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Ajaxで変わるWebライフスタイル

第3回 Ajaxへの移行とWeb制作者の心得


Ajaxの概要解説は、前回までで一段落させて頂いて、Ajaxへ移行していく近未来のWeb制作に取り組むには、Web制作者として、何が必要か? そして今後何が要求されていくのかを解説していきます。

解説:平山 真(デフィデ株式会社)



[プロフィール]

ひ らやま・まこと●デフィデ株式会社勤務。同社R&D部門である研究開発部のチーフエンジニアとして、リッチクライアント関連技術やオープンソー スの調査をベースに、新規ソリューションの立案や開発プロジェクトの運営を主な業務としています。プライベートでは、福岡のスカバンド 「SKA☆ROCKETS」のラッパ吹きとして活動中。



1. Ajaxへの取り組み


1-1. Ajaxを実現するには

 本連載では、これまでAjaxを巡る今の状況と、それに伴う近い将来の予測を行ってきました。Ajaxが大きな注目を浴びることになった背景には、Ajaxが従来のWebアプリケーションのユーザーインターフェイスを大幅に改善する可能性が、Google Mapsなどの具体的なWebアプリケーションにより示されたことが大きいと考えられます。

また、その盛り上がりを支えるものとして、大手IT企業による市場参入と、それに伴うAjax関連ツールの充実や無償のソリューションの登場、既存Webアプリケーションへのプラスαとしての利用におけるデスクトップアプリケ―ションをも凌駕しうる可能性の幅広さといったものが挙げられます。もちろん、これらは実際にWeb製作者がそれぞれの立場でAjaxの手法を習得し、取り入れていくことが必要となります。では、実際にAjaxに取り組むWeb制作者にとって、今後何が要求されていくのでしょうか。


2. Web製作者への課題


2-1. ベース技術の理解と習得

 まずWeb制作者がAjaxに取り組む上で、Ajaxの基礎技術への理解は必須であるといえます。そして、複数の基礎技術のうち、CSSやJavaScriptの組み合わせで実現されるDHTMLが、重要性および難易度両面から、非常に大きな比重を占める技術になります。Ajaxには、非同期通信などの他の要素も含まれますが、その価値は、より良いユーザーインターフェイスの実現という部分に見出されています。

そのため、Ajaxを利用して高い操作性を実現したり、情報を的確に表現したりするために必要となるDHTMLへの理解は避けては通れません。また、DHTMLはCSSやJavaScriptといった、複数の技術の複合であるという点と、クロスブラウザ対応といわれる、各種WebブラウザやOS環境での細かな仕様の違いへの配慮が必要になるといった点で、比較的難易度の高い技術であり、Ajaxへの取り組みを進める上で、その習得が重要になってきます。


2-2. 積極的な情報の収集

 Ajaxを取り巻く今の状況は、常に新しいソリューションや手法が登場し続けており、未だ標準的な手法やデファクトスタンダード的なツールも存在してない状況です。ただし、Open Ajax(第1回参照)など、一方でAjaxの標準化への動きも見られるため、Ajaxと取り巻くこれらの状況に対してアンテナを張り巡らし、今後の主流となる開発手法などの有益な情報を取り入れていく姿勢も、しばらくの間は必要となりそうです。

2-3. ユーザーインターフェース設計技術の必要性

 最後に、今後Web制作者にとって最も注目される技能は、ユーザーインターフェイスを設計する力であると考えられます。Ajaxを利用することで、従来のWebアプリケーションでは実現できないユーザーインターフェイスを備えた高価値なWebアプリケーションを実現できる可能性が広がります。

ただし、Ajaxはあくまで手法であり、いわば道具にすぎないため、それを如何に効果的に利用し、最適なユーザーインターフェイスを実現するかは、Web制作者がもつユーザーインターフェイスの設計能力にかかってきます。もちろん、これらはAjaxが登場する以前でも、従来型のHTMLコンテンツや、Flashによるコンテンツにおいても同様の事が言われてきたことではありますが、Ajaxを利用することにより、実現可能なユーザーインターフェイスの幅が広がり、より一層設計能力が重要になります。

今後は、Webアプリケーションのユーザーインターフェイスを設計する上で、純粋なWeb技術の習得に加えて、エンドユーザの行動パターンに対する心理学的側面や、統計学的なデータ収集技法など、論理的・科学的な視点を持てる力も、非常に重要になってくると予想されますし、あるいは、Web制作者として、そういった技能を持つことのほうが、DHTMLなどの技術に長けているよりも、重要視されるようになるのかもしれません。

次週へつづく
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