Webコンテンツの制作を主軸に、ワークショップなど教育事業にも力を入れている株式会社ロクナナ。フリーランス制作グループとしての出立から11年、Web黎明期から現在にかけて「目的なく舟を進めてきた」と代表取締役の上田キミヒロさんは言う。そのオモテとウラに迫るべく、同社役員でありFlashアニメーターとして名高いA.e.Suck(エイサク)さんにも参加いただき、制作会社探訪「ロクナナ」編をお送りしよう。
第4話 ロクナナの10年先って?
上田キミヒロさん(右)とA.e.Suckさん(左)
もう、なるようにしかならない
──ざっと10年振り返りましたが、今後10年をどのように考えていますか?
上田●うーん……エイサクさん、10年後、何してるんですか?
A.e.Suck●わかんないよ(笑)。だって、Flashがあるのかないのか、わかんないし……もしかしたらウチが全部Winマシンで、Silverlightを使ってるかもしれない。
上田●10年というスパンで考えると、あり得ない話じゃないですよね。
A.e.Suck●うん。
──先々を意識したりすることは?
A.e.Suck●俺はあんまり考えない。
上田●僕も同じくですね。会社のことを聞かれて「ヴィジョンは?」というのが一番困るんですよ(笑)。目的なく舟を進めている状態なんです。立ち上げからずっと。もう、なるようにしかならないので、目標が立たないんですよね。
A.e.Suck●舟って帆を張っていれば、勝手に進むからさ。
上田●そうですね。まったくその通りです。
A.e.Suck●風がどっちのほうから吹いてくるか、風がやむか……それにおまかせで。
上田●風が強いか、弱いかっていう話で。
──達観してますね(笑)。
上田●いや、どうしようもないですから。たとえば「俺たちはFlashに命かけるぞ!」と言っても、5年後にFlashなくなっているかもしれないし。いまやっていること自体が変わることを秘めているので。そもそも「HTML何ですか?」と言われる日が来るかもしれないじゃないですか。世の中自体が変化しているので、自分たちもいかに変わっていけるか、風に乗っていけるか……ぐらいで常に考えておかないと。
──過渡期がずっと続く世界で。
上田●そう。だから目標を立てて、どこかに向かうっていうのが一番苦手。逆にちょうど合っているのかなって思いますが……難しいですよね、先のことは。
A.e.Suck●うん。俺も流れに身を任せているだけだから。昔からそうなんです。高校卒業したときから、もう流れに任せて。あまり自分で重大な選択をしたことがない。アニメーターになったのも、たまたまなんですから。
──まさか、いまのようになるとは……
A.e.Suck●まさか思いもよらなかった。
上田●うーん……エイサクさん、10年後、何してるんですか?
A.e.Suck●わかんないよ(笑)。だって、Flashがあるのかないのか、わかんないし……もしかしたらウチが全部Winマシンで、Silverlightを使ってるかもしれない。
上田●10年というスパンで考えると、あり得ない話じゃないですよね。
A.e.Suck●うん。
──先々を意識したりすることは?
A.e.Suck●俺はあんまり考えない。
上田●僕も同じくですね。会社のことを聞かれて「ヴィジョンは?」というのが一番困るんですよ(笑)。目的なく舟を進めている状態なんです。立ち上げからずっと。もう、なるようにしかならないので、目標が立たないんですよね。
A.e.Suck●舟って帆を張っていれば、勝手に進むからさ。
上田●そうですね。まったくその通りです。
A.e.Suck●風がどっちのほうから吹いてくるか、風がやむか……それにおまかせで。
上田●風が強いか、弱いかっていう話で。
──達観してますね(笑)。
上田●いや、どうしようもないですから。たとえば「俺たちはFlashに命かけるぞ!」と言っても、5年後にFlashなくなっているかもしれないし。いまやっていること自体が変わることを秘めているので。そもそも「HTML何ですか?」と言われる日が来るかもしれないじゃないですか。世の中自体が変化しているので、自分たちもいかに変わっていけるか、風に乗っていけるか……ぐらいで常に考えておかないと。
──過渡期がずっと続く世界で。
上田●そう。だから目標を立てて、どこかに向かうっていうのが一番苦手。逆にちょうど合っているのかなって思いますが……難しいですよね、先のことは。
A.e.Suck●うん。俺も流れに身を任せているだけだから。昔からそうなんです。高校卒業したときから、もう流れに任せて。あまり自分で重大な選択をしたことがない。アニメーターになったのも、たまたまなんですから。
──まさか、いまのようになるとは……
A.e.Suck●まさか思いもよらなかった。
Flashの軌跡とほぼ同じ年輪を歩むロクナナ。
生活必需(?)ソフトの話題になると、とめどがない2人……
上田「エイサクさんのDVD、作っている最中はバージョン6でしたよね?」
A.e.Suck「そうだね」
上田「でもテクニック的には、4でもできる感じだから……」
A.e.Suck「結局、同じなんです。だから『敷居は高くないよ』ってこと。
みんな、すごく難しく考えるじゃないですか。
スクリプトで挫折するぐらいなら、実際に描いてごらんと言いたいね」
……うーん、含蓄あるお言葉!
