」なのです。皆が、ほとんどすべての仕事を「デジタル界」で行っているわけですから、デジタルデータではない「現実物」の仕事素材を入手したら、まずそれを「デジタル界」に取り込まなければ、仕事になりません。そしてそれは、紙資料という形で常にやって来ます。だから、スキャナーがないと、実は仕事にならないのです。これが、今の自分の実感です。


出口だけあって入口がないから、オフィスが狭くなる


今、ほとんどのオフィスが、紙の大インフレを起こしているのは、デジタル界からの出口=プリンターだけがあって、入口=スキャナーがないことが、最大の原因だと思っています。ワードで作った文書やエクセルで作った表と同じように、会議の板書メモやスタッフが持ち寄ったアイデアシートも、PC内に手軽にセーブしておけるべきです。デジタル界で作った書類はどんどんプリンターから出力できるのに、リアル界で使った紙資料はデジタル界に戻せないというのでは、ひたすら捨てるか、リアル界のオフィスが紙で埋まるかしか、ありません。プリンターと同じ数だけスキャナーをオフィスに導入して、はじめて入出力のバランスがとれるというものです。ハードディスクの中は、現実のオフィスよりはるかに広大なのですから。


デジタル界での仕事が、3万円から可能に


いつもPDFスキャナーについて語りだすと、ものすごく熱くなってしまうのですが、私がこの機材を手にした時のインパクトは、そのくらい強烈なものでした。なぜ、こんなにPDFスキャナーが好きなのだろうか?なぜ、こんなにPDFスキャナーが仕事に不可欠なのか?を、つき詰めて考えていくと、上で展開した仮説の全体像にたどりつくのです。ちなみに、私が愛用している機種は、もう3年愛用しているので、2世代くらい前の機種なのですが、PDFが編集できるアクロバットがバンドルされていて、3万円くらいでした。最新機種でも同じくらいですから、手に入る便利さに較べて、ものすごくお買い得だと思います。



例えば、サムネールをスキャンしてメール

例えば、手描きコンテをスキャンしてパワポで構成






例えば、赤字指示をスキャンしてメール





例えば、トランクルーム代わりにスキャン

例えば、切り抜きファイル代わりにスキャン



※キャプチャー画像およびコンテ画像は、コンプライアンス上、細部を潰したり消したりしております。ご了承ください。


さて、次回はこのPDFスキャナーと同じくらい、自分の意識の持ち方や、情報収集に大変化をもたらした「携帯ブログ更新」です。手持ちの携帯電話で、ゼロ円で始められる、記憶と認識の劇的革新。さて、それは、どんな方法なのでしょう。







次回も、お楽しみに!!
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