生活必需(?)ソフトの話題になると、とめどがない2人……
上田「エイサクさんのDVD、作っている最中はバージョン6でしたよね?」
A.e.Suck「そうだね」
上田「でもテクニック的には、4でもできる感じだから……」
A.e.Suck「結局、同じなんです。だから『敷居は高くないよ』ってこと。
みんな、すごく難しく考えるじゃないですか。
スクリプトで挫折するぐらいなら、実際に描いてごらんと言いたいね」
……うーん、含蓄あるお言葉!
手で触れられる“残る”ものを
──とはいえ今後、こんなことやってみたいと思うことは?
A.e.Suck●10年後……俺、57歳なんだよね。自力で絵が描けなくなっているかもしれない。でも、新しいデバイスのおかげで、手で描かないで済むかも(笑)。
上田●考えた瞬間、絵が描かれてて。
A.e.Suck●そうそう。
上田●会社的にずっと夢で言っているのは「ハードウェアを作りたい」で、それはいつか実現させたいと思っているのですが。
A.e.Suck●どういう系の?
上田●なんでもいいのですが……結局、ずっと作ってきているものが、手で触れないものばかりじゃないですか。だから、たまに印刷の仕事すると楽しかったり。
A.e.Suck●形になるからね。やっぱり“残る”というのはいい。テレビアニメって繰り返し再放送があるし、いまDVDがあるから、結構残るんです。でも、Flashアニメーションはあまり残らない。多くのものはWeb上から消えたら終わりなんですよ。そういう面では、普通のアニメのほうが残る。たとえば戦前に作られたディズニーの『白雪姫』とか、いまだに残ってみんな繰り返し観てるじゃないですか。そういうのはうらやましい。Webはどんどん消化されていくからね。
上田●ええ。やっぱり、手で触れられるものへの憧れがあって。それは大きいかもしれない。ゼロからイチのものしか納品してないので、やったのかやってないのか……わからなくなる日がたまにあるんです。それがお金になっているからいいとは思いますが、形になるものを作りたいとはずっと思ってますね。
A.e.Suck●10年後……俺、57歳なんだよね。自力で絵が描けなくなっているかもしれない。でも、新しいデバイスのおかげで、手で描かないで済むかも(笑)。
上田●考えた瞬間、絵が描かれてて。
A.e.Suck●そうそう。
上田●会社的にずっと夢で言っているのは「ハードウェアを作りたい」で、それはいつか実現させたいと思っているのですが。
A.e.Suck●どういう系の?
上田●なんでもいいのですが……結局、ずっと作ってきているものが、手で触れないものばかりじゃないですか。だから、たまに印刷の仕事すると楽しかったり。
A.e.Suck●形になるからね。やっぱり“残る”というのはいい。テレビアニメって繰り返し再放送があるし、いまDVDがあるから、結構残るんです。でも、Flashアニメーションはあまり残らない。多くのものはWeb上から消えたら終わりなんですよ。そういう面では、普通のアニメのほうが残る。たとえば戦前に作られたディズニーの『白雪姫』とか、いまだに残ってみんな繰り返し観てるじゃないですか。そういうのはうらやましい。Webはどんどん消化されていくからね。
上田●ええ。やっぱり、手で触れられるものへの憧れがあって。それは大きいかもしれない。ゼロからイチのものしか納品してないので、やったのかやってないのか……わからなくなる日がたまにあるんです。それがお金になっているからいいとは思いますが、形になるものを作りたいとはずっと思ってますね。
今回で「人が集い、仕事も学びも宿る」は終了です。
(取材・文:増渕俊之 写真:FuGee)
(取材・文:増渕俊之 写真:FuGee)
[プロフィール] |
えーいーさっく●Flashアニメーター/株式会社ロクナナ取締役。1960年名古屋生まれ。アニメーターとして多くのTV・劇場用アニメに携わった後、1997年からFlashでのアニメ制作に移行。セルアニメ技法を取り入れたFlashアニメーションを専門に制作している。1999年、Flashアニメーション制作プロダクション「ダイナミックトゥーン」を設立。 |